【分かりやすく解説!】治験コーディネーターの志望動機の考え方と具体例

看護師や臨床検査技師などからの転職者が多い治験コーディネーター。しかし、いざ転職をするとなると避けては通れないのが面接です。

面接では志望動機がほぼ必ず聞かれますので、本記事では治験コーディネーターの志望動機について分かりやすく解説をしていきます。

この記事で分かること
治験コーディネーターの志望動機の考え方
医療資格別の志望動機の具体例
のりすのりす

治験業界でかれこれ10年以上働いています。Twitterのフォロワーは3,000人超え。今回も分かりやすく解説をしていきます!

志望動機を組み立てていくまでの4ステップ

CRCの志望動機を組み立てるまでの4STEP

治験コーディネーターの志望動機について組み立てていく前にまずはどのようなステップで進めていくかを見ていきましょう。

志望動機の組み立て大雑把に考えると上の4つのステップに分かれています。

志望動機に欠かせない要素が「CRCの魅力」になりますので、まずはCRCの魅力をイメージできなければいけません。

この部分が実は志望動機を考える上では最も重要で、適当に考えていると面接官にすぐ見抜かれてしまうところなので、重点的に対策をしていきましょう。

そして、STEP3では自分の強みや武器を考え、STEP4の志望動機の完成形に組み込んでいきます。

この段階では何だかよく分からないと思いますが、この記事を最後まで読めばしっかり全てクリアになるように書いていますので、頑張って一緒に考えていきましょう。

ポイント

CRCの志望動機を組み立てていくためには、「CRCの魅力」をしっかりと掘り下げて考えておくことが重要!

CRCの志望動機を組み立てていきましょう!

CRCの志望動機を組み立てていきましょう!

ざっくりと4STEPについてお話をしましたが、ここからは4STEPについて1つ1つじっくりと見ていきたいと思います。

職種別の具体例については後ほどの章でまとめますので、ここではどういう仕組みなっているのかに注目してじっくりと見てみて下さいね。

【STEP1】治験コーディネーター(CRC)の仕事内容を知る

CRCの魅力を考えていくためには、まずCRCの仕事内容を知らなければいけません。

ざっとですが、CRCの仕事内容について見ていきましょう。

CRCは施設側の立場でお仕事をする職種で、施設で行われている治験が円滑に進むように院内の調整をしたり、治験参加の候補者の患者さんに治験の補助説明をしたりします。

治験での登場人物の簡易相関図②

院内のスタッフは、日々の業務がありますので、そこに治験の業務が入ってきたらプラスαの対応をしなければいけません。

どのようにしたらミスなく、かつ効率的に対応できるかを各部門と調整をしていきます。

また、治験が施設でルール通りに適切に行われているかを製薬メーカー側の立場である臨床開発モニター(CRA)が確認をしに施設に来ます。

そのCRAの対応もCRCのお仕事内容になります。 詳細については、治験コーディネーター(CRC)とは何をする人?仕事内容や適性をご紹介!の記事にまとめてありますので、イメージがまだ付かないようでしたらそちらの記事も読んでおきましょう。

【STEP2】治験コーディネーター(CRC)の魅力について考える

CRCの仕事内容についてある程度想像が出来たら次にCRCの魅力について考えていきます。

実際リアルなところだと「夜勤が無いから最高!」とか「お局から解放される!」など色々あるかと思いますが、本音は押し殺してビジネスモードでいきましょう。

ゆるふわOLやバリキャリOLモードは内定を貰ってからで遅くありません!

さて、実際にCRCにはどのような魅力があるのかということですが、いくつか例を挙げてみたいと思います。

CRCという職種の魅力
被験者に最も近い位置で仕事をするため、やりがいをダイレクトで感じられる。
最先端の医薬品開発に現場で携わることができる。
被験者への同意説明や治験のデータ収集(データ入力)など、自身の努力がダイレクトに医薬品開発の迅速化に繋がる。
幅広い試験を経験することになり、その分多くの医薬品開発に携わることが出来る。

未経験から治験業界に転職をする場合、CRAという選択肢もありますが、CRAとの大きな違いは“患者さんに対して直接対応する点”になります。

治験が行われているまさにその現場でお仕事をすることになるので、大変なこともありますがその分やりがいをダイレクトに感じやすい点が大きな魅力だと思います。

CRAは被験者さんとは対面しませんので、直接「ありがとう」という言葉を聞けるCRCはやりがいを感じやすいのではないでしょうか。

【STEP3】自分の強みや武器を考える

ここでは、いくつか自分の強みや武器を書き出していきましょう。数を多く出せればこのあとのSTEP4が楽になります。

  • 患者さん毎の性格やキャラクターによって患者さんに最適な心理的ケアをおこなうことが得意
  • 多くの仕事を同時に効率良くこなしていくことが得意
  • 相手を説得して妥協点を見つけ出して調整することが得意
  • 細かい作業でも1つ1つ確認をしながら丁寧に進めていくことが得意

とりあえず、「ここは少し得意かもな」と思うことを挙げていきましょう。

【STEP4】CRCの魅力と自分の強みを組み合わせる

それでは、いよいよ「CRCの魅力」と「自分の強み」を組み合わせて最終形にしていきます。

志望動機を回答する時には、「●●のためCRCに魅力を感じ志望いたしました」となるので、実は自分の強みや武器のお話が無くても回答としては成立します。

では、なぜわざわざ「自分の強み」や「自分の強み」について組み合わせる必要があるのか。

それは、志望動機に肉付けをして補強をするためです。…と言われても今一良く分からないと思うので、具体例を出していきましょう。

何も補強をしていない志望動機
看護師として仕事をしていく中で治験の対応を経験する機会がありました。
その時に担当をしていた患者さんが治験に参加をしてから体調が回復し、新薬の可能性について興味を持ちました。
中でも、被験者さんと最も近い位置である現場で治験に関われる治験コーディネーターに魅力を感じ志望いたしました。

一応これでも志望動機としては成立するのですが、このままでは「ありきたりな志望動機」になってしまいインパクトに欠けます。

「実務で治験に関わる業務があり、治験に参加している患者さんを通じて新薬に興味を持った」という軸は崩さずに、自分の強みや武器を入れ込むと以下のようになります。

補強をした志望動機

看護師として仕事をしていく中で治験の対応を経験する機会がありました。その時に担当をしていた患者さんが治験に参加をしてから体調が回復し、新薬の可能性について興味を持ちました。中でも、被験者さんと最も近い位置である現場で治験に関われる治験コーディネーターに魅力を感じ志望いたしました。

私は実務を通して患者さん毎の性格やキャラクターによって患者さんに最適な心理的ケアをおこなうことを得意としていました。治験に参加される被験者さんの中には不安がある方もいらっしゃると思いますが、私の強みを活かし被験者さんが安心して参加できる治験の環境を整えていきたいです。

青字部分が補強をした部分になります。

自分の強みとして「患者さんに合わせた心理的ケアが得意」ということを挙げ、その強みが実際に治験の場でどのように活かすことができるのかをその後の行で一言でまとめています。

軸の志望動機に青字部分である強みを加えることで、「ありきたりな志望動機」からワンランクアップさせることが出来ます。

ちなみに、この長さで大体45秒くらいでお話できる長さになります。あまり長々と話過ぎるのも良くないので、1分以内で話終えられるこのくらいがちょうど良いでしょう。

ワンステップアップ
「被験者さんが安心して参加できる治験の環境」というのは非常に重要です。
もし安心できない場合は、治験の途中で同意撤回となり、中止になってしまいますが、被験者さんが安心して参加できている場合、同意撤回のリスクが下がり治験の迅速化に繋がります。

CRCの志望動機の例文と解説

医療資格別志望動機の例文と解説

志望動機の組み立て方について説明をしていきましたが、ここからは医療資格別の志望動機の例文をご紹介していきます。

各医療資格別の記事も用意してありますので、それぞれの医療資格がどのような場面で活かせるのかをイメージしながら考えてみると志望動機を考えやすくなりますよ。

看護師のCRCの志望動機の例文

看護師さんの場合、日々多くの患者さんと接することから患者さんを通じて医薬品開発に興味を持つこともあるかと思います。

また、医師との関りも強いことから治験コーディネーターになってからもコミュニケーションの構築などで強みを発揮することが出来ます。

志望動機の例文①

私は看護師の業務を通して、今の医療では治すことが出来ない患者さんを多く見てきました。このことは、より多くの患者さんを笑顔にしたいという私にとっては現実の厳しい状況に直面する出来事でした。

そこで今の医療では治すことができない患者さんも治せる可能性を秘めている医薬品開発に興味を持ち始め治験コーディネーターという職があることを知りました。

看護師時代に培った院内での調整力や効率的に業務を進められる強みを活かし、治験コーディネーターとして活躍していきたいです。

医薬品開発とは、今の医療では治すことできない患者さんも治せる可能性を秘めています。

日々、厳しい現実と直面することも多い看護師さんだからこそ「患者さんの治療」について思うところはないでしょうか?

「看護師さんの仕事では出来ないことがCRCでは出来る」という部分に着目した例文になります。

志望動機の例文②

私がCRCを目指すきっかけとなったのがCovid-19のワクチンや治療薬の開発でした。

私の施設では連日押し寄せるCovid-19の患者対応に追われ、経験をしたことが無いレベルの感染対策の徹底さが要求されました。仕事は多忙を極めていましたが、未知の感染症に対してのワクチンや治療薬が迅速に開発されたおかげで何とか乗り切ることができました。

そのことがきっかけで、未知の病であっても多くの方の命を救うことができる医薬品の開発に興味を持ちCRCを志望しました。

多忙を極めた状況でもやり遂げた粘り強さと未知の対応でも順応できる強みを活かし、CRCとして医薬品開発に携わっていきたいと思っています。

Covid-19の蔓延で多くの施設の看護さんも影響を受けたかと思います。

Covid-19に対しては、ワクチンの開発や治療薬の開発も進んでおり、大きな実績をあげていることからテーマとして選びやすいものの1つになります。

面接官はCovid-19蔓延下において、現場での対応はしていない場合がほとんどのはずですので、そちらの話題で盛り上げることもあるかもしれませんね。

臨床検査技師のCRCの志望動機の例文

臨床検査技師さんの場合は、看護師さんと比較すると患者さんと接する機会は少ないかと思いますが、検査結果を通して患者さんの状態をいち早く察知できる立場にいます。

治験でもほぼ確実に臨床検査が入ってきますので、臨床検査技師さんとして働いてきた強みや経験が活かせます。

志望動機の例文③

私は患者さんに新たな治療の選択肢を提供できる治験に興味を持ち、その中でも患者さんに最も近い位置で接する治験コーディネーターに興味を持ち志望いたしました。

臨床検査技師は、患者さんの状態を各検査を通じていち早く察知することができ、必要な場合は医師へ迅速に報告をあげることで命を救うこともできます。

検査結果から患者さんの状態を推測し、医師に必要な確認を行うことは治験の場でも求められるかと存じます。

臨床検査技師で培った知識や経験を活かし、将来の患者さんに新たな治療の選択肢を増やせる治験コーディネーターとして活躍をしていきたいです。

新たな医薬品開発が進めば、それは将来的に「治療の選択肢を増やす」ということになります。

治験では、被験者さんの安全性のデータはもちろんのこと有効性に関するデータも正確に取得する必要があり、臨床検査技師さんとしての「冷静に検査データと向き合う」姿勢が活きます。

志望動機の例文④

私は将来的に今よりも多くの患者さんを救うことができる医薬品開発に興味を持ち、その中でも現場で働く治験コーディネーターに興味を持ちました。

私は臨床検査技師の仕事を通して、患者さんが検査結果に一喜一憂する場面を多く見てきました。喜んでいるときは良いのですが、逆に気を落としてしまっている時は何もできない自分にもどかしさを感じることがありました。

そこで次のステップとして、臨床検査技師としての経験や知識を活かし、今度は患者さんに新たな治療の選択肢を増やす仕事に就きたいと考えました。

私は患者さんとのコミュニケーションはもちろんのこと医師とのコミュニケーションも大切にしており、医療現場での空気感も知っています。

この強みを最も活かせるのは治験コーディネーターではないかと考え、治験コーディネーターを志望させていただきました。

「次のステップとして」と、臨床検査技師としての仕事が嫌で辞めたわけではなく、転職がポジティブなアクションであることをアピールする文章としました。

臨床検査技師さんとして日々感じること(例文の場合、「患者さんが検査結果に一喜一憂する場面」)を述べつつ、自分としてどのようにしていきたいのかを明示する構成にしています。

医療資格なしのCRCの志望動機の例文

MRやCRAなどの未資格の方を除いて、基本的には未資格の方はCRCへの転職に苦戦することが多いでしょう。

医療資格が無い分、医療資格がある方よりもプラスの要素をしっかりと作っておく必要があります。

例えば、「職種研究を深くやっている」、「論理的思考力が高い」や「コミュニケーション能力が特に高い」など普通の人より一歩秀でたポイントがあると評価されやすいはずです。

志望動機の例文⑤

父の病気の闘病生活に立ち合い、何もすることが出来なかったことにもどかしさを感じたことが治験コーディネーターを目指すこととなったきっかけです。

父の病気は日本で承認されている治療薬では治すことが出来ませんでしたが、海外では父の病気に有効とされる治療薬が承認されていました。しかし、日本で承認されていないため、治療費が10割負担となり経済的な理由からその治療を断念せざるを得ませんでした。

日本での治療薬の承認が滞ると患者や家族にとって大きな影響を及ぼすことを思い知りました。

私は少しでもこの課題の解決に貢献したいという思いが強く、医薬品開発に直接的に関わることができる治験コーディネーターを志望することといたしました。

医療資格が無い分、治験コーディネーターを目指すきっかけとなった部分のエピソードを厚めにした構成になります。

この例文では、医薬品開発についての日本における問題点にも触れており、業界の人に対しても深く刺さる部分があるかと思います。

医療資格が無いながらも、本気で私たちの業界に来て下さる方であれば多少のディスアドバンテージがあっても受け入れられる可能性が上がります。

まとめ

今回は志望動機に関する内容をお話しました。

CRCを含めて治験業界へ転職をする場合には、少しでも転職の面接の勝率を上げて条件が良い会社に転職をしたいところ。

治験業界への転職で必要な情報はすべて【完全版】未経験から治験業界に転職するための戦略まとめの記事にまとめてありますので、じっくり読み込んで内定を勝ち取って下さいね!

応援しています!