ワンランク上の自己PRの書き方とは?就活で使える例文もご紹介

就活の時や転職の時など、自己PRは様々な場面で必要になることがありますが、どのようなことを書けば良いのか、どのようなことを話せば良いのか悩まれている方も多いのではないでしょうか?

私は、製薬メーカーで就活生の新卒採用や中途採用で面接をさせていただく機会があり、最近では数多くの就活生のエントリーシート(ES)の添削をしています。

そこで、今回は私がESや面接時の自己PRを、どのような観点で見ているのかについてお話をしていき、”ワンランク上の”自己PRについて考えていきたいと思います。

はじめに

自己PRのパズルの1ピース

自己PRはとても一般的なワードですので、私以外にも非常に多くの方が記事や本でノウハウを公開しているかと思います。

この記事では、私の考えをご紹介していきますが、それが必ずしも正解とは限りません。

というよりも、面接官にも色々な性格の方、解釈をする方がいるので、決まった正解というものは無いのだと思います。

色々なノウハウや解釈を見たり聞いたりすることで、それらの納得できる部分をパズルのように組み合わせることで、最終的にはご自身の自己PRとして完成させていくのが良いのではないかと考えています。

本記事も、そのような皆さんの自己PRについてのパズルの1ピースになれれば嬉しいです。

「あなたの強みは?」と「自己PRをして下さい」を混同していませんか?

「あなたの強みは?」と「自己PRをして下さい」を混同していませんか?

エントリーシートや面接でお馴染みの質問に「あたなの強みはなんですか?」と「あなたの自己PRをして下さい」というものがあります。

私が面接に入る際も、これらの質問をすることがあるのですが、私はこれらの質問について以下のような意図があって使い分けています。

「あなたの強みはなんですか?」の意図

主にその方の「人となり」を知りたいという意図で質問をします。

ここでお話していただく「強み」は何でも良いと思っており(社会人として全く役に立たないものは除く)、その強みが発揮されたエピソードを「結果」と「結果から何を得られたのか」と共にお話いただきたいと考えています。

「あなたの自己PRをして下さい」の意図

主に、「その方を採用することで会社にとってどのようなメリットがあるのか」を知りたいという意図で質問をしています。

基本的には、「強み」を軸にして、話が展開されていることを想定しています。ただし、ここでの「強み」は何でも良いという訳ではなく、採用職種や会社にとってプラスに直結する強みをお話いただきたいと考えています。

「自己PRをして下さい」という質問は、英語では「Please tell me about yourself.」となるように、自分自身について話せばOKですし、私が見てきた多くの就活生も「あなたの強みはなんですか?」とほぼ同様の内容を回答する方がほとんどでした。

自分自身について話す時に(自己PRをする時に)、自分の「強み」を軸にお話することは間違ってはいないのですが、多くのライバルがいるような就活においては、更にワンステップ踏み込んだ自己PRを考えてみるのも良いのではないでしょうか。

次の章では、ワンステップ踏み込んだ「刺さる自己PR」について触れていきたいと思います。

普通の自己PRと刺さる自己PR

普通の自己PRと刺さる自己PR

私が見る自己PRで、「普通の自己PR」と「刺さる自己PR」で何が違うのかについてまとめていきます。

普通の自己PRだと感じる時は、自らの強みについて結果やそこから得られた経験などに触れられている自己PRで、その内容は、「あなたの強みはなんですか?」とほぼ同じような内容である時です。

刺さる自己PRだと感じる時は、会社や職種で求めているニーズに合うよう自らの強みをどう活かすかが具体的に述べられている時です。

つまり、「会社としてどのような人材を求めているか」や「CRAとしてどのような資質が求められているのか」をしっかりと把握しておかなければ刺さる自己PRが書けないということですね。

私は、就活生にこのことを説明する時によく洗剤のPRを例にお話をします。ここからは、皆さんが新しく開発された洗剤の商品PRをする営業になった気持ちで聞いてみて下さい。

洗剤のPRを例に考えてみましょう

洗剤の強み

皆さんが売ろうとしている洗剤には、他社の洗剤と比べて上の3つの強みがあります。

この強みを最大限に活かして洗剤のPRをしていくわけですが、さてPRをする相手は誰でしょうか。お客さんですよね。

そこで、お客さんのニーズについて考えていきます。

洗剤の強み_お客さんのニーズ

Aさん、Bさん、Cさんはそれぞれ、「性能」、「コスパ」、「使い勝手」を洗剤に求めていることが分かりました。

そこまで分かれば、あとは、自社の洗剤の魅力を伝える時にそれぞれのニーズに合う部分を特に強調してPRしていくだけです。

洗剤の強み_ニーズとの結び付け

この時重要なことは、お客さんのニーズに対してしっかりとマッチした強みを強調してPRすることです。

考えてみれば当たり前なのですが、コスパを重視しているBさんに対して、一生懸命、天然由来成分が配合されているので肌に優しいとアピールしてもあまり響かないPRとなってしまいます。

このように洗剤のPRで考えてみると、極当然のように感じるかもれしれませんが、これは就活/転職においても同じなのです。

就活に置き換えてみましょう

先ほどは、洗剤のお話を例にとってお話をしましたが、就活に置き換えると以下のようになります。

洗剤の強み_就活に置き換えると

赤字で記載している部分が就活時での位置付けになります。

私が前の章でお話した「普通の自己PR」は、この図で示している「あなたの強み」のみを一生懸命述べている自己PRのことを指しています。

つまり、強みのみが述べられているため、この図で示している矢印が無い状態だと思って下さい。

一方、「刺さる自己PR」とは、しっかりと企業とその企業のニーズ(求める人材像など)にマッチした強みを述べている自己PRのことを指しています。

「求める人材像」は、その他、「職種に求められている能力」などをアピールしてもニーズという観点からは外れないのでありだと思います。

このことからも分かるように、「刺さる自己PR」にするためには、企業や志望職種に求められている人財像をしっかりと把握しておく必要があります。

どのように把握するかは、企業研究、職種研究、会社説明会、インターン、OB・OG訪問などが挙げられます。

企業/職種のニーズについては、しっかりと何故そのようなニーズがあるのかまで触れるとよりしっかりとした内容になるのですが、これだけではなかなかどのように書けば「しっかりとした内容」となるのかイメージが付きにくいかと思います。

そこで、次は、自己PRの例文について触れていきましょう。

自己PRの例文

自己PRの例文

ここまでは、「刺さる自己PR」について、それがどのようなものなのかをお話してきましたが、ここからは例文を使って見ていきたいと思います。

「刺さる自己PR」では、相手のニーズを意識しながら話を構成していくと良いとお話しましたが、ニーズには色々なものがあります。

例えば、企業全体として求めているニーズ(求める人材像)や職種として求めているニーズなどです。

私は製薬メーカーの臨床開発職ということもあり、ここでは、それを想定しての例文を記載していきたいと思います。

企業全体として求めているニーズにフォーカスした例文

企業全体としてのニーズにフォーカス
【企業が求める人材像】
自ら考え、自ら行動できる方
お互いの多様性を認め合い尊重できる方

私の強みは「折衝力」です。

その強みが最も発揮されたのは、大学時代に所属していた写真部で部長をしていた時に部の方針を取りまとめた時です。

私が所属していた写真部では、部活での活動方針について、”楽しむことを一番に重視したい”という意見と”技術の向上を一番に重視したい”という意見で対立が起きことがあります。

意見が対立することで、部内の雰囲気は悪くなり、一刻も早く問題を解決しなければ状況となってしまいました。

そこで私は、部員1人1人と面談をし、それぞれが抱えている不安、そして考えている改善案などについてまとめていきました。

面談の結果を考察してみると、驚くべきことにほとんどの部員が他方の意見についても一部受け入れる考えを持っていることが分かりました。

私はその面談結果から、どちらかの意見に決めるのではなく、双方の意見を織り交ぜながらお互いの妥協点を探り、部としての1つの方針をまとめることができました。

この強みは、質の高い医薬品を迅速に患者様に届けることを目指す貴社においても貢献できるものと思います。★

質が高い医薬品を迅速に患者様に届けるためには、医薬品開発に関わる各ステークホルダーの意見を広く集約し、納得できる開発計画を組むことが重要だと考えています。

つまり、それぞれの意見をないがしろにするのではなく、全体の意見にしっかりと耳を傾け、妥協点を見出し、道筋を描く必要があります。

一筋縄ではいかない難しい課題ではありますが、私の強みを活かして貴社に貢献していきたいです。

企業が求める人材像にフォーカスした内容で構成した例文になります。

赤字が、企業が求める人材像に結びつく内容で、青字がその強みが具体的にどのような場面で活かされるのかをPRしている内容になります。

「普通の自己PR」では、★の部分までで終わってしまいますが、それ以降の具体的な内容にまで踏み込むことが出来るかがポイントになります。

具体的な内容をしっかりと書くには、”企業が何故その「求める人材像」を設定しているのか”という本質を理解する必要がありますので、高度ではある一方で、しっかりと書けていれば”当社のことをしっかりと理解してくれている”と思ってもらえる確率がぐっと上がるかと思います。

「求める人材像」が分かったら、なぜそれを企業が設定したのかの背景までしっかりと考えることがコツです。

また、企業が求める人材像がもっと複数ある場合には、その中から特に共感できるものをピックアップしても良いと思いますし、逆に企業が求める人材像について明確に分からない場合には、どのような人物像を求めているのか自分で考える必要があります(その他、会社説明会などで質問をしても良いかもしれませんね)。

就活の中で【企業が求める人材像】は何なのかを見つけ出すことが就活におけるミッションの1つとも言えるでしょう。

職種に求められているニーズにフォーカスした例文

職種としてのニーズにフォーカス
【志望職種】
CRA職
【職種に求められる能力】
コミュニケーション能力
スケジューリング能力
ロジカルシンキング力

私の強みは「コミュニケーションを密に取り、難題にも計画的に取り組むことができること」です。

その強みが最も発揮されたのは、大学時代に所属していた陸上部で10種競技でインカレに出場した時です。

あらゆる種目をこなさなければいけない10種競技は、普段の練習の配分も非常に難しく、更に苦手な種目の練習もあるため、効率の良い練習を維持するためには高度な練習計画を立てる必要がありました。

また、大会で思うように結果が出ない時には、各種目単独での考察ではなく、10種目を総合的に俯瞰し、それぞれの要因の結びつきを1つ1つ解きほどいて考察する必要がありました。

そのため私は、各種目を専門としている部員に練習計画のレビューや成果が出ないときの要因のディスカッションをお願いし、最終的に10種目分を1つに取りまとめる取り組みを続け、結果として、インカレにも出場することが出来ました。★

これらのことは、私が志望しているCRAでも共通する部分があるのではないかと考えております。

CRAは、治験実施医療機関において、治験が適切に実施されているかを確認する役割以外にも、治験を行う上で生じ得る手順上のミスについて予め想定をして注意喚起をしたり、医療機関との治験に関わる費用の協議をしたりとその業務範囲は多岐に渡るものと認識しています。

それらを適切にこなすためには、医療機関の関係者とも良好な関係を保つ必要があり、多角的な視点を持つことが大切だと考えています。

私は自らの強みを活かし、CRAとして貴社に貢献していきたいです。

こちらが「CRA職」という職種に求められている能力にフォーカスした内容の自己PRの例文です。

赤字は職種に求められる能力にあたる内容で、青字は強みが具体的にどのような場面で活かされるのかについて触れた部分になります。そして、★までで終わっている自己PRは「普通の自己PR」です。

入社後に配属が決まるようなパターンの会社については、あまりこちらのパターンの自己PRは使えないと思いますが、募集時点で職種が明確に決まっている場合には、こちらのパターンでの自己PRも有効だと思います。

先ほどの例文と今回の例文は、いずれも文字数が多いので、実際に企業に提出する際には、情報を取捨選択しながら組み入れていくイメージとなります。

上の例文では、ニーズが複数あるので、文章が複雑化し、やや長文となっていますが、文字数制限が少ない場合は、1つのニーズにフォーカスするなどの工夫が必要となります。

ただし、その場合においても、青字部分である「その強みが具体的にどのように活かせるのか」については入れておかなければ、「刺さる自己PR」にはならないのかなと思っています。

まとめ

「はじめに」でも記載した通り、自己PRについては、それぞれ色々な考え方があるかと思います。

ただ、いずれにせよ、その企業や志望する職種ではどのような人材が求められているのかをしっかりとイメージしながら自己PRを書くことは重要であることは間違いないかと思っています(実際に書くかどうかは別として)。

そのため、企業説明会やインターンやOB・OG訪問などを通して、その企業や職種について求められていることを調べ、それがどのような意味を持っているのかをご自身なりに噛み砕いて考えていく必要があるのではないでしょうか。

ご自身なりに噛み砕くアクションがあることで、人とは違ったオリジナリティのある素晴らしい自己PRが書けると思います。