CROにも経験が多く積めるような会社から長年いてもさほど経験が積めないような会社まで色々な会社があります。
今回は、具体的にどのようなCROは転職すべきかについて考えていきたいと思います。
そもそも転職すべきかどうかを考える
転職すべきCROについて考えていく前にまず考えておきたいのは、自分でどういうキャリアプランを考えていて、そのキャリアパスでは転職が必要なのかということ。
CRAをやっていると、どうしてもしんどいなと思う場面に多々遭遇しますが、しっかりとキャリアプランを考えていくことが重要です。
CRAという職業を楽しみながら続けていきたいのか、CRAという経験を活かして将来的に高収入を得たいのか、あるいはCROのCRAから製薬メーカーで仕事をしてみたいのか人によって色々なゴールがあるかと思います。
これからお話していくことは、そのゴールによって当てはまる事と当てはまらない事がありますので、なんとなくでも良いので最終的に自分がどうなっていたいのかをイメージしながら読み進めていただくとイメージがしやすいかと思います。
転職した方が良いCROの特徴
一言でざっくりと言ってしまえば、転職をした方が良いCROとは、今後の将来性があまり見込めないであろうCROになります。
と、いきなり言われても正直イメージしにくい部分があるかと思うので、具体的な例を出しながら何故そのような特徴があるCROは転職をした方が良いのかを説明していきます。
CRAの稼働率が少ない
大手CROの場合は、あまり考える必要は無いかと思いますが、中堅CROあたりからは受託している案件数とCRAの稼働率について注目しておく必要があります。
中堅のCROが製薬メーカーから案件を受託するには、コンペに参加をして案件を勝ち取ってくる必要があります(コンペ以外にもプリファードなどもありますが、中堅以降の場合はその数も少なくなってきます)。
そのため、案件を勝ち取ってこれるだけの営業力が弱い場合にはコンペになかなか勝てず、CRAが余ってしまう状態となります。
当然のことながら、CROで高い営業利益を確保するためにはCRAの稼働率を高い状態で保たなければいけません。
しかし、案件を勝ち取ってこれない期間が長引けば長引くほど、CRAが待機する時間が増え、コスト(人件費)だけが嵩み経営を圧迫する状況になります。
さらに、経営を圧迫するだけではなく、待機が続いてしまったCRAには不満も蓄積していきます。CRAにとっては、将来のキャリアパスのために経験を積み重ねる大切な時間を待機で過ごすことになるので、それは不満が溜まってくるわけです。
暇過ぎるというのは案外辛いもので、その状態が長引けばCRAもどんどん転職をしていきます。
CROが売上を伸ばしていくには、CRAのリソースに合った案件をしっかりと受託してCRAの稼働率を高い状態で保つことが非常に重要なので、それが出来ないCROというのは将来的には厳しい状況になることが予測できます。
改善が見込めないようであれば、そのCRO自体の将来性が疑わしいので、自己防衛のため、転職のことも考えておいた方が良いかと思います。
ただ、”私がいるCROの立て直しに貢献したい”というようなゴールを設定している方にとっては、転職という選択肢よりは、CRAの稼働率を上げるにはどうしたら良いのかを考えながら会社に貢献していくという選択肢もありなのではないでしょうか。
労働環境が良くない
CRAは未だ売り手市場が続いている状況です。
そのため、労働条件が良くないCROにはCRAが定着せずに、これまたリソースの流出が起きてしまい、リソースが無ければ案件も受託できないという悪循環に陥ってしまいます。
一括りに【労働環境】と言いましたが、具体的には以下のようなことをイメージしてみて下さい。
●給料は業界平均と比較して安すぎないか
●CRAとしての経験が積めそうな環境であるか
●産休明けも復帰できる環境であるか
CROは、CRAの離職率を下げるために労働環境の改善に日々注力しているはずです。(注力すべきです)
ただ、色々な要因からその労働環境が整え切れていないことがあります。
特に給料に関しては、評価にもリンクしていますが、適切な評価を受けられないことによって給料が上がらないパターンはよく聞きます。
労働環境については、人それぞれで判断基準は違ってくるかと思いますが、飲み会や誰かの施設訪問に一緒に付いていく際には本音で話せる機会が少なからずあるかと思うので、そのような機会にみんなはどう思っているのかをリサーチしておくことをおすすめします。
同期であれば比較的本音で話しやすいかと思うので、同期がどう思っているのか確認することから始めても良いかと思います。
そのように情報収集をしていき、かなりの割合で不満を話しているようであれば、何かをきっかけに(大体プロジェクト炎上がきっかけ)一気にCRAが流出することも考えられるので、気を付けておきましょう。
単価が低い案件ばかりを受注している
案件をしっかり勝ち取ってくることは大事ですが、どんな案件でも良いという訳ではありません。
先ほどもさらっと書きましたが、大切なのは、CRAのリソースに合った案件を勝ち取ってくることです。
よくありがちなパターンは、とにかく安さ重視で、かなり安い見積もりを出してコンペで案件を獲得して、本来5人のCRAで回すべき案件を3人のCRAで無理矢理回して営業利益をなんとか捻り出すというものです。
そうなってくると、当然3人のCRAには多大な負荷がかかってくることになりますよね。
そしてどんな結末が待っているかというと、あまりにも仕事が過酷過ぎて精神的に参ってしまうか、あるいは転職をしてしまうことになるわけです。いわゆる、炎上ですね。
本来であれば、CROとしての魅力(例えば、募集している案件の領域について開発経験がありノウハウを持っているなど)をアピールして案件を獲得してくるものですが、特筆すべき魅力が無い場合はとにかく価格で無理矢理案件を勝ち取ってくることが実際のところあったり、そのようなCROはやり方を変えないとやはり同じことの繰り返しになるので、将来的には厳しいことになるでしょう。
その他、実は注意しておくことがあります。
それは、企業治験の案件ではなく、医師主導治験や臨床研究の案件を多く受託する方針に切り替えた場合です。
もちろん、一定数はそのようなプロジェクトがあるのは良いかと思いますが、やはり医師主導治験や臨床研究の案件となると、企業治験よりも単価が安い傾向にあります。
今まで受託型の企業治験を請け負ていたのに、方針転換で医師主導治験や臨床研究の案件が増えてきた場合は注意をした方が良いと個人的には思います。
単価が安い案件が増えるということは、炎上プロジェクトが増えるか、あるいは給料がほとんど上がらないという状況になる可能性があります。
もしそのような状況になっているのであれば、会社側からしっかりと社員へ何故そのような傾向になっているのか納得できる説明があるのかに着目してみて下さい。
受託より派遣の方が多い
CROでは、案件を受託して自社でCRAのチームを編成して進めていくパターンと、CRAを製薬メーカーに派遣するパターンがあります。
一般的に、CRAを製薬メーカーへ派遣する場合は経験年数と派遣人数を指定されるので、CROに入ってくるお金としては自社で案件を受託するときと比べ少ない傾向にあります。
ただ、問題はそこよりももっと他の部分にあります。
それは、優秀な人材が流出してしまう可能性があることです。
製薬メーカーに派遣CRAとして出向し、とても良いパフォーマンスを出した場合に、製薬メーカーからCRAにお声が掛かることがあります。
もちろん、CROもそれで引き抜かれては困るので、引き抜きはしない旨の契約書を取り交わすことがあるのですが、それは会社間でのことで、実際には引き抜きのような状態になっているところを見かけたりします。
つまり、CRO側からすると優秀なCRAを引き抜かれてしまうような状況になるので、厳しい状況になるのは説明するまでも無いでしょう。
優秀な人材流出を防ぐという意味ではやはり派遣の案件よりも受託案件が多い方が個人的には良いかと思っています。
転職した先に何を求めているかを明確にしておく
転職をすべきCROの特徴について、いくつか例を挙げましたが、転職をする前に、転職をした先で自分がどのようなキャリアプランを考えているのかを明確にしておく必要があります。
今所属しているCROで将来キャリアを積むのに必要な経験を積むことが出来ている状況であれば、すぐに転職をするのは得策ではありません。(パワハラを受けているなど緊急を要する場合は別ですけどね)
今所属しているCROでは、経験を積むのに5年はかかることを転職をすれば2、3年で経験できるというようなことがあるのであれば、私だったら転職を考えます。
例えば、PL(Project Leader)を補佐するSL(Sub Leader)には他のCROでは2、3年でなれるのに今所属しているCROでは案件を受託する能力が低く、待機期間が長い為、5年かかってしまうみたいな場合ですかね。
将来のキャリアパスに必要な経験を得る機会は自分で掴みに行く必要があります。
今いるCROに不満があって転職をすると言っているのになかなかしない”転職するする人間”になるか、キャリアパスをしっかりと考えて”有言実行できる人間”になるかはあなた次第です。
まとめ
転職すべきCROについて、私の独断と偏見で色々と紹介をしていきました。
私の場合は、1回目はCRO→CRO、2回目はCRO→製薬メーカーと2回の転職をしてきましたが、最終的なゴール『治験や医薬品開発をもっと身近に、もっと一緒に』という野望がありこの道を歩んできました。
CROにいたときに、依頼者との壁を感じることがあってもっと一緒に心から依頼者と一緒に仕事をしたかったと感じることがありました。
CRO側にいては、なかなかその壁を崩すことが難しいと思い、CROでキャリアを積んで製薬メーカーの開発マネジメントの立場で仕事をすることができました。
もう1つは、一般の方の治験に対する悪いイメージを払拭したいというゴール。
これは、このサイトを通じて良いことも悪いこともしっかりと伝えて目標を達成できたらなと感じています。
まだゴールには達成していないので、私は日々奮闘中なのですが、みなさんも将来のキャリアパスに沿って是非後悔しない選択をして下さいね!
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