未経験者がCROへ転職する際に面接でアピールすべきスキルまとめ

CROの職種の中でも特にCRAへの転職は収入アップが見込める可能性が高いため、未経験からの中途入社もそれなりに多いイメージがあります。

実際にCROの中途採用では、経験者だけではなく未経験者についても募集をしている会社があります。

しかし、未経験者がCROに転職するためには自分のアピールポイントをしっかりと面接で伝える必要があります。

そこで、本記事では、未経験者がCROのCRAへ転職する際に面接でアピールした方が良いスキルをお話していきたいと思います。

まずはCRAに求められているスキルを把握する

CRAには、色々なスキルが求められることになりますが、未経験での中途社員には前職で培ってきたスキルの中でCRAの仕事に活かせるスキルをいかに面接のときにアピールできるかどうかが重要になってきます。

CRAの仕事に活かせるスキルをアピールするためには、まずCRAにはどんなスキルが求められているのかを知る必要があります。

まずは、CRAに求められるスキルを把握して、どんな点がアピールできるのかを考えていきましょう。

CRAに必要なスキルには基本スキルと専門スキルがある

CRAとして長く経験してきた私の考えにはなるのですが、CRAに求められるスキルには基本スキル専門スキルがあると思っています。

基本スキルは、その人本来の性格などである程度構築されているもので、初期能力が人によって大きく異なっているスキルになります。

一方、専門スキルは、経験に依存する割合が高く、初期能力は人によって大きくは異ならないのですが、専門的な経験を積むことによって大きく差が開くスキルになります。

基本スキル…その人本来の性格などである程度構築されている
専門スキル…経験に依存する割合が高く、初期能力は人によって大きく異ならない

それぞれの具体的な例は次の章でお話をしていきますが、新卒の社員では基本スキル、未経験の中途社員では基本スキル+専門スキルが求められることになります。

ちなみにですが、未経験の中途ではなく、CRA経験者の中途の場合、専門スキル+経験年数が重視される傾向にあります。

というのも、CROが案件を受託するときには、CRAの経験年数が多ければその分、高い単価を取れるので利益率が上がるので、経験年数が重視されるわけです。

CRAに必要な基本スキルとは?

基本スキルとは、先ほども少しお話したようにその人のもともとの性格などに依存することが多いスキルです。

出来る人は何も意識しなくてもできてしまうし、出来ない人は頑張ってもなかなか得ることが出来ないようなスキルです。

この基本スキルをあまり持っていない場合は、CRAとしての適性に関わってきますので、本当にCRAを目指すべきかをもう一度しっかりと考えてみた方が良いと思います。(やや厳しいのですが、適性が無いまま無理矢理やってしまうと、精神的に厳しくなったりと、ご自身のためにもならないかと思います…)

では、CRAに必要な基本スキルとは具体的にどのようなものがあるのか紹介をしていきましょう。

コミュニケーション能力

CRAは、「臨床開発モニター」という仕事をするわけですが、ただ治験が適切に実施されているかモニタリングをしていれば良いというわけではありません。

CRAの業務の幅は広く、治験の契約書を作成するのに医療機関やSMO(治験施設支援機関)の事務局担当者とやり取りをしたり、治験薬の搬入のために医療機関の薬剤科の薬剤師とやり取りをしたり、被験者の問い合わせをするために医師とやり取りをしたりと非常に幅広い立場の人とコミュニケーションを取る必要があります。

そして、CRAにはそれぞれの立場に合った臨機応変な対応が求められます。

ここで未経験者でもアピールできるポイントがあります。

この“医療機関の様々な方とコミュニケーションを取れる”という能力は、MRや看護師からCROへ転職してくる場合に求められるスキルになります。

MRや看護師からCROに未経験として転職するときには、医療機関の様々な立場の方とコミュニケーションを取っていたという実績をアピールした方が良いです。

実際に未経験でCROに入社してきた元MRの方と仕事をしたときには、医療機関へ訪問することに慣れているので、むしろ私が色々教えてもらったこともあるくらいです。

面接では、医療機関の方とコミュニケーションを取ったときに大変だったエピソードや問題が起きた時にどのように対処したかのエピソードを準備しておくとしっかりと面接官に伝わるかと思います。

また、基本スキルはその人本来のチカラにも依存するので、具体的なエピソードが無かったとしても、様々な立場の方とコミュニケーションをうまく取るためにどういうことを心掛けているかを考えておけば良いでしょう。

スケジューリング能力

CRAの仕事は色々なシチュエーションでスケジューリング能力が必要な場面が出てきます。

例えば、治験の立ち上げ時期(初期)であれば、担当している医療機関で治験を始めるために必要な書類を提出する期限が色々とあったりしますし、実際に治験が始まれば担当しているいくつかの施設を効率良く訪問して業務をこなす必要があります。

どのような仕事でも多かれ少なかれ多忙な時期はあるかと思いますので、そのような時期にどのようにしてスケジューリングをして切り抜けたかのエピソードを話すことが出来れば大きいかと思います。

ポイントは、複数の部署間や色々な方とのスケジュール調整をどのようにしていたかという点です。

自分自身で完結してしまうスケジューリング調整(例えば、8時に出社して9時にメールの返信をして…など)ではなく、相手とスケジュール調整をするというプロセスが大切です。

ある意味では、コミュニケーション能力の要素も入ってくるということになります。

ロジカルシンキング能力

CRAに求められるスキルとして「コミュニケーション能力」と「スケジューリング能力」はよく聞くかと思いますが、ロジカルシンキング能力というものも非常に重要です。

ロジカルシンキングとは、ある物事に対して筋道を立てて論理的に考え答えを導き出していくことです。

CRAとして仕事をする際には、様々な方とコミュニケーションが必要になりますが、良好なコミュニケーションには良好な信頼関係が必要です。

そして、その良好な信頼関係を築くには、ロジカルシンキングの考え方も必要になります。

つまり、CRAとしてロジカルシンキングがなされておらず、適当に受け答えをしてしまった場合、相手にうまく納得してもらえず、「何言っているんだこの人…?」と思われてしまい不信感を抱かれてしまいます。

しっかりとロジカルシンキングが出来ていれば相手にも納得してもらえやすく、信頼してもらえるため、結果として良好なコミュニケーションを築くことができます。

このロジカルシンキングの能力については、面接での受け答えで面接官が感じ取るものですので、具体的なエピソードはあまり必要無いと思っています。

面接では、「なぜ未経験からCROに入社しようと決めたのか?」というような質問が来るかと思いますが、その質問に対して論理的に回答をすれば、ロジカルシンキングの能力は示せるはずです。

ロジカルシンキングの例

もともと製薬業界に興味があったことからMRに新卒で入社した。
MRとして様々な医療機関に訪問しているうちに新薬の開発にも興味が沸いた。
所属している会社は糖尿病に特化した新薬の開発をしている。
しかし、自分は糖尿病に限らず色々な領域の開発に携わりたいと思っている。
色々調べてみると、CROであれば色々な領域の開発に携われることを知った。
また、CRAではMRで培った知識やコミュニケーション能力が活かせると考えた。
そのため、CROのCRAとして転職することを決めた。

面接では、色々な質問が想定されるので、その質問について論理立ててしっかりと回答をすれば自然とロジカルシンキングの能力は伝えることが出来るかと思います。

 

正確性

最後の基本スキルは正確性になります。

CRAは治験が適切に実施されているかをSDV(原資料直接閲覧:Source Document Verification)という方法で確認していきます。

SDVでは、病院のカルテなど(原資料)に記載されている情報と治験として収集したデータをまとめている症例報告書という資料の間に不整合が無いかを確認していきます。

つまり、治験としてのデータが正確に収集されているかを確認する必要があるため、正確性が求められます。

正確にデータを集められていることを確認するということは、治験としてのデータの質を担保するということです。

逆に確認が適当で、不整合があっても多く見逃してしまっている場合は、データの質が悪くなってしまうことに繋がります。

もちろんミスを全くしないというCRAはいませんので、いかにそのミスを抑える対策をしっかりしているかが重要です。

正確性についてアピールするときは、間違えがあまり許されないような作業をするときにどのようなリスクマネジメントをおこなってミスを抑えていたか、そしてそれがCRAの業務にどう活かせるのかをアピールすると良いでしょう。

CRAに必要な専門スキルとは?

最後の基本スキルは正確性になります。

CRAは治験が適切に実施されているかをSDV(原資料直接閲覧:Source Document Verification)という方法で確認していきます。

SDVでは、病院のカルテなど(原資料)に記載されている情報と治験として収集したデータをまとめている症例報告書という資料の間に不整合が無いかを確認していきます。

つまり、治験としてのデータが正確に収集されているかを確認する必要があるため、正確性が求められます。

正確にデータを集められていることを確認するということは、治験としてのデータの質を担保するということです。

逆に確認が適当で、不整合があっても多く見逃してしまっている場合は、データの質が悪くなってしまうことに繋がります。

もちろんミスを全くしないというCRAはいませんので、いかにそのミスを抑える対策をしっかりしているかが重要です。

正確性についてアピールするときは、間違えがあまり許されないような作業をするときにどのようなリスクマネジメントをおこなってミスを抑えていたか、そしてそれがCRAの業務にどう活かせるのかをアピールすると良いでしょう。

カルテを読むための知識

CRAの仕事で比較的大変な部類に入る業務として、治験に組み入れられた被験者の適格性に問題が無いかを調べる作業があります。

治験では必ず治験実施計画書(プロトコール)というものが作成されており、そのプロトコールの中にその治験に参加可能な条件(適格性)の判断基準が記載されています。

CRAは、その医療機関がその判断基準にしっかり従って被験者を選出しているかをカルテの情報などを読み取り確認をしていきます。

CRA未経験であっても、例えば看護師から転職をしてくる場合にはカルテの読み方には比較的慣れているはずですので、その能力はCROの面接でアピールできるポイントになります。

具体的には、「傷病名一覧」、「保険病名」、「SOAP」など、これらの意味がぱっと分かるだけでも全然仕事のやりやすさが違います。

カルテの傷病名一覧に「狭心症(あるいは狭心症疑い)」と記載があり、心電図を測定していた場合、知っている方であれば「ああ、心電図を測定するために付けたのか」と思いますが、カルテを全く読んだことが無いとそのことにも気が付けません。

そのため、CRAとして仕事をするうえで、カルテを読めるということは、適格性についての確認がスムーズになるためアドバンテージとなり、アピールすべきポイントになります。

臨床検査値についての知識

CRAが適格性を確認するときは、臨床検査値についても見なければいけない場合があります。

例えば、プロトコールに「肝機能障害を有する患者を除外する」と規定されていた場合には、それを確認するためにまず臨床検査値を見ていきます。

臨床検査の報告書をみるとずらりと色々な項目が並んでいますが、この時に臨床検査値の知識が無いと、どの項目を見たら良いかぱっとは分かりません。

一方、もし臨床検査値についての知識があれば、「肝機能」と聞けばすぐにAST、ALT、γ-GTPなどを見れば良いと分かりますし、臨床検査技師からの転職であれば、エコーの画像を見て白っぽく光っているのが認められれば「脂肪肝かな?」という考えにまで至るかと思います。

臨床検査値や検査の所見についての知識があることで、医師に症例の問い合わせをする際にディスカッションができ、CRAとして正確な情報を得ることができるのです。

臨床検査値や色々な検査に関する知識はこのようにCRAの仕事でも活かされるので、特に臨床検査技師から転職される場合にはアピールできるポイントになります。

薬学についての知識

カルテを読むための知識と臨床検査値についての知識で、CRAの適格性確認の場面で力が発揮できると紹介してきたので、薬学についての知識も同じく適格性の場面でどのように活かされるのか紹介をしていきます。

治験のプロトコールには、プロジェクトにもよりますが、それなりの数の項目が設定されています。
その中には、もちろん薬学の知識が必要な項目もあったりします。

例えば、「NSAIDsの常用が必要と判断される患者は除外」というような項目です。

薬学の知識があれば、併用薬に「ロキソニン」とか「セレコックス」があれば「NSAIDsだ、ダメだ!」とすぐに分かりますが、やはり薬学の知識が無いとそれも分かりません。

また、少しだけ知識があったとしてもアセトアミノフェンとの違いもよく分からなかったりするでしょう。

また、「ピロリ除菌実施者は除外」という項目があり、併用薬に「ランサップ」があれば、「あれ…?」と気が付けるはずです。

これも、薬学の知識が無いと、全く分からず見逃してしまう可能性もあるのです。

このように薬学の知識、特に調剤薬局などで薬剤師をしていて転職をされる方であれば、色々な薬剤を扱っているのでその点をアピールすることが出来ます。

まとめ

一人前のCRAになるには、今回紹介した基本的スキルと専門スキルを全般的にカバーした総合力が必要になってきます。

その中でも専門スキルの一部については、むしろ現役のCRAよりも実務を経験して知識を持っているCRA未経験の中途社員の方が能力が高いこともよくあります。

基本的スキルについては、その土台がある前提で、専門スキルについてどこまでアピールできるかが未経験でCROの面接にパスするためのポイントになってくるかと思うので、面接前には是非考えてみてください!