【真相を教えます】高額な報酬が支払われる治験がヤバいと言われている件

「高額バイト」と言ったら治験と思い浮かぶ人も多いかと思います。

数日で数万のお金が手に入るって正直ヤバイことをやらされているだろ…と思う訳ですが、今回はそのあたりの真相についてお話していきます。

のりすのりす

治験業界でかれこれ10年以上働いている治験の専門家。Twitterでのフォロワー数は5,100人程。プロが正確な情報を発信していきます

この記事で分かること
治験に参加って正直ヤバいのか
治験の報酬が高額な理由
治験参加を悩んでいる人へのメッセージ

「治験にはリスクがありません」というのは嘘

「治験にはリスクがありません」というのは嘘

ネットを見ていると、よく「治験にはリスクが無いので安心してご参加いただけます」のようなフレーズを見かけますが、これは誤りで治験の仕事をプロとしてやっている人は絶対にそのようなことは言いません。

なぜなら、そもそも治験というのは「治験薬の有効性や安全性を確かめること」だからです。

安全かどうかをヒトで確かめることが治験なので、「リスクゼロ」というのは有り得ないですよね。

それじゃ、やっぱり治験ってヤバいから高額な報酬が出ているんだなと思うじゃないですか? でも実はそういうわけでもないんですよね。

詳しくお話をしていきましょう。

治験で高額報酬が貰える理由

治験で高額報酬が貰える理由

治験には実は色々なタイプの治験があり、世間一般に「高額な報酬が貰える治験」と呼ばれているのは、健康成人を対象にした入院型の治験になります。

のりすのりす

本記事では便宜的に「報酬」と書いていますが、実は治験では「報酬」という表現は誤りで、正しくは「負担軽減費」と言います。
治験に参加をした時のお金は治験に参加をした時の”対価”ではなくてあくまで治験に参加した時の様々な負担を軽減する目的で支払われているお金なのです!

治験と臨床研究の種類

そして、その「高額な報酬が貰える」と言われている治験でどれくらいのお金が貰えるかというと相場として大体以下のような感じです。

種類 回数 負担軽減費の目安
治験(通院) 10回 70,000円
治験(入院) 5泊 115,000円
化粧品(通院) 3回 21,000円
化粧品(在宅) 30日間使用 20,000円
健康食品(通院) 3回 21,000円
健康食品(在宅) 30日間使用 20,000円

この表だと赤字で示した部分が健康成人が対象の入院の治験で、大体5泊で11万5,000円くらいが相場という印象です。

この額を見ておそらく大半の人が「いやいや、ヤバイでしょ」となるかと思いますが、なぜこんなことになっているのか順を追って説明をしていきましょう。

治験には危険の高さに対して報酬を支払う概念は無い

治験というのは、実はボランティア的側面があるとして位置付けられています。

○ 治験は患者にとって、開発中の最新の医薬品等へのアクセスを可能にするという面がある一方で、肉体的・精神的負担等を自ら進んで引き受けるというボランティア的側面もある。

全国治験活性化3カ年計画」(厚生労働省HPより)

とはいえ、完全無償のボランティアで治験に参加して下さいとするのは、さすがに無理があるとは思いませんか?

そこで、治験に参加することで生じる様々な負担に対して「負担軽減費」という形でお金を支払う仕組みが出来上がりました。

なので、危険に対してお金が支払われるわけではなくてあくまで様々な負担に対してお金が支払われているということですね。

例えば、治験中の負担というのは以下のようなものがあります。

治験で発生する負担の一例
交通費
禁酒、禁煙
採血
外出制限
運動の禁止

治験参加中は、医療機関に行くための交通費がかかったり(金銭的負担)、禁酒や禁煙をしなければいけない制限がかかったり(精神的負担)、複数回の採血があったり(身体的負担)と色々な負担がかかってしまいます。

これらの負担の軽減のために金銭を支払うので、治験で貰うお金は「負担軽減費」と呼ばれていたりします。

実は貰える金額は全然高額ではない

例えばバイトの場合、基本的には拘束時間に対して給料が出ますので5時間勤務をした場合には5時間分のお金が貰えますよね?

治験で拘束される時間は1泊入院をした場合には24時間ということになるので、24時間分のお金が貰えることになります。

時給換算をしてみると分かりやすくなります。

5泊の治験の場合は、大雑把に拘束時間は約120時間ということになります。

約120時間で115,000円ですので、時給換算をすると時給958円(115,000÷120=958円)になります。

令和3年10月1日の東京の最低賃金は時給1,041円なので、最低賃金よりも少ない金額ということになり、実は全然高額ではないということが分かります。

治験では、入院をしている間は24時間ずっと治験のルール(禁酒、禁煙、運動NGなど)を守らなければいけないので、24時間が拘束時間ということになるのですが、この部分が特殊な考え方で分かりにくいのかもしれませんね。

治験が行われている施設はヤバいか

治験が行われている施設はヤバいか

治験というと、人里離れた怪しい感じの施設で色々なことをされそうなイメージですかね?

上の写真のようなイメージでしょうか?

まぁ、私も治験のことを知るまではここまではいかなくても質素な施設で黙々と行われているんだろうなとイメージをしていました。

では、実際のところどうなのか。各地方の有名な治験病院の様子を覗いてみましょう。

クリニカルリサーチ東京病院

クリニカルリサーチ東京病院出典:クリニカルリサーチ東京病院HP

クリニカルリサーチ東京病院は、新宿にある治験施設で日本でも1位、2位を争う程の健康成人対象の治験を実施している施設です。

特にアルツハイマー型認知症の患者を対象とした試験では、日本のグローバルからの評価が見直されるほどの実績を残しており私自身も非常に注目している施設です。

こちらには私も行ったことがありますが、薄暗いという雰囲気は全くなく良い意味で普通の医療機関という感じでした。

美しが丘病院

美しが丘病院_正面玄関出典:美しが丘病院HP

美しが丘病院は、北海道札幌市清田区にある施設でジェネリック医薬品の内服薬の治験実績に強みがある施設です。

札幌で健康成人対象の治験がある時には、この美しが丘病院にお世話になる人も多いかと思います。

施設の中は以下のような感じです。

美しが丘病院_ベッド
出典:美しが丘病院HPより
美しが丘病院_談話室
出典:美しが丘病院HPより

内装の清潔感もあり、実際にこの施設で治験に参加したからの評判もかなり良かったりします。

大阪治験病院

大阪治験病院出典:大阪治験病院HP

大阪治験病院は、大阪市淀川区にある施設で新大阪駅から徒歩5分という好立地にあります。

2005年秋から国内初の治験に特化した病院として誕生して以来、かなりの数の実績を積んでいる病院で大阪で健康成人対象の治験に参加する際にはこちらに入院される方も多いかと思います。

大阪治験病院_ベッドルーム
出典:大阪治験病院HP
大阪治験病院_インターネットルーム
出典:大阪治験病院HP

ベッドルームやインターネットルームも清潔感があり、もちろん怪しい雰囲気は一切ありません(笑

施設が清潔なのも嬉しいですが、治験に関する経験やノウハウも日本屈指であるため安心して施設を利用することもできます。

健康成人対象の治験で起こった死亡事故

健康成人対象の治験で起こった死亡事故

治験は、治験薬の有効性や安全性をヒトで確かめるために行ないますが、もちろんヒトに投与する前には十分に動物実験で安全性を確認します。

そのため、日本で健康成人を対象にした治験で死亡に繋がる事項は極めて稀なのですが、過去に1度だけ2019年のE2082という治験の被験者が電柱から飛び降りて脳挫滅で死亡するというショッキングな事故が起きました。

何が起こったのか

死亡した被験者は、健康成人を対象にした治験に参加をしておりスタッフの指示に従いながら治験薬を服用していました。

しかし、治験薬服用終了後2日目に幻聴や幻視が発現。その後もしばらく症状が続くも医師に症状を伝えずに治験薬服用終了後5日目に治験が終了となり帰宅をしました。

その後、やはり症状が治まらなかったためか同じ日に治験に参加していた病院に再度訪問をし、診察を受けた帰りに異常行動(電柱をよじ登り飛び降りた)を起こし、脳挫滅で死亡してしまいました。

健康成人の死亡事故の発生率

日本では今までに数百件の健康成人を対象にした治験が行われていますが、健康成人の死亡事故として報告されているのはE2082試験の1件のみです。

「隠ぺいをして隠しているのでは?」と思ったりもするかもしれませんが、SNSなども発達している現在で情報を隠しきれることはほぼ有り得ないでしょう。

また、もし死亡事故があればマスコミ等も非常に食いつきが良いネタかと思うので、大きなニュースになるはずですが、そのようなニュースも見当たりません。

治験参加時にとても大切なこと

E2082の治験の被験者は幻聴や幻視の症状が出てから我慢をして医師に症状を申し出ていませんでした。

症状があるにも関わらず医師に申し出ない場合は、治療が遅れてしまい大事になってしまうこともあるので治験に参加をして体に不調が出た場合にはしっかりと医師や治験コーディネーターに相談をすることが重要です。

絶対に我慢はしないでください!

薬の投与が怖い場合には健康食品や化粧品のモニターがおすすめ

薬の投与が怖い場合には健康食品や化粧品のモニターがおすすめ

治験での事故は非常に稀ではありますが、薬を飲む以上リスクがゼロにはなりません。

かなり稀な確率とはいえ、やはり治験薬を服用するのは怖いと思う人もいるかと思います。

そのような場合には、薬を飲まないような健康食品や化粧品のモニターがおすすめです。

健康食品や化粧品のモニターの場合は、入院の案件は皆無に等しいので負担軽減費の額も入院型の治験よりも少ないのですが、リスクという観点では医薬品よりも更に少なくなります。

チヨダモニター倶楽部などの登録サイトは健康食品や化粧品に特化した登録サイトなので医薬品以外で探してみたい方は覗いてみても良いと思います。

まとめ

今回は世間で「ヤバイ」と話題になりがちな治験についてお話をしていきました。

治験については経験をしたことが無い人がかなり多いので、色々な憶測が飛び交いがちですが、負担軽減費の額が高額な理由などを知ってしまえば世間で噂されている程度でもないことが分かったかと思います。

しっかりと信用できる治験募集サイトに登録をすれば詐欺被害などの回避にも繋がるので信用できる情報源でしっかりと情報収集をしてみて下さい!