【完全版】看護師から臨床開発モニター(CRA)への転職まとめ

看護師から治験の業界に転職をしようと思った時に選択肢に入る臨床開発モニター(CRA)。

看護師からの転職を考える時にどのようなポイントに着目するべきかをCRA経験者がお伝えします。

この記事で分かること
看護師から臨床開発モニター(CRA)への転職はありか?
看護師の経験が臨床開発モニター(CRA)で活かせるポイント
看護師から転職される方がよく見ているポイント

のりすのりす

治験業界でかれこれ10年以上働いています。Twitterのフォロワー3,000人超え。誰でも分かりやすいように解説をしていくよ!

臨床開発モニター(CRA)とは?

未経験から治験業界へ転職をしようとなると、選択肢に挙がるのが治験コーディネーター(CRC)か臨床開発モニター(CRA)になります。

もちろん、上記の2つ以外にも治験業界のお仕事はあるのですが、メジャーなところで言えばCRCかCRAということになります。

この2つの職種の大きな違いは、「製薬メーカー側」か「医療機関側」かという点です。

治験コーディネータと臨床開発モニター

今回の記事でお話するのは、製薬メーカー側の職種である臨床開発モニター(CRA)になります。

治験コーディネーター(CRC)については、治験コーディネーター(CRC)とは何をする人?仕事内容や適性をご紹介!の記事で詳細に紹介をしているので気になる方はそちらを見てみて下さい。

臨床開発モニター(CRA)の仕事内容

CRAは、治験上以下のような役割を担っている職種になります。

CRAの役割
治験実施施設で治験が適切に行われているかを確認すること。
治験が治験実施施設で円滑に行われるようマネジメント・対応をする。

そして、この役割を果たすために具体的にどのような業務をやっているかというと以下のようなイメージになります。

CRAの仕事の概要

治験コーディネーターは(CRC)は主な職場が施設になりますので、施設にいる時間は白衣でいるのですが、臨床開発モニター(CRA)は主な職場はオフィスで、施設でカルテの閲覧をする際もスーツでお仕事をします。

また、治験を円滑に進める為に資料作成や請求書のチェックや問合せ対応など意外に内勤作業も多くあったりします。

そして、「治験がルールに従って適切に実施されているか」を確認するためには施設に訪問をして電子カルテや看護記録、その他院内で保管されている色々な資料を見ていきます。

施設への訪問は出張になるので、CRAの場合は新幹線の移動や飛行機での移動が非常に多くなります。

私もですが、飛行機の移動が多くマイルが非常に貯まるので最上級クラスのステータスになっているCRAも多く、外勤時にラウンジでまったりしたり優先ゲートから入場をしたりなど色々な楽しみもあったりします!

また、どの仕事でも同じかもしれませんがCRAの仕事も良いことばかりではありません。色々な理由で退職される方もいます。

当ブログではリアルな現状についてもまとめていますので、怖いもの見たさが強い方はどうぞ(と言っても、そんなに怖い内容ではないですがね笑)。
参考>>激務がつらいから辞めるは本当?CRAの離職率が高い理由を考察してみた

臨床開発モニター(CRA)に求められる能力

臨床開発モニターに求められる能力はずばり以下の3つだと思っています。

CRAに求められる能力
コミュニケーション能力
スケジュール管理能力
ロジカルシンキングの能力

詳細については、CRAに求められる資質とは?具体例を挙げて解説をしてみるの記事にまとめてありますが、ざっと説明をすると以下のような感じです。

コミュニケーション能力

臨床開発モニターは社内のみならず、治験コーディネーターや医師とコミュニケーションを取る必要があります。

この点においては、看護さんの経験が活かされる部分ですので、他の中途の方よりもアドバンテージがあると言えるでしょう。

また、治験で必要とされているコミュニケーション能力とは「相手の言っていることをしっかりと理解して適切な回答を返す」というものです。

治験コーディネーターや医師が何を言いたいのか、その辺りをしっかりと汲み取る能力が求められます。

ただ、これは慣れもあるので、真面目に仕事をしていれば自然と身に付くはずです。

大切なのは相手の話をしっかりと理解しようとする姿勢ですかね!

スケジュール管理能力

各施設に提出する資料には大体は期限が設けられています。

臨床開発モニターの場合は、3~4施設を担当することになりますので(一人前になったらですよ!)、それぞれの施設の各資料の締切日などをしっかりと把握して効率良く仕事をこなす必要があります。

その他、色々な場面でスケジュール管理能力が求められることがあります。

ロジカルシンキングの能力

施設で治験がルール通りに適切に実施されているかを確認するためにモニタリングをするわけですが、当然いくつものデータを見ていると疑義事項があることもあります。

疑義事項があれば医師に問い合わせることになるのですが、医師の言っていることをそのまま鵜吞みにするのではなくしっかりと論理的に成り立っているのかまで確認する必要があります。

また、逆に医師や治験コーディネーターから疑義事項の問い合わせがあった際に説明をする時は論理的に説明をしないと相手に納得してもらえないこともありますので、その点で臨床開発モニターはロジカルシンキングの能力が求められることになります。

看護師から臨床開発モニター(CRA)への転職

看護師から臨床開発モニター(CRA)への転職

医療資格別に見ると私の体感では、「薬剤師>MR>看護師&臨床検査技師」のような割合です。

薬剤師やMRから臨床開発モニター(CRA)に転職する方は多いのですが、看護師や臨床検査技師からCRAに転職する方も私の周りでも何人か知っています。

なぜ看護師や臨床検査技師からCRAの転職が少ないかは転職をした方が着目していたポイントを見ていくと色々と分かってきますので、その辺りを紹介していきます。

地元を離れたくない

CRAに転職をするためには、CROという種類の会社に入社することになりますが、CROは主に東京や大阪などの都心部にあります。

そのため、地方に住んでいる方は通勤できる範囲まで引っ越しをしなければいけないことになることも多く、地元で働きたいと思っている方はCRAよりも治験コーディネーター(CRC)を選ぶことになります。

実際に治験コーディネーターの場合は、27.4%が看護師ライセンスを持っている方ですので、非常に多くの方が治験コーディネーターに転職されていることが分かります。

QOLはいずれにしても上がる可能性が高い

治験コーディネーター(CRC)であっても臨床開発モニター(CRA)であっても、どちらも夜勤はありません。

そして、基本的には土日祝日が休暇になりますので、友達や家族と休日を合わせることができてQOLが上がったというお話をされる方が非常に多くいます。

また、転職理由もやはり夜勤やお局からの攻撃など労働環境面を変えたくて考えている方も結構います。

CRCとCRAどちらにしても現状よりは良くなる可能性が高いので転職に踏み切る方も多い印象です。

年収面

看護師からの転職の場合、年収面ではダウンしてしまうことが多いかと思います。

単純に額面だけを見ればそうなのですが、夜勤が無かったり土日祝日が休みであったりということを加味するとトータルで考えて治験業界への転職を選ぶ方もいます。

また、CRCとCRAを「年収」というポイントだけで考えると、CRAの方が将来的に高収入になる可能性が高くCRAを選択される方もいます。

ただ、CRAに求められる能力とCRCに求められる能力を比較すると、看護師さんの場合、CRCに求められる能力を持っていることが多く(そちらに適性がある方が多い)、CRAの転職活動では苦戦を強いられることが多いでしょう。

CRAへの転職のために10社程度面接をしたという方もよく聞きますので、ハードルがやや高めであることもCRAへの転職者がCRCよりも少ない要因なのかもしれませんね。

看護師の経験が活かせるポイント

看護師の経験が活かせるポイント

臨床開発モニター(CRA)への転職で看護師の経験や知識が活かせるポイントについて簡単にですが、解説をしていきたいと思います。

この部分は裏を返せば面接時のアピールポイントにもなります。ですので、もしCRAへの転職を考えているということであれば、この辺りを固めておくと良いと思います。

私もCROで中途の方の面接をしたことがありますが、ここに書いてあるポイントがしっかりとクリアできているかを見ていました(私はですが…)。

また、実際に治験業界への転職を本格的に考える方向けに【完全版】未経験から治験業界に転職するための戦略まとめに治験業界への転職の戦略などを網羅した情報をまとめています。

本気で転職を考えている場合は、こちらの記事もしっかりと読み込んでみて下さい。

臨床経験

やはり臨床経験が無いと、中途の看護師さんを採用するメリットが企業側に無いのでここは一番見られると思います。

治験には試験毎にプロトコールというものがあり、そこに様々な手順が規定されています。

例えば、高血圧の薬の場合は血圧の測定手順について詳細に決められているわけですが、その手順を理解するために臨床経験がある方がイメージをしやすく有利になります。

臨床開発モニターは、このような手順書をレビューする機会もありますし、医療機関側に手順の説明をしなければいけないのですが、実際に血圧測定をしたことがある人とない人ではやはり着眼点も説明の上手さも違います。

クリニカルパスの確認

治験では色々と細かい手順が規定されていますが、どうしてもその手順から外れてしまうこともあります。治験用語でこのことを「逸脱」と呼びます。

逸脱が起きた際には、次回からそのような逸脱が起きないように再発予防策を、治験コーディネーターや医師とディスカッションをするのですが、その際にクリニカルパスを確認することがあります。

クリニカルパスを見て、その中に逸脱を起こしやすそうなポイントがあればCRAは改善案を提案することもできますが、クリニカルパスを見たことがなく慣れていない場合は、やはり改善案を提案することも出来ません。

疾患の知識

担当をしている科によって知識のバラつきはあると思いますが、ご自身が担当していた領域であればその疾患の知識を治験でもそのまま生かせることがあります。

例えば、消化器内科であった場合、治験で消化器系の治験薬を担当するとカルテ閲覧の際に内視鏡の画像所見を見ることも多々あります。

更に、先生との会話の中でも「ポリペク」や「ESR」など、専門用語も出てきますが、それらの用語の理解には看護師としての経験が活かされます。

ただ、もちろんご自身が担当していた領域以外の治験薬を担当することもありますよね。

その場合は、会社での疾患研修や【新人CRA/CRCにおすすめ】仕事に役立つ本をまとめてみたの記事でも紹介をしているような本などで調べれば問題ないのであまり過度に心配する必要はありません。

まとめ

治験業界に転職をしてくる看護師さんのお話を聞く機会も多いのですが、かなりの割合で病院内の環境が悪い…とお話される方がいるなと感じています。

もちろんそうでない方もいるとは思いますが、それでも夜勤や休日の都合でもう少しプライベートも充実させたいと思っている方も多い印象です。

未経験からの転職の場合、CRCかCRAかという選択が主なところかと思いますので、それぞれのお仕事を見比べてみてご自身にピッタリな職種を選んでみて下さいね!