【CRA(臨床開発職)】メディサイエンスの強みとは?企業研究をしたのでご紹介

メディサイエンスは、2021年に同じエムスリーグループのCROであるMICメディカルと合併して新たなスタートを切りだしました。

両社が合併することによってシナジー効果も発揮でき、アクセルを踏み始めている内資系CROのメディサイエンス。

今回はそんなメディサイエンスの企業研究をしていきたいと思います。

のりすのりす

治験業界でかれこれ10年以上働いています。Twitterのフォロワーは3,000人超え。今回も分かりやすく解説をしていきます!

メディサイエンスプラニングの会社概要

メディサイエンスプラニング

まずはメディサイエンスの会社概要から見ていきましょう。

会社名 株式会社メディサイエンスプラニング
本社所在地 〒104-0033
東京都中央区新川二丁目27-1 東京住友ツインビルディング東館
勤務地
主に東京(大阪の募集も若干名あり)
事業内容
■モニタリング業務
■RBM(Risk-Based Monitoring)サービス
■国際共同治験業務
■再生医療サービス
■臨床薬理試験業務
■コンサルティング・薬事業務
■治験国内管理人業務
■プロジェクト・マネジメント
■DM/統計解析業務
■ファーマコヴィジランス業務
■製造販売後調査業務
■臨床ITソリューション
■治験薬保管管理、通関業務
■特定派遣業務
■メディカルライティング業務
■品質保証業務
■食品開発業務
■症例登録業務
■医用画像解析業務
■臨床研究関連業務
■CDISC関連サービス
社内制度 ・フレックスタイム制度(10:00~15:00)
・在宅勤務制度
給料形態 月給制(昇給は年1回、賞与は年2回)
福利厚生 各種社会保険完備、ベネフィットステーション(総合福利厚生サービス)、社員持株会、退職金制度、再雇用制度、永年勤続表彰制度、クラブ活動補助制度、資格取得支援(TOEIC試験料の全額支給とスコアに応じた奨励金制度)、社員懇親会の補助制度、社内無人販売コーナーの設置(飲料・食料品、日用雑貨等)
募集学部・学科 全学部対象
会社名 株式会社メディサイエンスプラニング
本社所在地 〒104-0033
東京都中央区新川二丁目27-1 東京住友ツインビルディング東
勤務地 主に東京(大阪の募集も若干名あり)
社内制度 ・フレックスタイム制度(10:00~15:00)
・在宅勤務制度
給料形態 月給制(昇給は年1回、賞与は年2回)
福利厚生 各種社会保険完備、ベネフィットステーション(総合福利厚生サービス)、社員持株会、退職金制度、再雇用制度、永年勤続表彰制度、クラブ活動補助制度、資格取得支援(TOEIC試験料の全額支給とスコアに応じた奨励金制度)、社員懇親会の補助制度、社内無人販売コーナーの設置(飲料・食料品、日用雑貨等)
募集学部・学科 全学部対象

メディサイエンスはエムスリーグループのCRO

エムスリーグループの構造

メディサイエンスプラニングは、エムスリーグループに所属している内資系CROになります。

就活生の場合、エムスリーを知らないよという方も多いと思うので、まずはエムスリーについてから説明をしていきましょう。

エムスリーは、ソニーグループの関連会社で医療従事者向けの情報発信を主力にしている会社になります。

一般の方の知名度はあまり高くはないかもしれませんが、医療業界(特に医師)での知名度は非常に高く、業績も順調に伸ばしている注目の会社です。

M3の業績推移20223月期決算発表資料より抜粋

また、エムスリーグループには国内に5つのセグメントがあり、その中の「エビデンスソリューション」の中には、CROのメディサイエンスやメビックス、SMOのノイエスも所属しており、治験業界にも参入しているグループになります。

M3の2021年度連結業績20223月期決算発表資料より抜粋

メディカルプラットフォームが主力ではあるものの、治験や臨床研究関連のエビデンスソリューションも存在感を見せていますね。

ちなみに、グループの方針としてそれぞれのグループ会社の自立性・独立性も重んじているため採用もグループでの一括採用ではなく、それぞれの会社が各々で採用活動をしているのも特徴です。

MICメディカルと合併して業界大手に

メディサイエンスは、2021年6月に同じエムスリーグループのCROであるMICメディカルと合併し、規模感が以前より増しました。

内資系CROでは最大手にシミック、次いでイーピーエスが位置しています。

イーピーエスの2020年における純資産は269億4800万円でしたが、メディサイエンス(145億8265万)とMICメディカル(65億2469万)を合計すると純資産が約211億円に達し、イーピーエスに迫る勢いとなりました。

エムスリー株式会社のプレスリリースによればCRA数も800人を超え、勢いが伺えます。

最近の新卒採用の動向を見ていても、早期から積極的に採用を進める等のリソース確保の動きが目立つ印象です。

残業時間

平均残業時間 参照データ
A2 24.9時間 2021年度
シミック 21.4時間 2021年度
ラボコープ 20時間 2020年度
メディサイエンス 15.4時間 2021年度
IQVIA 11.2時間 2021年度
サイネオス 10.0時間 2020年度
新日本科学PPD 6.7時間 2020年度
EPS データ無し データ無し
平均残業時間 参照データ
A2 24.9時間 2021年度
シミック 21.4時間 2021年度
ラボコープ 20時間 2020年度
メディサイエンス 15.4時間 2021年度
IQVIA 11.2時間 2021年度
サイネオス 10.0時間 2020年度
新日本科学PPD 6.7時間 2020年度
EPS データ無し データ無し

マイナビ2024の情報より作成

マイナビに掲載されている平均残業時間は「15.4時間」でCRO業界の中では平均的な残業時間であることが分かります。

もちろん、アサインされるプロジェクトによっても大きく異なりますので参考程度にしかならない点は注意が必要です。

メディサイエンスの年収

種別 初任給
A2 月給制 【学部卒】403万円
【修士卒】441万円
【6年制薬学部卒】441万円
シミック 月給制 【学部卒】414万円
【修士卒】450万円
【6年制薬学部卒】450万円
ラボコープ 年俸制 【共通】420万円
メディサイエンス 月給制 【高専卒】369万円
【学部卒】405万円
【修士卒】441万円
IQVIA 月給制 【学部卒】401万円
【修士卒】450万円
【6年制薬学部卒】450万円
サイネオス 年俸制 【共通】450万円
新日本科学PPD 月給制 【学部卒】432万円
【修士卒】458万円
【6年制薬学部卒】458万円
※20時間のみなし残業
EPS 月給制 【学部卒】406万円
【修士卒】433万円
【6年制薬学部卒】433万円
種別 初任給
A2 月給制 【学部卒】403万円
【修士卒】441万円
【6年制薬学部卒】441万円
シミック 月給制 【学部卒】414万円
【修士卒】450万円
【6年制薬学部卒】450万円
ラボコープ 年俸制 【共通】420万円
メディサイエンス 月給制 【高専卒】369万円
【学部卒】405万円
【修士卒】441万円
IQVIA 月給制 【学部卒】401万円
【修士卒】450万円
【6年制薬学部卒】450万円
サイネオス 年俸制 【共通】450万円
新日本科学PPD 月給制 【学部卒】432万円
【修士卒】458万円
【6年制薬学部卒】458万円
※20時間のみなし残業
EPS 月給制 【学部卒】406万円
【修士卒】433万円
【6年制薬学部卒】433万円

マイナビ2024の情報より作成

メディサイエンスの初任給は、学部卒で405万円、修士卒で441万円とのことですので、全体的に見ても平均の水準かと思います。

また、メディサイエンスは高専卒の採用もあり、かなり幅広く採用をしているのが特徴です。

メディサイエンスプランニングじゃないよ!

メディサイエンスプラニングは、「メディサイエンスプランニング」と呼び間違えられることも多々ある印象です!

実は私と仕事をしていた方もずっと「メディサイエンスプランニング」だと思っていたようなので、就活生の方はご注意を。

面接で社名を間違えたら冷や汗が出ちゃいますからね。。まぁ、社名がややこし(略

メディサイエンスの注目すべき特徴・強みとは?

メディサイエンスの注目すべき特徴・強みとは?

日本の医薬品市場は薬価の毎年改定などにより市場の魅力性が薄れてきています。

今や日本で実施されている治験の半数以上が国際共同治験となりましたが、日本のパフォーマンスが悪い場合には将来的には国際共同治験から日本が省かれてしまう日も来てしまうかもしれません。

それはすなわち「ドラッグラグの再拡大」を生むことになり業界としてはこの危機的状況を乗り越えていくことが急務となっています。

CROとして出来ることの1つは「開発コストの削減に貢献すること」ですが、メディサイエンスはこの課題についてどのように取り組んでいるのかを見ていきたいと思います。

エムスリーグループとのシナジー効果

メディサイエンスの最大の強みと言えば、エムスリーグループとのシナジー効果を発揮できる点だと思います。

エムスリーでは、治験支援サービスとして「治験君」と「治験君+(プラス)」というサービスを提供していますが、このあたりは「開発コストの削減に貢献すること」に繋がってきます。

メディサイエンスが「治験のe化」と言っているカテゴリーの1つで他のCROには無くエムスリーグループだからこそ実現できている取り組みになります。

では、分かりやすさ重視でざっくりとポイントを押さえながら解説をしていきますね。

治験君

治験を始める時には、全国に多数ある医療機関の中から治験実施医療機関を決めなければいけません。

「どの施設で治験を実施するか」については決め方が色々あるのですが、ここでは「SMOに調査依頼を出して決めるパターン」を例にとってお話をします。

SMOのことは治験コーディネーター(CRC)とは何をする人?仕事内容や適性をご紹介!の記事で説明をしています。SMOのことがよく分からない方はそちらもどうぞ。

治験を実施する施設は、一般的に「症例の登録が見込める施設」を選ぶこととなります。

では、どのように選ぶかというと以下のような流れになります。

SMOへの調査依頼

しかし、SMOの調査にも限界があります。

SMOは全国にあるすべての施設をカバーしているわけではなく、SMOが入っていない医療機関の情報は収集することが出来ません。

そこで登場するのが治験君です。

エムスリーが運営をしている「m3.com」には国内の医師の8割が登録しており、このm3.comを通して治験の情報を流すことで全国の医師からの情報を収集することができます。

治験君を使った情報収集

つまり、治験君を利用することで“治験の施設に選んだものの全然症例が入らない!!”というリスクを減らすことができますよということですね。

治験を計画通りに終わらせるためには“適切な施設選定”というのがとても重要なので、「適切な施設選定」によって開発コストの削減に結びつけているわけです。

ただし…

先生が言う「うちには症例いっぱいいるよ!」は経験上、鵜呑みにすると酷い目に遭うことが多いです。

先生からの立候補制なのは良いのですが、システムに頼り過ぎず、いずれにせよしっかりとしたFeasibility調査(治験の実施可能性調査)をすることが大切です。

治験君+(プラス)

治験君プラスのコンセプト出典:プレスリリース(2017/02/22)|M3

RBMは、施設毎にリスクを評価してモニタリングの頻度や強度を調整する手法のことです。詳しくは治験でのRBMとはどんなもの?基礎やメリットを分かりやすく解説をしてみるの記事にもまとめてあります。

治験君は、医師から「治験に参加をしたい」という立候補も含んでいるためDr.モチベーションが高い傾向にありますが、治験君+は「質の高い治験を実施できる医療機関の選定」に重きを置いているので「質の高い治験が実施できる=医師のモチベーションが高い」とはならない可能性もあり△があるのだと思います。

治験君で目指すところの「症例の組入れが見込める施設」というのも大切ですが、試験がしっかりと成功しなければ症例が集まっても意味が無いので、「質の高い治験を行なえる施設」というのも非常に重要です。

私の経験上、特に外科領域の医療機器の治験では先生の手技によって治験の結果が左右されることがよくある印象です。

医療機器の治験は勢いがあるので、今後医療機器の治験の拡大に伴って「治験君+」が大きく脚光を浴びる日が来るかもしれませんね。

グローバル試験の高い受託率

治験計画届出件数に占める国際共同治験の割合

今や日本で行われている治験の半数以上が国際共同治験となっているため、CROとして生き残っていくためには国際共同治験の案件をいかに受託できるかにかかっています。

CROの動向を見ていると、10年ほど前までは内資色が強かったシミックもここ数年ではグローバル化に対応した環境の整備が急速に進んでいる印象を受けます。

【CRA職】サイネオスの強みとは?企業研究をしたのでご紹介でも触れた通り、近年ではサイネオスなどの外資系CROも日本で勢力を伸ばしているため、生き残りが非常に熾烈になっていると思われます。

そのような中、メディサイエンスは大手外資系CROとの業務提携も進めており、更にMICメディカルとの合併により大幅に増員されたCRAリソースを保有していることは大きな強みと言えるでしょう。

グローバル対応のためにインターナショナル・コミュニケーションアンドクリニカルシステム室(ICCS室)も設置しているので、強力な基盤が整っていることも伺えますね。

トータルソリューションの提供

MPIのトータルソリューション出典:メディサイエンスプラニング会社HP

トータルソリューションについては、シミックもPVCモデルとして提供をしていますがメディサイエンスでも医薬品開発の初期段階から製造販売後に至るまでをワンストップで対応できるような体制が構築されています。

治験国内管理人業務(ICCC)の業務も受託していることから、海外依頼者からの受入れも広く行っていることが分かります。

大手外資系製薬メーカーは既に大手外資系CROをプリファードベンダー(お得意様契約のようなもの)としていることが多いのですが、中小規模の外資系製薬メーカーの場合、日本での開発を進めたくてもノウハウがなく進めることが出来ない会社もあります。

そのようなニーズにマッチするようなサービスを提供できる基盤を持っていることは、海外からの顧客を取り逃さないために重要であり、メディサイエンスの強みの1つと言えます。

まとめ

今回は内資系CROのメディサイエンスについて触れていきました。

記事では触れませんでしたが、エムスリーグループは2022年1月に被験者募集の最大手3Hグループを買収しており、CRO、SMO、PROの全ての機能を兼ね備えたグループへと変貌を遂げました。

今後の医薬品開発のトレンドであるDCTにも積極的に基盤を整えており、エムスリーグループは今後の治験業界を牽引していく準備を着実に進めている印象です。

この勢いでいけば、数年後には更に大規模になっていることが予測されます。

メディサイエンスはそんなエムスリーグループの一員ですので、今後の活躍が期待されますね!

製薬メーカーやCROの臨床開発職は他の職種と比べると就活の難易度は高いのですが(特に製薬メーカー)、実はしっかりと就活対策ができている方は一握りです。

【ゼロから分かる!】製薬業界&CRO業界の就活戦略まとめの記事には就活戦略を大ボリュームでまとめていますので、そちらも読み込んでおくことをおすすめします!