
看護師からの転職者が多い治験コーディネーター(CRC)ですが、これから転職を考えているという段階では実際に治験コーディネーターについて具体的にイメージできる方は少ないのではないでしょうか?
しかし、実際に看護師から治験コーディネーターになってみて辛いこと、大変なことなど気になるところですよね。
そこで今回は、治験の知識が0でも読めるように基礎的な内容からじっくりと説明をしていきたいと思います。
●治験コーディネーターの働き方
●看護師の経験が活かせる場面

治験業界でかれこれ10年以上働いています。Twitterのフォロワー3,000人超え。今回はNs→治験コーディネーターに転職したフォローさんのリアルな話も紹介していくよ!
看護師から治験コーディネーター(CRC)への転職は辛い?
私のフォロワーさんの中にも看護師から治験コーディネーター(CRC)に転職された方は数多くいますが、ほぼ全員口を揃えてお話されているのは看護師時代よりもQOLは確実に上がったということです。
治験コーディネーターは夜勤が無いので体調面でも良くなったというお話も聞きますし、看護師特有の人間関係からも解放されて精神面でも解放されて治験コーディネーターになって良かったとお話される方が多数派な印象です。
もちろんプラス面だけではなくて、辛いことや大変なこともあるのですけどね…
看護師から治験コーディネーターに転職して良かった面だけではなく、逆に辛かった面や大変だった面に関しても触れて詳しくお話をしていきます。
看護師から転職して辛い・苦労したと思う場面
それでは最初に看護師から治験コーディネーターに転職をして辛かったこと、苦労したことから具体例を出しながらお話をしていきます。
年収が一時的に下がる
やはりお給料のお話は特に気になるところですよね。
お給料に関しては、看護師時代と比べると一時的に下がってしまう方が多いです。
条件などによって前後はしますが、看護師からの転職の場合は「未経験者採用」ということになりますので大体の目安は400万円前後になってきます。
この額に残業代等が乗ってきますが、それでも看護師時代より年収ダウンという方が多いかと思います。
しかし、入社後は経験年数に応じてコンスタントに昇給していきますので、治験コーディネーターの経験年数が5年程度になると看護師時代の年収に追い付くかそれ以上になるという方も出てくることでしょう。
ただ、治験コーディネーターで年収1000万円を目指すということになるとかなり厳しい道のりになるため、年収重視で考える場合は治験コーディネーターのあとにキャリアチェンジを目指すということになります。
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パソコンを使うのに苦労した
治験コーディネーターのお仕事は一言で言うと「治験が院内で円滑に行えるように支援する」というものです。
業務の中には治験関連の資料作成もあるのでパソコンを使って作業をする場面も多々あるのですよね。
なので、パソコンをあまり使ったことが無いと始めのうちは結構苦労することがあったりします。
ですが、「パソコンでの作業」と言ってもWord、Excel、Power Pointあたりの基礎的な部分だけ知っていれば全然何とかなるレベルなのでそれほど身構えなくても大丈夫です(笑
転職時に面接で時々、「パソコンはどの程度使えますか?」みたいな質問をされる時があるので心配なようでしたらWord、Excel、Power Pointの基礎的な使い方が載った本を見ながら漫画喫茶のOfficeソフトが入っているパソコンで練習をしてみるのも良いと思います。
正直、苦労するのは慣れるまでの間だけなので何とかなります!
施設内でのカーストに悩まされる
治験コーディネーターを惚れさすのはチョロいぞ pic.twitter.com/VsS70UClLn
— メンタル激弱なのに治験コーディネーターやってます (@mesomeso_crc) October 1, 2022
治験はですね…治験実施計画書という資料がありまして、その計画書に書かれている通りに検査等をしなければいけないという決まりがあります。
それがまた厄介で、普段のルーティンではやっていない手順を治験の患者さんではやらないといけないこともあるので現場からは嫌がられる訳ですね。
もしかしたら、この記事を見ている看護師さんでも治験のために面倒な手順をやらされた方がいるかもしれませんね。
それでも治験コーディネーターは、院内のスタッフに協力してもらうためにお願いをしにいくのでそこでストレスが溜まってしまうこともあります。
看護師から治験コーディネーターになったメンタルさんもカーストについては漫画で触れています。
臨床に戻りたいと思うことがある
治験コーディネーターになると看護師時代と比較すると”直接患者さんのためになっている”と実感できる瞬間が少なくなってしまうため、臨床に戻りたいと思うこともあります。
治験コーディネーターになると治験に参加する患者さんとは以下のように接する機会がありますが、やはり看護師さんと比べると患者さんとの距離感という意味では少し離れてしまうのかもしれませんね。
●治験のために来院した際に診察に同行する。
●治験に関する相談に乗る。
治験コーディネーターは、院内のスタッフとして働くパターンとSMOという会社に所属して働くパターンの2パターンがあります。
大半がSMOという会社に所属することとなりますが、その場合は採血などの医療行為は出来ません。
そのため、物足りなさなどを感じる方もいるということですね。
症例を集めるのが大変
治験を施設で実施する時には、製薬メーカーと施設の間で目標症例数というものが設定されます。
例えば、目標症例数が10例ということであれば治験の担当の先生はもちろん、治験コーディネーターもその目標症例数を達成するために頑張ることになります。
ほとんどの場合は、治験コーディネーターの給与体系は出来高制ではないので「ノルマ」という程ではないのですが、目標症例数を達成するように上司や製薬メーカー側の人からプッシュがかかるのでそのプレッシャーはデメリットと言えるでしょう。
では、治験コーディネーターとしてノルマを達成するためにはどうしたら良いのかというお話になりますが、大まかに以下のようなものが挙げられます。
●候補症例を取り逃さないよう院内フローの見直しをする。
●カルテスクリーニングの方法を改善する。
治験の候補患者は、大まかには先生が見つけて治験コーディネーターに確認を取るパターンと逆に治験コーディネーターがカルテから条件に合致しそうな患者さんを探して(カルテスクリーニングと言います)先生に最終確認を取るパターンがあります。
例えば、「糖尿病性腎症」の治験があったとします。
カルテの傷病名一覧に「糖尿病性腎症」と書いてあればすぐ探し出せるのですが、必ずしも書いてあるわけではないので「糖尿病」や「高血圧症」など関連する疾患で検索を掛けたりする工夫が必要になります。
その他、「ジャヌビア」や「グラクティブ」など薬剤名からアプローチする方法もあるのですが、このようなテクニックを身に付けるまでが大変という意見もよく聞きます。
看護師から転職して良かったと思う場面
先ほどはネガティブな側面をお話しましたが、逆に看護師から転職して良かったという側面についてもまとめていきたいと思います。
冒頭にも少しお話をしましたが、看護師から治験コーディネーターに転職をしてQOLが上がったとお話される方がかなり多いので、先ほどのネガティブな側面より声としてはこちらのポジティブな側面の意見の方が多く聞かれます。
夜勤が無いので体調が良くなった
治験コーディネーターは夜勤が無いので、看護師から転職をされて体調面&精神面が良くなったという意見が相当数あります。
また、治験コーディネーターとして担当している施設では副担当もいるので、有給休暇も取りやすいのが特徴です。
その他、被験者の対応が無い場合は基本的には土日休みになりますので、家族や友人と休日の予定を合わせやすくなるというメリットもあります。
年収面では一時的に下がっても、この大きなメリットを考えると「やはり転職をして良かった」と考える方も多いのでしょうね。
人間関係のごたごたが少ない
パワハラなどが横行していると人間関係的にも辛いところですが、治験コーディネーターの場合はそのような方は少ない傾向があります。
というのも、最近の会社ではパワハラやセクハラなどのハラスメント行為には非常に厳しくなっているため、パワハラをしようものなら会社からキツイお叱りが入るのですよね。
もちろんどの会社にもほぼ必ず「少し嫌な人」というのはいると思いますが、それでも看護師間での人間関係と比較すると解放されたとお話される方が非常に多いです。
病棟独特のプレッシャーから解放される
1つの失敗が命取りになる可能性がある病棟での業務では常にプレッシャーを感じている方も多いのではないでしょうか。
治験コーディネーターは、医療行為をするわけではないので病棟独特のプレッシャーからは解放されます。
大きなプレッシャーがかかることに負担を感じているようであれば、治験コーディネーターの仕事の方が向いている可能性があるかと思います。
看護師での経験が活かせる
私に相談に来られる方で比較的多いのが「せっかく看護師でやってきたのにここで辞めて別の道に進むのは良いのか…」という方です。
これは看護師に限らずキャリアチェンジをする時には誰しも感じる事なのですよね。
しかし、今までの看護師での経験は無駄ではなく、むしろ武器なのですよね。
治験コーディネーターとして働く際は、院内でコミュニコーションを取る必要もありやはり看護師経験がある方の方が無い方よりも立ち回り方が上手いです。
その他、医学的な知識も治験コーディネーターとして働く際には役に立ちますので、「看護師経験がある治験コーディネーター」としてご自身の価値が上がっていると考えた方が良いと思います。
子持ちの方も多く働いている
結婚をしたり子どもが出来たりと、看護師として働き始めてからライフスタイルが変化する方もいらっしゃるかと思います。
実際に育児をしながらの仕事は非常に大変で、働き方を見直したいという方もかなり聞きます。
治験コーディネーターは9割程が女性なのですが、子持ちの方も多く働いています。
そのため、子育てをしながら働くという意味でも治験コーディネーターは働きやすい部類と言えるでしょう。
看護師から治験コーディネーターに転職してやっていける?
看護師から未経験で治験コーディネーターに転職ということであっても問題無くやっていけます。
というのも、日本SMO協会のデータによると実は治験コーディネーターの約4人に1人は看護師ライセンスを持った方だったりするのですよね。
始めはパソコンの使い方に苦戦をしたり、治験のルールを覚えるのに苦労をしたり辛い思いをする場面もあるかもしれませんが、結局は慣れなので最初の頃さえ乗り切ってしまえば何とかなってしまいます。
「薬の知識とかあまり無いし…」、「看護師で臨床の知識があるといっても自信は…」という場合でも結構な方がそのような状態で転職をしている実状を考えれば就職してから勉強をしたり頑張っていけば十分に間に合います。
私のブログでも【新人CRA/CRCにおすすめ】仕事に役立つ本をまとめてみたなどで紹介をしていますが、自信が無い部分に関しては本を持っておいて都度調べていけばそのうち頭に入っているものなので、身構えすぎず肩の力を抜いて挑めば問題無しです。
それでも少し不安だなぁという方は、治験コーディネーターの代表的な仕事内容をまとめた記事も用意しているので、もう少し仕事内容を眺めてから考えてみるのもありだと思います。
治験業界へは、看護師や薬剤師や臨床検査技師からの転職が多いのですが、治験のお仕事についてあまり詳しく知らないという方も多いはず。 今回の記事では、「治験コーディネーターとは?」をテーマにお仕事内容や適性について紹介をして …
看護師から治験コーディネーターへの転職戦略
看護師から治験コーディネーター(CRC)への転職を考える時に一番重要と言っても過言ではないのが、信頼できる転職エージェントに担当をしてもらうことです。
転職サイトであればどこでも良いというわけではありません。
「治験コーディネーター 東京 転職」のように適当に調べて辿り着いた転職サイトよりもしっかりと実績があり信頼できる転職サイトで求人を探すようにしましょう。
治験コーディネーターへの転職に絞るのであれば、治験コーディネーター(CRC)に特化した転職サイトであるCRCJOBが非常におすすめです。
また、治験コーディネーターだけには絞らずNs→Nsの転職も視野に入れているのであれば、大手どころのマイナビ看護師などで探してみると看護師の求人はもちろん、治験コーディネーターの求人も一緒に探すことが可能なのでおすすめです。
信頼ができる転職エージェントを見つけたら職務経歴書の添削をしてもらったり面接の対策をしてもらったりが出来ますので(もちろん無料で)、面接で必要な基礎知識を積み重ねていきましょう。
また、治験関連の職種では治験コーディネーター以外に臨床開発モニター(CRA)というものがあり、こちらも実は看護師からの転職がよくある治験関連のお仕事になります。
出張が多いという特徴がありますが、治験コーディネーターよりも年収ベースが高いため人気がある職種の1つです。
治験関連の職種の紹介や治験の基礎知識の詳細をまとめた記事もあるので、そちらを見ながら取り組めば大半は問題ありません。
今回の記事では未経験からCRCやCRAなどの治験業界に転職を目指している方向けに転職に必要な情報を網羅的に詰め込んで紹介をしていきます。 治験コーディネーター(CRC)や臨床開発モニター(CRA)の違いやおすすめの転職サ …
まとめ
今回は看護師から未経験中途で転職をする際のお話をしていきました。
看護師からの転職の場合は、SMOという会社への転職となることが多いため、会社勤めになるということに不安を感じるという声もよく聞きます。
ずっと病院で勤務をしていて、いきなり会社に入社するわけですから確かにやっていけるのかどうか不安になる方も多いと思います。
しかし、看護師から治験コーディネーターになった方からは「転職してQOLが爆上がりした!!」や「お局がいなくて最高!!」という声も多く聞くので、簡単ではありませんが、治験業界への転職に是非チャレンジしてみて下さいね!
業界への転職に是非チャレンジしてみて下さいね!