CRA(臨床開発モニター)といったら皆さんはどのような働き方をしているイメージでしょうか?
CRAは医療機関に訪問をして、治験が適切に実施されているかを確認することがメインの仕事であり、かなり外勤が多いイメージかもしれませんませんが、実は内勤業務もそれなりにあったりします。
また、CRAの仕事の忙しさは、その時期によって大きく異なるため、それぞれのフェーズ別に分けてその忙しさを見ていく必要があります。
そこで、今回の記事では、私がCARとして働いていた際の実際のスケジュールの例を出しながら紹介をしていきたいと思います。
CRAのスケジュールの特徴
臨床開発モニターであるCRAに必須なスキルの1つにスケジューリング能力というものがあります。
実際に私がモニターとして仕事をしてきてもこのスケジューリング能力は物凄く重要であると実感しています。
というのも、モニターの仕事は何かと締切期限があるものが多く、その締切期限を守れないと、医療機関からも上司からも怒られるというなかなか大変な仕事なのです。
そんな時に、スケジューリング能力の重要性を肌で感じることが多々ありました。
締切期限に追われる大変なイメージを持ったかもしれませんが、実はCRAのスケジュールは、寒暖差が凄く激しいという特徴があります。
つまり、大変な時期もあるけど、とても楽な時期もあるということ。
「そんなのどの仕事も同じだろ!」と思うかもしれませんが、CRAは他の多くの仕事と違い、特に忙しい時期と楽な時期の差が激しいというのがCRAの仕事。
そんなCRAのスケジュールを、実例を挙げて紹介していきます。
臨床開発モニター(CRA)の1日のスケジュールを実例で解説
一般的な仕事では、「年末は忙しい!」ということがあるかと思いますが、臨床開発モニターであるCRAの場合、担当しているプロジェクトがどの段階であるかで仕事の忙しさが変わってきます。
CRAの仕事は、主に「立ち上げ時期」、「フォローアップ時期」、「クローズ時期」の3つのフェーズに大きく分けることが出来るため、それぞれのフェーズ毎に解説をしていきます。
立ち上げ時期(地獄フェーズ)
まずは、立ち上げ時期についてです。
CRA経験者であれば、大多数のCRAが、この立ち上げ時期が一番忙しいと答えることでしょう。
立ち上げ時期は全然忙しくないと言っているCRAがいたら「本当にCRAやっていましたか?」と思ってしまうほど。(あるいは、そのCRAがよっぽど優秀か…)
立ち上げ時期、つまり治験の一番始めのフェーズは、自分が担当する医療機関のルール(手続きの方法など)を覚えたり、治験のプロトコールや手順を覚えたりと、とにかくやることが盛りだくさん。
私の経験上のお話ですが、CRAをやっていて精神がやられてしまうのも、実際のところこのフェーズが多く感じます。
まさに地獄フェーズと言っても良いでしょう。
そして、実際のスケジュールはこちら。
※9:00~17:30が定時
※PRT(プロトコール)=治験実施計画書
これは、立ち上げ時期のとある1週間の実際の私の予定なのですが、とにかくやることが盛りだくさんなのが分かるかと思います。
一般的には、外勤が多いCRAですが、立ち上げ時期はむしろ内勤の方が圧倒的に多く、そのほとんどが治験を開始するために必要な資料作成の時間になります。
この時期は、ひどいときには土日に出社しなければ間に合わないこともあるのが現状です。(毎週という訳ではないですよ!)
また、忙しさに気を取られがちですが、実は医療機関の担当者(治験の業界では治験コーディネータ:CRCと呼びます)や医師ともまだ信頼関係が築けていないことが多い段階なので、そういった意味でも大変な時期と言えるでしょう。
立ち上げ時期についての詳細はまた別の記事で書いていこうかと思いますが、大まかにイメージを掴んでいただけましたか?
「こんなハードな仕事自分には無理かも…」と思うかもしれませんが、この地獄フェーズを越えたら次は天国フェーズです!
意識が飛びかけている方も、とりあえず次を見てみましょう。
フォローアップ時期(天国フェーズ)
とてもハードな立ち上げ時期が終わり、担当施設に被験者がちらほら入ってくるのがフォローアップ時期になります。
みんな大好き、フォローアップ時期!(多少は、大変なときもありますけどね)
この段階になると、担当施設のルールや医療機関の担当者(CRCなど)とも段々と信頼関係が築けてくるので、仕事がやりやすくなってくる頃です。
私が長期で休暇をもらって旅行に出かけるときや、フレックスタイムで早く家に帰宅するのもこの時期になります。
この時期をいかに謳歌して過ごすかでCRAライフの充実さが物凄く変わってきます。
それでは、実際のスケジュールを見てみましょう。
立ち上げ時期と比べると随分とゆったりとしたスケジュールになっていると思います。
外勤も多く入ってくるので、医療機関に訪問する機会も多い時期で、”臨床開発モニターっぽい仕事”と実感することができます。
仕事に慣れて、一人で医療機関を回れるようになったら、会社からも解放されてウキウキな気分で外勤に出かけることも出来ちゃいます。
この時期には私は、後輩のCRAによく「帰れるときは帰っちゃえ!!」と言っていました。
人間、常に全力投球ではやっぱり疲れてしまいますからね。こういう時間が取れるときには、フレックスで早く帰って自分の趣味に時間をあてたり、有給休暇を取って旅行に行ったりして過ごすのが良いと思っています。
直帰で帰宅最高!フレックスで15時帰宅万歳!
クローズ時期(プチ地獄フェーズ)
最後にやってくるのが、治験のクローズ時期。
治験のクローズ時期になるとまたもや締切期限に追われる作業が増えてきて少々忙しくなってきます。
治験で得た情報を最終固定するという作業(業界では、データベースロック:DBLと呼ばれています)に色々な対応を間に合わせなければいけないのが大変な時期です。
ただ、立ち上げ時期と違って、施設のルールや医療機関側の担当者(CRCなど)とは信頼関係が築けていることが多いので、立ち上げ時期ほどはキツくないことが多いです。そのため、言うなればプチ地獄フェーズといったところでしょうか。
CRA経験者からは、「CRCと信頼関係が築けてるなら楽だけどね!築けてればね!」という声が聞こえてきそうですが、まぁ世の中色々な人がいますが、何とかなることが多いので大丈夫です。
実際のスケジュールはこちら。
この時期になると、また段々と外勤が減って内勤の業務が増えてきます。
試験のクローズ段階になると、治験のために集めたデータの精度チェックが行われます。
主にDM(データマネージメント)という部署がチェックをして、何か疑義事項があった場合にはすぐに修正が必要になるので、場合によっては外勤が急遽入ることもあります。
いつもは優雅な外勤ライフなのですが、この時期はとにかく期限が短いことが多いので、慌ただしい中仕事をすることになり、帰りにはぐったりしていることもよくあったり…
ただ、忙しくはあるものの、忙殺されるレベルでは無いことが多いです。
立ち上げ時期からクローズ時期まで一通り経験することが出来たら、次に配属されるプロジェクトではもっと気持ちにゆとりを持って臨むことができるでしょう。
CRAとして生き残るためのコツ
先ほども少しお話に出しましたが、CRAは時には忙しくてかなり大変だと感じる時期もあるので、常に全力投球ではなく、力を抜いても良い場面では力を抜くことがとても重要です。
と言っても、新人のうちは、どこで力を抜いたら良いのかも分からないものです。
本当は、先輩CRAがそういうところを新人にも教えてあげて息抜きをさせてあげる配慮が必要なのですが、新人からはなかなか聞きにくいですよね。(先輩CRAの方は、新人には是非優しいご配慮を!!)
なので、私は力を抜いても良い場面というものを習得するまでは、あるマインドを持つことを心掛けていました。
それは、取り返しの付かない失敗はそうそうあるものではないということ。
私個人の考えですが、新人のうちは、まず取り返しが付かなくなるような仕事を任されることはほぼありませんので、失敗してもあまり気負い過ぎないくらいがちょうど良いのではないかと思っています。(もちろん適度な緊張感は必要)
もっと言えば、新人でなかったとしても取り返しの付かない失敗はそうそう無いものです。
CRAになる人は、真面目な人が多いんです。それが故に、失敗を重ねてしまったときや仕事が出来なかったときに精神的に追い詰められてしまうことも多く感じるので、これからCRAになる方には是非心掛けていてもらいたいです。
まとめ
CRAの仕事は、決まった仕事を決まった手順通りにやればOKというほど単純ではありません。
今回の記事では実際のスケジュールでも比較的一般的なものを紹介してみましたが、担当するプロジェクトだったりCROなのかメーカーなのか、外資の会社か内資の会社かで全然中身が違ったりもします。
CRAの仕事は色々と大変なこともありますが、個人的にはやりがいのある仕事という意味では胸を張って良いとも思っています。
私は、今はメーカーにいて、CRAはやっていませんが、CRA時代の経験は間違いなく役に立っていますし、色々大変でしたが、CRAをやっていて良かったなと今でも思っています。
これからCRAを目指される方にとって、今回の記事で少しでもお仕事のイメージを持っていただけたら嬉しいです。
“CRAの1日のスケジュールを大公開!解説付きで徹底解説!” への4件のフィードバック