臨床検査技師、看護師や薬剤師など医療系のお仕事で治験コーディネーター(CRC)など、治験関連の業界への転職に興味を持っている方も多くいるかと思います。
私のTwitterのフォロワーさんにもかなり増えてきましたので、臨床検査技師から治験業界への転職について考えてみたいと思います。
●治験コーディネーターの働き方
●臨床検査技師での経験が活かせるポイント
●臨床検査技師から治験コーディネーターを目指す時の面接でのアピールポイント
治験業界でかれこれ10年以上働いていま
臨床検査技師から治験コーディネーターへの転職はありか?
治験業界のお仕事で医療職からの転職者が非常に多い治験コーディネーター(CRC)ですが、実際に臨床検査技師からの転職者はどれくらいいるのかを見てみましょう。
日本SMO協会のデータによると、医療資格を持っている治験コーディネーターの中で一番多いのは臨床検査技師(730人/28.4%)だったりします。
この数字からも臨床検査技師から治験コーディネーターへの転職は非常にメジャーであることが分かるかと思いますが、実はその理由は色々とあったりします。
約3人に1人は臨床検査技師からの転職者ということになるので非常に多いことが分かりますね!色々な適性を考えても治験コーディネーターへの転職は全然ありだと思います!
今回の記事では臨床検査技師から治験コーディネーターへの転職についておすすめできる点やどのように今までの経験を発揮できるか等についても触れていきたいと思います。
まずは基礎知識
本題に入る前に「治験」や「治験コーディネーター」の基礎知識について簡単に触れていきたいと思います。
基礎知識を軽く知ったうえで記事を見ていただく方がよりイメージをしやすいと思うのでここではイメージが出来る程度の最低限の説明をしていきます。
既に基礎知識は知っているという方は読み飛ばして下さいね!
治験とは
こちらの図は医薬品が販売されるまでの流れを大まかに説明したものになります。
基礎研究から始めて、動物実験で非臨床試験をしてヒトで臨床試験をして有効性と安全性が確認できたら販売という流れですね。
この大きな流れの中で「ヒトで有効性や安全性を確認する試験(臨床試験)」のことを治験と呼びます。
人で薬の有効性と安全性を確認するということで、時々世間からは「人体実験」のように言われてしまうこともあるのですが、実際には治験は薬機法やGCPという法律によって厳しく規制されていて、非人道的なことが行われることはありません。
世に出ている全ての薬は治験をして有効性と安全性を確認しなければいけないため、治験は避けては通れない道ということですね。
治験コーディネーター(CRC)とは?
治験は、製薬メーカー側が医療機関側に依頼する形で行われます。
治験は先ほどお話したような薬機法やGCPや治験実施計画書という色々なルールを守りながら行わなければいけません。
しかし、医師や医療機関のスタッフが治験関連の法律や細かい手順を全て頭に入れていることは皆無に等しいです。
もしこの記事を読まれている方が臨床検査技師さんでしたらどうでしょうか?治験関連の法律について完璧に理解していますか?
そうです、そんなものを完璧に理解するのは厳しいですよね。なので、治験を行う時には治験関連の決まり事を理解した治験コーディネーターが必要になってくるのです。
つまり、治験コーディネーターとは医療機関側で治験が円滑に進むようにサポートをするお仕事になります!
治験コーディネーターの業務としては具体的に以下のようなものがあります。
これを見ると色々なことをやらなければいけないことが分かるかと思いますが、多くの方が最初は本当にやっていけるのか心配になるかと思います。
ただ、そのような悩みは最初は誰しもが持ちますので、さほど心配する必要はありません。
みなさんの今のお仕事も就活生から見たら「本当にこの仕事出来るのかな…」と心配になるような仕事かと思いますが、みなさんも何だかんだできているのではないでしょうか?
治験コーディネーターは、一言で言うと「治験が円滑に進むようにサポートをするお仕事」ということになりますが、意外にやることが多いんだなぁくらいに思っておいてもらえると良いかと思います。
ちなみに、治験コーディネーターへ転職をする時には面接で「治験コーディネーターの仕事内容を理解していますか?」のような質問が来る場合が比較的多いので面接対策には治験コーディネーター(CRC)とは何をする人?仕事内容や適性をご紹介!の記事も見ておくことをおすすめします!
臨床検査技師から治験コーディネーターへ転職する理由
私のX(旧Twitter)のフォロワーさんでも臨床検査技師から治験業界に転職された方はかなり多くいます。
その中でも、治験コーディネーターへ転職された方々がどのような理由で転職したのかは大まかに以下の3つがよく聞かれます。
●もう少し働き方に自由が欲しかったから
●将来のキャリアの幅が広がるから
それでは、これらについてもう少し詳しくお話をしていきましょう。
臨床検査技師の年収との比較
厚生労働省が発表している「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、臨床検査技師の20代の平均年収は約373万円、30代の平均年収は約469万円となっています。
一方で治験コーディネーターの平均年収は、厚生労働省の職業情報提供サイトによると約423万円となりますので、未経験からの中途入社ということを考えるとそれよりも下回り約380~400万円あたりのラインに入るパターンが多い印象です。
そのため、転職直後は年収が大きく上がるということはあまりないものの経験を積むことで着実に年収アップに繋がることから中途で数年経験すれば臨床検査技師時代の年収を上回ることも多々あります。
また、更なる年収アップを目指して治験コーディネーターではなく臨床開発モニター(CRA)を目指すという方もよくいるので併せて確認をしておくと良いでしょう。
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働き方
治験コーディネーターの場合は、夜勤が無いので子育てをしながら働かれている方も多いのが特徴です。
基本的には自分が担当をしている病院内で被験者対応をしたり日々の対応を行いますが、施設での対応が無い日などはオフィスで仕事をすることもあります。
また、フレックスタイム制度が導入されているため、出退勤の時間が調整できるので例えば先生との面会が18時と遅い時間からスタートする場合は、朝遅く出勤をして時間を調整することも可能です。
その他、被験者対応が入っていなければ基本的には土日祝日休みになることや、有給休暇についても取りやすい雰囲気の会社がほとんどですので、病院で働いていた方は結構な割合で「前職よりQOLが爆上がりした!!」とお話されていますね。
キャリアの幅が広がる
治験業界では、未経験の方からの入り口は治験コーディネーター(CRC)か臨床開発モニター(CRA)の2つがメジャーです。
それぞれの働き方はかなり異なりますが、将来的にメーカーへのキャリアアップを目指す場合には、臨床開発モニターとしてのキャリアを積んでチャレンジすることとなります。
未経験から臨床開発モニターに転職出来ることもあるのですが、なかなか転職がうまくいかないケースも聞いています。
ですので、場合によっては治験コーディネーターでキャリアを積んでおいて臨床開発モニターを目指すというルートも考えられ、その場合はまったくの未経験枠とよりは、準経験者枠のような扱いになるため転職の成功率が上がります。
このように「治験業界の経験を積む」という目的で治験コーディネーターを目指してみるのも良いかと思います。
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臨床検査技師が治験コーディネーターの面接でアピールできること
臨床検査技師での経験は治験コーディネーターでも活かせると先ほどお話しましたが、ここではもっと具体的なお話をしていきます。
イメージしやすいように実例を出しながらお話をしてみますのでじっくりとイメージをした上で自分の言葉で説明することが出来れば大きなアピールポイントに繋がるはずです。
【完全版】未経験から治験業界に転職するための戦略まとめでは、未経験から治験関連の仕事へ転職するための戦略をまとめていますのでそちらの記事を読み込むのと同時に、臨床検査技師としてのアピールポイントをしっかりと押さえておくようにしておきましょう。
また、転職を成功させるためにはしっかりと実績を出している転職エージェントに登録することが必要不可欠です。
実際に治験コーディネーターへ転職された方の意見をまとめた記事もあるので転職にチャレンジされる時にはそちらも見ておきましょう。
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臨床検査値が読める
治験ではほぼ全ての試験で臨床検査が規定されています。
例えば、治験で測定する項目とスピッツについては以下のような感じで手順書にまとめられていて、治験コーディネーターでは治験で測定する資材のチェックや手順の確認をするというお仕事があります。
試験によって呼び方は異なりますが、「検体採取に関する手順書」のような名前の資料があり、その読み込みやレビューをする際には臨床検査技師の経験があった方が未経験の方と比較すると理解度が違います。
資材や手順書のチェックについてもそうなのですが、更に被験者の臨床検査値についても確認することになります。
例えば、以下のような感じですね。
臨床検査値について知識があれば、このようなデータを見た時に「肝機能が悪いのかな~」、「RBCが少し低いけど、まぁこの程度なら貧血の症状までは出てないだろうな~」など色々なことに気が付くかと思います。
例えば、ベースラインとして測定したデータが全て基準値内に収まっている被験者さんがこの治験薬を服用後に上記のような検査結果になった時には、肝機能関連の副作用が起こっている可能性が考えられます。
その時に、治験のデータとして肝機能関連の副作用が医師から報告されていなかった場合、治験コーディネーターとして確認が必要になりますが、そのような着眼点を持てるかどうかという部分で臨床検査技師としての経験が非常に生きます。
院内でのコミュニケーション
治験コーディネーターの求人では臨床経験がある医療資格保有者がほとんどを占めています。
というのも、治験コーディネーターの仕事のうちの1つの「院内の各部門との調整」に関しては現場での経験がある人の方が動きやすいため、その経験が重宝されているためと考えられます。
そのため、医療資格だけ持っていても現場での経験が無い場合については転職時も不利な状況になってしまいます。
逆に、現場での経験がある方に関しては更に+αのアピールとして、何か部門間での調整をしたことエピソードなどを用意しておくと良いでしょう。
また、コミュニケーションですので、そもそもキャラクターとして「しっかりと受け答えが出来ること」や「礼儀正しく謙虚であること」など基本的なところは確実に抑えておきたいところです。
まとめ
今回は臨床検査技師から治験コーディネーターへの転職について紹介をしていきました。
臨床検査技師からの転職は治験コーディネーターに限らず臨床開発モニター(CRA)にも多くいます。
元臨床検査技師の同僚と仕事をしていた時には、その人は心電図に非常に詳しかったので、社内で心電図に関する勉強会を開いてもらうこともありました。
今まで臨床検査技師として仕事をしてきて、本当にその職を離れてしまって後悔はしないかと不安になる方も多いと思いますが、臨床検査技師をしていたからこそ知っているなどもあり、それが治験の世界でも活かされる場面があります。
臨床検査技師であっても治験コーディネーターであっても「患者さんのために働きたい」と思う気持ちは一緒ですので、是非一歩を踏み出してみて下さいね!
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