7.「#ジブリで学ぶ臨床開発」をまとめてみた_第3弾

「#ジブリで学ぶ臨床開発」をまとめてみたシリーズの第3弾になります。

2020年9月18日にスタジオジブリの公式HPで過去のジブリ作品の画像の提供が始まり、Twitterの臨床開発界隈でも実際の現場のリアルがイメージできる秀逸な作品が数多く誕生し、投稿されてきました。

「治験」と聞くと、何だか怖いイメージを持ってしまう方もいるかもしれませんが、実際の現場では作品にあるような感じで関係者は日々奮闘しています!

そんなリアルな治験の現場を覗いて見て下さい!

今回の「#ジブリで学ぶ臨床開発」

前回は、2020年10月9日までに投稿された作品をまとめていきましたが、今回は10月10日以降の作品をまとめていきました。

本記事で執筆時点で前回から追加提供されたジブリの画像は以下の15作品になります。

ジブリで学ぶ臨床開発ラインナップそして、本日2021年1月21日時点で、前回から76作品もの投稿がありました(「#ジブリで学ぶ臨床開発」を抽出)。

今回はその中からいくつかの作品をピックアップしてみなさんにご紹介していきます。

もし第1弾、第2弾をまだご覧になっていない方がいたらそちらも併せてご覧下さい。


メーカーサイドの視点

治験では、主に依頼者(製薬メーカー・医療機器メーカー)側の立場と施設(医療機関)側の登場人物が出てきます。

「#ジブリで学ぶ臨床開発」シリーズでは素晴らしいことに、どちらの立場の方からも作品が投稿されています。

そのため、まずはメーカーサイドの視点での作品を紹介していきます。

メーカーサイドの視点では、医療機関で治験が適切に実施されているかを確認する立場であるCRA(臨床開発モニター)さんからの投稿が多くありました。


「データクリーニング」とは、EDC(治験のデータを入力するシステム)に入力されたデータのクオリティをチェックする一環の作業のことで、DM(EDCを管理する部門)からの問い合わせを受けたCRAは、施設(治験実施医療機関)に状況を確認しにいく場面があります。

通常、CRAが日々のSDVでしっかりと指摘を挙げていれば問題無いのですが、治験の最終段階に行われるデータクリーニングで指摘事項が見つかってしまうと、今回の作品のように1年前の状況を問い合わせるという事態にもなってしまうのです。

時間が経過すればするだけ、当時の記憶は薄れていくのでデータの質の低下に繋がりかねません。

治験に協力して下さっている被験者さんのご厚意を無駄にしない為にも質の高いデータを取ることを心掛けたいですね!


これはですね…よーく分かります!

特に少し大きめの病院の場合、慣れていないと病院内が迷路のように感じてしまうこともあり、私も彷徨ってしまったことが何度か…!

油断をしていると、本当に分からなくなるので、私は初めて訪問する施設の時には、道順(階数を含む)を手帳に書いておくことにしています。

その時は覚えていても、次回の訪問が1ヶ月後とかになると意外に忘れているので…

これからCRAになる方がいらっしゃいましたらご注意くださいね!

逸脱とは、治験実施計画書(プロトコル)や各手順書に規定された手順から外れた行為のことを指します。

例えば、「Visit2はVisit1の1週間後(±1日)に来院すること」と決められているにも関わらず、10日後に来院していたら逸脱ということになります。

この作品は、そんな逸脱に関連してのCRAとCRCさんのリアルな描写ですね!

サンの「あ…」という表情と、アシタカの「ふむ…」という表情がなんとも。

逸脱には、しょうがないものもあるのですが、この表情から察するに恐らく単純に手順をミスってしまったのでしょうね。。


SIVとはSite Initiation Visitの略で、施設で治験を開始する一番最初に医療機関の各スタッフに行う治験の説明会みたいなイメージを持ってもらえれば良いかと思います。

似たような意味で、SUM(Start Up Meeting)という言葉もあり、微妙にニュアンスは違うのですが、大体一緒だと思ってもらっても大丈夫です。

そして、そんなSIVでは、参加して下さるスタッフ用にお弁当を配ることも多くあるのです(お弁当を手配するのもCRAのお仕事!)。

お弁当はCRAが選ぶことができるので、お弁当が余ることを見越して自分が好きなお弁当を選ぶことも可能ということです。

この作品では、SIVで余ったお弁当があったのでテンションが上がっているCRAでしたが、横からSub-I(治験分担医師)に医局で配る用に持って行かれてしまった場面ですね。

あともう少しでお弁当にありつけたのに…惜しかったですね!!


CRAで担当する施設は全国津々浦々です。

新人の頃は、何かあっても先輩がすぐに駆け付けられるように会社近辺の施設を担当することが多いのですが、経験を積むと遠方の施設を担当することもよくあります(私は、北海道全域がテリトリーでした!屋久島を担当したことも…!)。

その為、この作品のようにとても田舎の施設に行くこともあったりします。

のんびりとした空気で、電車に乗っていても本当に昼寝をしたくなるくらい気持ち良いことも。

ただ、作品にもある通り、本当にその電車で間違っていなのかはCRAとしては常に不安なところ。

初めて行く施設は時間にかなり余裕を持って行った方が良いです、本当に…!


PCも電卓も部に1台しか無かった時代…

今や統計解析は、手で計算することはほぼ無く、解析ソフトを使うことがほとんどかと思いますが、昔は電卓で計算をしていた時代もあったのでしょうね。

そうなると、計算ミスも今よりもっとあったと思いますし、文明の利器って凄いですね。


こちらもお爺様による昔話のようですね。

今やスマホで電車の時間や地図もバッチリ見れますし、なんならGPSまで使えますが、スマホが無い時代は地図を打ち出して印を付けてということもあったのでしょうね!

私は今でも念のため施設情報をまとめた紙を持ち歩いていたりします(パッとすぐに確認できるように)。


担当施設で思うように症例がエントリーされないというシチュエーションにはCRAとして長く経験をしていればどこかで必ずやってきます。

この作品にもアイディアが沢山書いてありますね!

もちろん、希少疾患等の治験の場合は、あらゆる手を尽くしても症例がエントリーされないという事もあるのですが、とにかく考えられる対策は全て講じておきたいもの。

この辺りは、CROのCRAの方がノウハウを沢山知っているので、メーカーはCROにプロとしてその部分をお願いしているとも言えます。


CRAは、外勤時のスケジュール管理においては比較的自由度が高い職種です。

なので、遠方施設を担当していた場合も、やるべきことさえ終わってしまえば、14:30に切り上げるということも確かに可能ですね!

ただ、医師面会が午後診療後とかの施設の場合は、その時間まで施設にいなければいけないので注意が必要かもしれません。

また、遠方施設と書いてある通り、会社から近い施設の場合、早く終わったら会社に戻るという決まりのところもあるのでその辺りは注意が必要ですね!


治験関連の資料でも捺印や押印が必要な資料は発生してきます。

会社によっては、その社印を押す手続きが煩雑で数日を要することも。

最近では、全体として押印省略の流れになってきていますが、捺印や押印があるだけで、色々と面倒なことも多いのです。

世間一般でも押印省略の流れが進んでいるので、今後は治験の現場でも更に押印が減ってくるのかもしれませんね。


書式16とは、いわゆる「安全性情報等に関する報告書」のことです。

治験薬(今後は治験使用薬)に関連した副作用情報がまとめられている報告書で、この資料は基本的にIRB(治験審査委員会)で審議される必要があります。

「安全性情報等に関する報告書(書式16)」は、治験依頼者(製薬メーカーや医療機器メーカー等)が発出する資料で、治験実施医療機関の長に提出をして、実施医療機関の長からIRBに提出することになりますが、条件を満たせば、依頼者から実施医療機関の長とIRBに直接送付することが出来ます。

この作品では「直送」と言っているので、”条件を満たしているから、IRBに直送よろしく!”ということを伝えているのでしょうね。


先ほども少し出てきた、院内迷子案件ですね。

医局の場所は確かにとても分かりにくいことがよくあるので、特に注意が必要です。

迷子になりそうなときは…CRCさんに泣きつくことも…笑

CRCさんもやっぱり最初は迷うんですかね…?


治験に関連した資料は、超極秘資料になります。

ましてや、プロトコルや治験薬が第三者の手元に渡ろうものならかなりの勢いで怒られることになるので、CRAは特に気を付けなければいけません。

「そんなことある訳ない」と思ったあなた!実際、飲み会で酔って帰宅中に電車にPCと社用携帯が入ったバックを置き忘れてそのまま無くなってしまった事案を私は3回も聞いたことがあります!

そんな私も、早朝移動の新幹線の中で目覚めた時に目的の駅に到着していて、急いで新幹線を降りた時にキャリーバックを上の棚から降ろすのを忘れて下車してしまったこともありました。

その時はなんとか直前で気が付いて、キャリーバックを持ってこれましたが、皆さんも気を付けて下さい…。

ちなみに、万が一そういう事態が発生してしまったら、直ぐに上司に連絡することをおすすめします。

黙っていると本当に大事になってしまうので…


治験では、資料をPDFなどで電子化をした上で保存しておくことがあります。

日本人は比較的しっかりとスキャンをしてPDFのデータをくれますが、国によってはかなり適当なこともあるようです。

PDFにしたとしても、ちゃんと読めなければ意味が無いので、その辺りはしっかりとやってもらいたいところですね。

作品の場合は、撮り直しすら出来ない状況とのこと…この後どうしたのでしょうね。

しょうがないから、その斜めの資料を保管したのでしょうかね(無いよりはマシなので…)。


治験に組み入れるためには、プロトコルで規定された「選択基準」に合致していることや、「除外基準」に抵触していない必要があります。

その基準があまりにも厳しいと、CRAとしても”本当にこれで患者さん入るのかな?”と疑問に思うこともしばしば。

他には、プロトコルで規定されている治験のための来院スケジュールが非常に厳しかったりする場合も、そう思うことがあったりします。


プロトコルの改訂が続いたり、EDCの入力項目が増えたりしてしまうと、現場側としては非常に負担です。

業務の手順が変わるのもそうなのですが、例えばプトロコルの改訂があった場合には、改訂に伴いIRB審議や治験責任医師からの合意なども必要になってきます。

つまり、現場側としては、その辺りをコロコロ頻繁に変えられては非常に困るのです。

この傾向は、特に外資系に多く、日本でオペレーションをする立場の担当者がグローバルの意向をそのまま全て飲み込んでいると現場は大変な目に遭います。

その変更が本当に”日本でも必要なことか”等、しっかりと考えていく必要があるということですね。

医療機関サイドの視点

医療機関サイドの視点では、治験が円滑に進むように医療機関内で活躍をするCRC(治験コーディネーター)さんからの投稿が多くありました。

CRCさんは、医師と連携して治験が円滑に進むようにフォローする役目だけあって、医師に対する作品も多く、メーカーサイドとはまた違った視点の作品が見られるので、ご紹介していきます。


AST、ALTのような肝機能を見る臨床検査値については、ほとんどの治験で除外基準や中止基準に規定されています。

grade3だとすると、どちらも基準値の5倍~20倍の数値になります。

このレベルですと、肝機能系の治験でない限り、ほぼ中止+有害事象(場合によっては副作用)になることでしょう。


特に経験が浅いうちにプロトコルを初めて開くと何が何だか分からないかもしれません。

そんな時には、同意説明文書から読み始めてみるのも手かと思います。

同意説明文書は、一般の方に説明する用に作られている資料なので、どんな試験かを把握する取っ掛かりとしてはまずはそこから読み始めた方が入り込みやすいと思います。

同意説明文書で大枠を確認した後、プロトコルの要旨や骨子の部分を読み始め、徐々に具体的な内容を確認していく感じで私は進めていました。


治験ではそれぞれの手順について細かく決められています。

特に薬物動態を見る治験ともなれば、治験薬投与後1分後に採血ということもよくあることです。

もちろん、医療機関側の看護師さんの視点からしたら「面倒だわ!!」と思われる場面も多くあると思いますが、治験なのでやっていただくしかなく、そこを頼み込みして下さるCRCさんには頭が上がりません。。


C1D1ということは、抗がん剤の治験でしょうか。

PK(薬物動態)とECG(心電図)もそれぞれあり、しかもアロワンス(許容範囲、これを超えると逸脱!)も短い!

更に、外来に3人被験者さんが来るとは大忙しですね…

ただ、この作品からは、それをやってのけてしまいそうなくらいの気迫を感じます。

CRCさん、本当に凄い…


IMとは、Investigator Meetingの略で、各治験実施医療機関の治験責任医師をホテル等の会場に集めて治験の説明会を行うものです。

治験責任医師の他に、メイン担当をするCRCさんを招待することもよくあり、遠方からのご参加の場合は、宿泊をして参加されることも。

ゲストが止まるホテルなので、比較的良いグレードのホテルをメーカーは手配する訳ですが、ホテルの朝食も必然的に良いものが出てくるのです。

私が企画したIMの時にも、ニコニコしたCRCさんが来場されていたことがありました。

ということで、治験の方もよろしくお願いしまーす!!


CRAは、問合せ事項があるときには、資料にペタペタと付箋を貼って目印にすることがあります。

色々方法はあるのですが、CRCさんがFB事項の対応が完了したら「済」など、付箋に書いてくれる場合もありますし、対応が完了したら付箋を外すこともあります(個人的には、外さないで欲しいです!)。

つまり、CRCさんも問合せ事項がある時にはその付箋を目安に資料を確認することがあるのです。

そんな中、付箋なのでポロっと外れてしまうことも。

どこから落ちたものか分かりませんが、修正の対応が漏れていないことがだけが気になりますね!


忙しい先生は捕まえるのに一苦労。

治験では、先生に記載してもらわなければいけない資料や、カルテの内容などで確認しておかなければいけないことが発生してきます。

油断をしていると、気が付いた時には先生が帰宅しているなんてこともあるみたいで、CRCさんは必死に先生を捕まえようとしている様子が伺えますね。

階段同行…疲れそうですね。。

依頼者サイドの私からは、本当にいつもありがとうございますとしか言えない。。


AEとはAdverse Eventの略で、つまり有害事象のことですね。

そして、有害事象の定義は、「投与量にかかわらず、投与された治験薬に対するあらゆる有害で意図しない反応(臨床検査
値の異常を含む。)」となっています。

この”有害で意図しない反応”について、”髭の剃り跡がヒリヒリする”というのが当てはまるかを問い合わせているのですね。

依頼者やPL(Project Leader)によっては、何でもかんでも確認をしてこいというスタンスの方もいるので、新人のCRAにとっては立ち回りが難しいこともあるかと思います。

あまりにも”これはどうなのかな…?”と思うような記載があるのであれば、まずは、先輩やPLに確認してみるのも良いかもしれません。

後は、経験を積んでいくことで現場での”空気を読む”というスキルを磨いていくと良いでしょう。


確かに病院に籠っていると外の様子が全然分からないですよね。

SDVをしているときも似たような感覚になることがあって、院内にいる間に、雨が降る⇒雨が止むという流れが完結していることもあります。

そんなときには、”長い間、中にいたのかぁ”としみじみ思うときもあったりします。


先生とのアポイント待ちを診察室の前でしているCRCさんの様子ですかね!

特にCRAとの面会があるときには、CRCさんが頑張ってPHSで何度も電話をかけてくれていることがあります。

こんな感じで、先生との面会時間は後ろにずれることも想定して飛行機の時間などは決めておくこともCRAには必要ですね!

スマホからサクッと搭乗時間を変更できるようアプリをしっかりインストールしていおくことも重要だと思います!


状況設定がかなり細かくされているので、これはえーさんのリアルな状況なのでしょうね笑

えーさんは、当日にワークシート(治験の為に得た情報まとめた紙)を記載して下さっているようですが、CRAがSDVに行ってもワークシートが作成されていないということもあったりします…

なので、えーさんのようにしっかりとワークシートを作成して下さるCRCさんは本当に助かります。

でも、無理をし過ぎて体調を崩さないようにお気を付け下さいね!


治験の為に得た情報は、EDCというシステムに入力していくのですが、入力された数値に明らかな齟齬などがあった際には、システムクエリといって自動的に疑義事項が発出されるようになっています。

例えば、「生年月日」という項目があったとして、そこに「2100年1月1日」と入力をしたら、「未来の日付が入力されています。入力内容をご確認ください」というようなものです。

上記のような要領で、入力必須事項に項目が入力されていない場合は、「●●に数値が入力されていません」などのクエリが発出されることがある訳ですが、時々、EDCの入力マニュアルには「入力しなくても良い」となっているにも関わらず、未入力のクエリが出てしまう場合もあるのですよね。。

これは、クエリを組む際のロジカルにエラーがあるものなのですが、これを変えるのにも実は費用がかかってしまうので、しばらく放置されてしまうことも。

毎回クエリが出ると、現場側としてもストレスが溜まる訳なので、結構大変ですが、EDCを構築する際のロジカルの確認はしっかり丁寧に見る必要があります。

時々CRAもロジカルのチェックをすることもありますよ!


コメントによると、技師さんは敏感に反応するワードのようです。

CRAでも、よく分からず使っていると施設から詰められることもあると思うので、もしあやふやな場合は、そもそも何故、治験においてこのような記録が必要なのかを見ておくと良いでしょう。

治験における臨床検査等の精度管理に関する基本的考え方について」を参照してみるとよく分かると思います。

特に資料中の以下の部分が大元の由来なので必見です。

治験で求められる精度管理

ICH E6(いわゆる ICH-GCP)では、治験の実施に当たり、要求される検査設備の適格性と検査データの信頼性を確保するため、医学的検査、臨床検査等に関する証明書、合格証、確立された品質管理及び/又は外部機関による品質評価等の文書を求めており、試験実施中にはこれらの文書の最新版を確認し、試験が適切に実施されていることを示す必要があるとされている。

 


リエントリーとは、治験に同意して参加した後に除外基準などに抵触して一度脱落してしまった症例を再度組み入れることです。

特に脱落率が高い試験の場合、状況にもよりますが、リエントリーが無いと全然エントリーが進まないこともあります。

もちろん、試験をデザインする段階でそのあたりのことも十分に考慮をして、予めリエントリーの基準については、プロトコルに規定をしていますが、実際には微妙なラインの被験者さんもいるのは事実です。

作品の様子からは、リエントリーをしないと組み入れの進捗がかなり厳しそうなので、CRAからもなんとか交渉をしてリエントリーを許可してもらいたいところですね。


症例の組み入れが立て込むと、色々と準備をしなければいけなかったり、治験に組み入れることが出来るかの確認(適格性確認と言います)をしなければいけなかったりと、CRAもCRCさんも大忙しです。

そんな時に鏡を見たらゲッソリ…なんてこともリアルですね。


先ほども少し出てきました「アロワンス(ここの場合は、来院許容範囲)」についてのお話です。

許容される来院期間の最終日という事は、調整出来なければ逸脱ということになりまます。

この先生はとても協力的な感じなので、恐らく逸脱無く対応は完了したと思われますが、「知らん!」という感じの先生の場合、これだけでも逸脱となってしまいます。


実はこれもアロワンスについてのお話のことなのでしょうね。

アロワンスは、Day14(±2Day)のように設定されており、その起点(例えば、治験薬服薬日)から一生懸命数えて確認をすることがあります。

もちろん、数え間違えを防ぐためにも、Excelなどで自動計算ツールなどを作って提供するのも良いのですが、もしそのツールの計算式が間違っていたら完全にアウトですので、あくまで参考としての位置付けになります。

Day14くらいなら良いのですが、これが増えてくるとどこまで数えたかこんがらがって分からなくなることもあるので大変です…


治験の検査で血糖値を出すような試験の場合、当然、採血の前は絶食が必要になります。

「水ならOK」ではありますが、時々被験者さんが果物フレーバーのいろはすも「水」と思って飲んできてしまうことがあるのでしょうね。

ちなみに、そのまま採血をしたら逸脱となってしまいます。。


治験の途中で各医療機関の先生宛に送るレターは、結構不穏な内容のものが多い気がします…

ということで、内容によっては先生がその内容を見てご立腹という事もあるあるなのですよね。

しかし、作品のCRCさんが華麗にフォローしてくれているので、やっぱり治験を円滑に進めるにはCRCさんの存在は大きいですね。


検査キットに関しては、最初の実施計画書(プロトコル)の内容でセットになっていますが、治験実施中に手順が改訂となり、検査項目の追加になったりした場合には、採血管が足りなくなることも…

しかも、被験者さんがもう直ぐにでも来院されそうなのですね。

採血管が足りなく、欠測となってしまった場合には、やはり逸脱となってしまいますが、代替え可能な採血管などがあり欠測がでなければ助かるかもしれません。

どうだったのでしょうね。


これはCRAでも似たような状況がありますね!

全く訪問したことが無い施設だと、施設のルールや資材がどこにあるのか等全く分からず、どこから手を付けて良いのやらと途方に暮れることもあるけれど、慣れてきたらほいほい自分の環境に整えていけるというところでしょうか。

これは、前任者がしっかりしている人だった場合は、すんなりいけそうですが、場合によってはぐちゃぐちゃな状況な場合もあるので、前任者次第で後任者の負担は大きく変わるでしょうね…(CRAの頃、炎上施設を引き継いで大変な目に遭いました…)


服薬指導をするのに一苦労している描写の作品です。

全体的に表情がまたシュールで、ジワジワくるような印象を持ちました!

被験者さんや介助者の方にもなるべく分かりやすいように工夫はされているでしょうが、やはりなかなか伝わらなくて苦労されることも多いのでしょうね。


治験の資料が発生する際には、原本を施設保管、写を依頼者保管などとすることがあります。

作品にもある通り、最近のコピー機は性能が良いので、ぱっと見だけですと、それが原本なのか写しなのかが分からないことがあります。

そんな時には…

用紙を一生懸命指先で謎って筆圧があるか等を必死に確認することになります…笑

筆圧がほとんどかかっていないような資料の場合、かなりの苦戦を強いられるでしょう。


心の中の声がかなりリアリティがあり、つい微笑ましくなってしまいます笑

SMOのCRCさんの場合、1日の中で複数の施設を掛け持ちすることもあり、ギリギリを攻めていらっしゃることも多々あります笑

ただ、CRAの予定を考えてこの日にアポを受け入れてくれた優しさが最後の一文で伺えますね。

こういう気遣いにはCRAとしてもしっかり気付いていきたいところです(私は、こんな感じで融通を利かせてもらったときには差し入れを持参していますよ!)。


急性期を担当すると、急な呼び出しもありかなり大変ですよね。

しかも、土曜日にも容赦なく呼び出され、それでも急いで現地に向かうCRCさんには脱帽です。。

そのままの勢いでCRAに電話が来ることもあるので、急性期担当をする場合は、気が抜けませんね!


これは治験の一番初期段階のお話ですね(というか、始まる前ですね)。

初めて施設に連絡を取る際には色々なパターンがあるのですが、時にCRAは医療機関に凸電をして治験事務局に取り次いでもらうことがあります(このあたりのルールは施設毎に異なるのでHP等で要確認)。

そんな凸電後の施設でのリアルな一面のようです。

「話だけは聞いてやってもいいよ」というフレーズが、どのようにオブラートに包まれ、優しいフレーズでCRAの元に届くのかが気になるところですね笑


基本的には、色々な決め事については、プロトコルに記載されているのですが、イレギュラーパターン等については、QAで対応するケースがあります。

例えば、「重篤な肝機能障害を持っている患者は除外」とだけプロトコルに記載されていたとします。

そこで、どこかの施設の担当者が、「重篤って?具体的な臨床検査値などの数値を示して欲しい」と言ったとします。

そうすると、QAのAには「重篤な肝機能障害とは、例えばASTが基準値の5倍以上を指します」等と記載されることがあり、そのQAが治験実施施設に共有され、その試験では、”ASTが基準値の5倍以上の症例”は除外となってしまうようなイメージです。

QAで具体的に示されていなければ、”医師判断”である程度融通が効くのですが、明確に示されてしまった場合は、この作品のような状況になるということですね。


プロトコル等の変更点を一生懸命先生に伝えているCRCさんの描写です。

先生もお疲れなのでしょうね…しっかり見なければいけないと思いつつも、ついウトウト。

上の方でお話したIMで色々な施設の先生が集まった際にも、会議中はスヤスヤされている先生がよくいます笑


EDCの入力項目がいきなり増えていることに遭遇したときのご様子です。

実は、このようなシチュエーションには2パターンありまして、CRAも何も知らない間にいきなり変えられていたパターンとCRAが施設の方に事前に伝えるのを忘れていたパターンです。

いずれにせよ、施設側にとっては躊躇しますし、場合によってはクレームに繋がりますので、注意が必要な案件ですね。


連休が伸びてしまうと、医療機関が閉まっていたりと、被験者さんのアローワンスを設定するときに苦労することがあります。

その他、もろもろ対応に影響がある場面もあるので、作品のような心情になるときもあるのでしょうね。

短編物語

今回は、短編物語で作品を投稿されている方もいたのでご紹介しておきます。

しっかりとしたストーリーになっていて面白いですよ!


治験で発生する施設保管用の資料に関連した短編ストーリーですね!

それにしても、画像を組み合わせてストーリーを組み立てるその発想力が凄い…


適合性書面調査(いわゆる査察ですね)の対応に関する短編ストーリーです。

査察の前は、医療機関も依頼者も指摘事項にすぐに対応できるように準備を整えるので非常にストレスがかかります。

そんな適合性書面調査をなんとか(途中強引ですが笑)乗り切っている作品になります。

査察でOKがでれば、いよいよ承認ということですね!

まとめ

今回も現場の臨場感が伝わるような非常に秀逸な作品が多かったですね!

治験の現場で働いている方は、共感できる作品が多くあったのではないでしょうか?

お仕事上では、製薬メーカー側と医療機関側が砕けてお話する場面はほとんど無いかと思いますが、このような場でお互いの本音を見てみることは良好なコミュニケーションを築くうえでも重要になってくるかと思います。

お互い苦労しているのですよね…

製薬メーカー側も医療機関側も、世界中で病気に苦しむ患者さんに有効性・安全性がある医薬品をいち早く届けたいというゴールは同じですので、これからも一緒に患者さんの為に頑張っていきたいですね。