私はTwitterで時々超人的な言われ方をすることがあるのですが、実は全くそんなことはなくてCRAをやっていた時に実は病んだりしたこともあります。
今となってはメンタルも相当強くなったと思いますが、現在進行形でつらいという方もいるかもしれないので今回は私の経験談を少しお話したいと思います。
治験業界でかれこれ10年以上働いています。Twitterでのフォロワー数は4,000人程。今回は私のCRA時代の大変だった過去の経験談をお話していきます。
伝えたいメッセージ
少々お話が長くなってしまうかもしれませんので、先に今回お伝えしたい2つのメッセージを書かせていただきます。
- 「自分が本当にやりたいことを見失わないで」
- 「メンタルを強くしていくためには自信を付けること」
この2つです。
このあと、私が「CRAを辞めるかどうか」という大きな選択をしなければいけない時のお話をしていくわけですが、決断をする時に大きな迷いがありました。
“今まで積み上げてきたキャリアが無駄にならないか”、“でもやっぱりこの状態から今すぐ抜け出したい”などなど、色々な思考がぐちゃぐちゃと頭の中で渦巻いているのですよね。
感覚としてはメンタルがボロボロの状態で真っ暗闇の中にいるような感じで、どこに進んだら良いのか分からない状態。
今はその暗闇から抜け出してかなり充実した日々を過ごしています。
経験談をお話するのは少し恥ずかしいのですが、これで1人でも誰かの心が救われれば意味があることなのかなと思い切って書いてみることにしました。
今は平穏な方でも何か起こってしまった時のために頭の片隅にでも置いておくと役に立つ時が来るかも?(そんな時は来ないでずっと平穏でいて欲しいですけどね!)
苦しいなと感じている方にとっては、少しでもご参考になれば嬉しいです。ちょっとばかり長いですがお付き合い下さい。
入社当初に思い描いていたキャリアパス
私は就活では、製薬メーカーの臨床開発職とCROのCRA職から内定を貰って、最終的にはCROのCRA職としてキャリアをスタートさせることにしました。
周りからは製薬メーカーの臨床開発職を強く勧められましたが、転職=キャリアアップなのか?私のキャリアプランについて語ってみたの記事でも触れた通り自分の中では意志があって選択をしたことです。
ざっくりと言えば、CROで多くの経験を積んでその知識を活かして最終的には製薬メーカーでプロトコルの作成や開発戦略に関わるお仕事に関わりたいと思っていました。
そのため、「CROで色々な治験の経験を積む」というところからスタートするのですが、そう簡単にはいかないのですよね。
何も辛いことやキツイことが無く穏便にCRAとしての経験を積ませてくれたら嬉しいのですが、世の中そう甘くはできていないことをCRA・のりすは分からされることになります。
精神がやられるまでの前兆
CRAとして入社する前から「CRAは激務だからヤバイぞ」と大学や大学院の先輩から散々脅かされていました。
確かに試験の立ち上げの時期は100時間近くの残業になることもあり、朝起きた時に肋間神経痛でやられることもありましたが、残業代がいっぱい入ることと一時的なものだったので何とか乗り越えられていました。
私の場合は体力的なところでは問題無かった…ただ、精神的なダメージは違った。
私がダメージを負っていたのは、依頼者と施設の板挟みになった挙句、依頼者の意向を施設に伝えCRCさんから強い口調で拒絶される時でした。
「そんなこと知りません」、「それをお願いされても無理なのでやりません」などなど、今までには経験をしたことがない対応に迫られ、精神がすり減らされていたことが残業よりも圧倒的にきつかったですね。
とはいえ、「辛いなぁ」、「きついなぁ」、「しんどいなぁ」と思いながらもなんとかCRAを続けることができていました。
徐々に蝕まれていく精神
今になって当時の自分を振り返ってみると、確かに私の気遣いが欠けている部分がありましたし、今ならもっと上手く出来るのになと思う部分はあります。
ただ、当時の私は如何せん余裕が無いですからね。そのようなことを考える余裕も無いのですよ。
また、依頼者も非常に厳しい方たちでモニターが詰められてしまうこともあったのですよね。進捗発表の時とか特に(分かる方もいますかね)。
このようなことが積み重なってくると、辛い日々が増えてきて自分の思考もネガティブな方向に傾いていきました(当時は気が付かなかったでしょうが…)。
【のりす式CRA精神危険度診断】
理不尽めな理由で怒られた時の反応は?①やらかした…何でできないんだろう…申し訳ない。(危険度:高)
②そんなに言われることなのかな…?でも、謝るか。(危険度:中)
③え?なに?ここで怒るとか意味不でしょ。(危険度:低)
④君面白いね。(危険度:極低)— のりす (@Chikennochikara) April 20, 2022
このツイートで言えば①の状態だったので危険度はかなり高い状態でした。
厳しい口調のCRCさんに電話をする前には深呼吸をして気持ち的に気合を入れてからでないと電話をかけられない状態でしたし、依頼者会議で名指しされる度に変な緊張が走ることも。
そのような日々が続けば当然あのことが頭をよぎるわけですね。
「CRA…辞めたいな」…と。
ついに崩壊
そんな不安定な心境でしたが、そのプロジェクトは何とか終了してチームが解散となり一度リセットされた気持ちになっていました。
通常、CROの場合はCRAの稼働率が売上に大きく影響しますので稼働率を下げないようにプロジェクトにアサインをされていない期間はなるべく作らないように調整をします。
しかし、私のプロジェクトへのアサインは少し遅く「何でだろうな」と漠然と気になっていました。
そのような中、上司に呼び出されて私が想像をしていなかったことを言い放たれました。
「CRA辞めない?別の部署に異動しない?」と。
頭が真っ白になりました。いったい自分が何を言われているのか理解するまでに30秒ほどかかったかもしれません。
辛いとは言いながらもCRAとしてのキャリアを積んでいこうと考えていた私にとっては受け入れ難いことで必死に食い下がっていました。
説明では、先ほどの精神的に少しやられていたタイミングでパフォーマンスが落ちていたので…ということでした。
それからは度々会議室に呼び出され、徹底的にダメ出しをされて私の口から「CRAを辞めます」と言う言葉を引き出すまでそれが続きました。何日も何日も。
その上司は会社内での評判はとても良い方だったので、私は社内の人には誰にも相談が出来ずに毎日もがき苦しんでいました。
本当に文字通りもがき苦しんでいたので、食事も喉を通らないですし何をやろうにも気力が出ない。休みの日なのに何故か倦怠感がある。
出社をする前には相当気合を入れないと出社できないですし、出社をしたとしてもいつ会議室に呼び出されるか怯えなければいけない…地獄でした。
人生の大きな選択
そんな状態で精神が長く続くはずもなく、ついに会社を辞めようと決断しました。
ただ、どこに転職をしようかという問題が残っていました。
CRAなので、転職先はいくらでもあるのですがそこで頭をよぎったのは「CRA…またやる?」というものでした。
それだけ精神的ダメージが大きかったのですよ。CRAという職種から逃げ出しかったのかもしれませんね。
でもそれと同時に、「別職種に行くと今まで積み上げてきた経験が無駄になってしまうのではないか」という思いもあって随分と悩みました。
CRAの求人はもちろん色々ありましたが、CRAからのキャリアチェンジで内部監査やPVやMSLへの道もありました。探そうと思えばCRCへの道もあったかもしれませんね。
随分と悩み抜いて答えを出しました。
「もう1回、CRAやってみよう」
もがき苦しんできた中で1つ1つ紐解いて考えていくと、「自分はCRAという職業はとても好きで、精神的に厳しかったのは環境が原因だった」ということに気が付きました。
CRAという仕事が嫌だったのではなくて、その過程で関わる「人からの精神攻撃」が嫌だったのですよね。
CRAという仕事について、“仮に皆がとても優しく精神的に詰めてこないとしたらどう?”と考えたら、「それならやっぱり続けたい」と思いました。
もちろん、CRAを続ける以上は色々な人に接しなければいけないので“関わる人全員が優しい”なんてことはとても運が良くなければ無いのかもしれません。
しかし、「それって他の職種でも同じじゃない?」と考えたのですよね。
そうして、CRO→CROへの転職をしたわけですが、転職先ではCRAとしてとても楽しく仕事をさせていただきましたし、「やっぱりCRAで良かった」と強く感じることができました。
CRAとしての仕事内容は同じでしたが、環境が変わってここまで自分の精神状態が変わるものかと驚きもありましたね。
この経験から得た学び
冒頭で伝えたかったメッセージとしてお伝えした2つの言葉を簡単にですが説明をしたいと思います。
自分が本当にやりたいことを見失わないで
これは、CRAを辞めるかどうかという大きな決断をする時に考えたことでした。
お仕事というのは、どのお仕事をするにもやっぱりキツイなと思うことや辛いなと思うことってあると思います。
そこで一番大切だなと感じたのは、その仕事が好きかどうかだと思うのですよね。
私の場合は、“仮に環境がとても良い状況であればCRAを続けたいか”という問いにはYESと回答でした。
もちろん、ここは人によって答えは異なるはずで仮に環境が良くなったとしてもCRAという仕事自体が自分には合わないし辞めたいと思う方もいますよね。
答えが「No」の方は多分CRAを無理矢理もう1回やっても「やっぱりCRAで良かった」とはなりにくいかもしれません。
私のように答えが「Yes」の場合、つまりCRAという職業自体は好きだけど環境が嫌だったという方の場合は、転職をして環境を変えることでモチベーションを立て直せる確率が上がると思います。
精神が弱っているときはどうしてもその場から遠ざかる選択をしやすいのですが、一度「自分が本当にやりたいのは何か」を考えてみるのもありだと思います。
ちなみに、CRAから一度離れて気持ちが落ち着いたら改めて考えてみるというのも全然ありだと思います。
個人的に一番おすすめしないのは、我慢し過ぎてしまうことです。
私はギリギリのところで持ちこたえましたが、あと一歩遅ければ会社にも行けないくらいの精神状態になっていたかもしれません。
初めての転職の場合は特に一歩を踏み出すのに勇気がいるかもしれませんが、精神が壊れてしまうのだけは避けなければなりません。
上司に相談をして環境を変えられるのであれば転職は不要かもしれませんが、私のように相談できない場合や相談出来たとしても対応をしてもらえないこともあります。
その場合は、転職という選択肢も考えても良いと思います。逃げではなく成長のためです。
だって、精神状態が不安定のままそこで仕事をしていても正常な状態で仕事をするよりも圧倒的に仕事の質もモチベーションも違うと思いませんか?
メンタルを強くしていくためには自信を付けること
エピソードの中ではあまり触れなかったのですが、転職をしたあとのCRA時代にも当然精神的攻撃力が強い方に遭遇することはありました。
でもその時はもう以前とは違った。私はそう簡単にはやられませんでした。
何が前と違うのだろうと考えてみましたが、おそらく経験から来る自信が付いたことだと思います。
転職をしてからのCRA時代は、今まで消化試合であった業務の質を上げることに注力していきました。
3年目にもなれば大体CRAとしてどのような仕事をするのか、施設毎にどのように対応すれば良いのかが分かってきたので、それ以降は完成度を高めていくフェーズに移行していましたね。
どのように完成度を高めていったかはお話すると長くなるので割愛しますが(ご要望があれば記事化するかも?)、自分の仕事に段々と自信を持てるようになっていけたのが大きな違いだと思います。
自信が持てるようになると、今まで同じような理不尽な精神攻撃を受けた時も「え?それはそちらの考え方が間違っているけど…」と心の中で少し怒れるようになっていきました。
さきほどのツイートの「のりす式CRA精神危険度診断」でいう「③え?なに?ここで怒るとか意味不でしょ。(危険度:低)」までになっていたのでしょう。
精神攻撃を受けた時に、「動揺・悲観」から「怒り・反発」に切り替わっていけた頃にメンタルが強くなったなと感じました。
ですので、自分を守るためにも日々の知識を増やしておくことや1つ1つの仕事を高い品質にもっていくことを意識してみるのも良いかもしれません(オーバークオリティはNGですが)。
まとめ
長々と私の経験談にお付き合いいただきましてありがとうございました。5000字近く書いているので読むのも大変でしたよね。
CRAをやっているとつらいことやしんどいこともあるのですが、そのような時にどのように立ち回るのかのご参考になれば嬉しいです。
何かとストレスが多いCRAですので、万が一の時に備えて転職というカードを持っておくと精神安定剤になるのでおすすめです。
そして、現在進行形でつらいなしんどいなと悩んでいる方は無理し過ぎないで下さいね!
辛い環境から生還できれば、きっと「精神的につらい状況の方にも親身になれるCRA」というあなたオリジナルのステータスが付くのではないでしょうか!
CRO業界(その中でも特にCRA職)は、色々な理由から転職が多い業界ですが、今回はそんなCROの転職についてまとめていきたいと思います。 私自身、CRO→CROへの転職、そしてCRO→製薬メーカーへの転職を経験をしている …
“【後悔しないために】CRAを辞めたいと思った時の赤裸々体験談をお話します” への3件のフィードバック