治験業界のお仕事でもメジャーな職種であるCRA(臨床開発モニター)。就活や転職での面接ではほぼ必ず志望理由や志望動機を確認されますので、しっかりと固めておきたいポイントですよね。
CRAの面接官としての経験もあるので、どのようなポイントを見ていてどのような対策を立てておくべきかを治験の知識が無い方でも分かりやすく解説をしていきます。
●内資系CROと外資系CROの違い
●志望動機の具体的な組み立て方
●面接での長所/短所の伝え方
●効果的な逆質問とはどのようなものか
治験業界でかれこれ10年以上働いていま
本記事は10,000文字を超える大ボリュームですので気になるポイントをピックアップする読み方でも良いと思います。
すべての始まりは業界研究/職種研究から
面接で他の応募者と差を付けられるだけの質の高い受け答えをするためには、当然のことながら業界研究や職種研究が必要になってきます。
業界研究をどれだけしっかりとおこなって、面接に使えるレベルまで落とし込んでいくかが勝負の分かれ目とも言えます。
経験者の目(面接官の目)から見れば、業界研究をしっかりとやっていると人とそうでない人はすぐに分かりますからね…
業界研究や職種研究をしっかりしていると、志望動機の精度や面接での質問に対する回答のクオリティが全然違ってきます。
業界研究や職種研究は大変ですが、しっかりとやれば成果も付いてきますので頑張って本記事を読み込んでみて下さい。
就活や転職活動で整理しておいた方が良い内容
さて、いざ業界研究や職種研究をするぞとなってもどのようなことをどこまでやれば良いか分からないという方も多いのではないでしょうか?
まずはその辺りから整理していきましょう。
●CRAの仕事内容と立ち位置
●CRAとCRCの違い
●CROと製薬メーカーの違い
●外資系CROと内資系CROの違い
●製薬メーカーの課題とCROの課題
ざっとこの辺りは一言でも良いのでサラッと回答出来ておくようにしておくことをおすすめします。
逆に言えば、この辺りをサラッと一言で説明できるレベルまで業界研究/職種研究が出来ていれば合格ラインです。
今回の記事では、上に挙げた項目をサラッと回答できるレベルまでしっかりと解説をしていきますので、本番までに何度も読み返して頭に叩き込んでしまいましょう。
あまりマニアックなところまで説明をすると混乱してしまうと思うので、分かりやすさ重視で細かい部分は省いて解説をしていきます。
臨床開発とは?
医薬品が使えるようになるには、ヒトで安全性と有効性などを確認しなければいけません。
そして、ヒトで安全性と有効性を確認することを「治験」と言います。
当然、いきなりヒトで試すわけにはいかないので動物実験をしてからヒトに投与します。
厳密には、「臨床試験」、「臨床研究」、「治験」などは別々の意味があるのですが、説明をし出すと沼にはまってしまうと思うので、就活や転職活動ではそこまで知らなくてもOKです。
そして、治験に関わる職種は主に「臨床開発職」と呼ばれています。
みなさんが目指している「CRA(臨床開発モニター)」はこの臨床開発職の中の1つです。
臨床開発職には以下のような職種などがあります。
●DM(データマネジメント)
●STAT(統計解析)
●QC(品質管理)
●PV(安全性情報)
●QA(監査) など…
会社によって職種の呼び方が若干違ったりもしますが(例えば、統計解析を「BS:Biostatistics」と呼んでいる会社もあります)、やっている業務の内容はほぼほぼ同じです。
ただ、CRAに関しては他の呼び方はあまり無いので気にする必要は無いでしょう。
●治験に関わる仕事をしている職種を「臨床開発職」という。
●臨床開発職の中にも色々な職種がある。
●CRA職は臨床開発職のうちの1つである。
CRAの仕事内容
- 治験実施施設で治験が適切に行われているかを確認する。
- 治験が治験実施施設で円滑に行われるようマネジメント・対応をする。
CRAのタスクは主に上の2つになります。
治験が施設(治験実施医療機関)で適切に実施されているかを確認することを「モニタリング」と呼ぶので、CRAのことを「モニター」と呼ぶことも結構あるので、「CRA」と「モニター」どちらも覚えておいた方が良いかもしれません。
面接官によって「CRA」と呼んだり「モニター」と呼んだりすることもあると思いますが、同じ意味で使われています。
モニタリングをざっくりと説明すると、施設に訪問をして治験のデータとして報告されている内容を施設での記録との間に齟齬が無いかを確認することです。
もちろん、齟齬が無いかを見るだけではなく、治験実施計画書などで規定されている手順通りにしっかりと治験が行われているかについても確認をしていきます。
疑義事項があれば、治験コーディネーター(CRC)さんや治験責任医師(PI)/治験分担医師(SI)の先生と面会をして確認する必要があります。
CRAはモニタリング以外にも具体的に以下のようなお仕事があります。
見ていただくと分かる通り、結構色々なことをやらなければいけない「なんでも屋さん」的なお仕事なのですよね。
CRAのお仕事はモニタリングがメインと思われがちなのですが、意外とこのように雑務も多くあるので、その辺りを理解しておくと入社後のギャップも少しは縮められるのではないかと思います。
●モニタリングをする職種なので「モニター」と呼ばれることも多々ある。
●モニタリングは基本的に施設で実施する。
●モニタリング以外にも多くの雑務をこなす必要がある。
最近ではCRCの求人に加えてCRAの求人も活発化しているようで私のTwitterアカウントでも看護師さんを始め多くの治験業界に興味を持っている方にフォローされています。 今回は治験業界の中でもCRAについてどのような人が …
CRAの立ち位置とCRCとの違い
上の図を見てもらっても分かる通り、CRAは、製薬会社側の立場から医療機関で治験が適切に実施されているかを確認する役割になります。
ここで押さえておきたいポイントは、CRAは患者さんと直接会うことはできない点になります。
面接のときによく「医薬品開発の現場で働きたいと思った」や「患者さんに近いところで医薬品開発に関わりたいと思った」とお話をされる方を見かけます。
もちろんそれは良いのですが、治験で被験者さんにもっとも近い位置にいるのは治験コーディネーター(CRC)です。
ですので、「CRCではダメなの?患者さんとも先生とも直接接することができますよ?」というような返しが来てしまい狼狽えることになってしまいます。
製薬メーカー側の人は被験者さんと対面することはNGとなっています。 なぜなら、製薬メーカー側の人が「この薬効きますよね?飲んでから調子が良いのではないですか?」というように効果があるように誘導されてしまう可能性もあり、医薬品の安全性や有効性の評価にバイアスがかかってしまうおそれがあるためです。
“CRAは被験者さんとは会えない”ということはしっかりと頭に入れておいた方が良いです。 ここに誤解があると面接で話が嚙み合わなくなってしまうこともありますからね。
●CRAは被験者さんと会うことはできない。
●CRCは施設側の立場で仕事をする職種である。
●CRCは施設スタッフや被験者さんとの関りが深い。
CROと製薬メーカーの違い
治験での登場人物で治験コーディネーター(CRC)と臨床開発モニター(CRA)が出てきました。
実は、施設や製薬メーカーなどは全てを自社の社員で対応しているわけではなく一部の業務を外部に委託していることもあります。
施設からCRC業務や治験事務局業務の委託を受けている会社がSMO、メーカーからCRA業務などの委託を受けている会社がCROと呼ばれています。
未経験中途の場合でCRAに転職をする場合は、CROに入社することになりますので、上の関係は覚えておきましょう。
製薬メーカーにもCRAはいますが、中途の場合は経験者の採用がほぼ全てです。新卒の場合は、製薬メーカーでもCRAとしての募集もあります(あるいは、入社後数年はCRAを経験するというパターン)。
CROであっても製薬メーカーであってもCRAとしてのお仕事にあまり大きな差はありませんが、いくつか挙げるとしたら以下のような特徴があります。
■メーカーのCRA
・治験薬に関する情報をCROよりも持っている。
・施設からの疑義事項の回答を早く出せることがある。
・CRA以外の業務が振られることもある。
・社内公募でキャリチェンジできる機会がCROよりも多い。
・基本的に自社の治験のみを担当する。
■CROのCRA
・最新のモニタリング手法などのトレンドに強い。
・CRA以外の業務はあまり振られない。
・社内公募での別職への異動はあまり多くない。
・色々な領域や製薬メーカーの案件を担当できる。
・施設と依頼者(製薬メーカー)の板挟みに合うことが多々ある。
医薬品開発について、プロトコルの作成や開発計画の策定など上流の部分の仕事に興味があるということであれば製薬メーカーを、それよりも施設でのモニタリングを通して色々な種類の医薬品開発に携わってみたいということであればCROを選ぶのが良いかと思います。
あとで具体的な志望動機を考える箇所で出てきますが、将来みなさんが何をやりたいのかによって最終的なゴール地点を決めることになります。
●未経験中途でのCRAの募集はほぼCROのみである。
●製薬メーカーにもCROにもCRAはいるが、働き方が若干異なる。
外資系CROと内資系CROの違い
外資系CROに所属するCRAと内資系CROに所属するCRAでは、その働き方に差があります。
大雑把に言えば、以下のような特徴があります(もちろん、会社によって異なるのであくまで一般的なお話になります)。
●在宅勤務を積極的に導入、運用しているので出社している人は少なめ。
●部門が細かく分かれていることからCRAがモニタリングに集中しやすい環境が整えられている。
●国際共同治験の案件が多い。
●複数プロジェクトの掛け持ちもある。
●工数管理については、内資よりもやや厳しめな傾向がある。
■内資系CRO
●在宅勤務制度はあるが、外資よりも出社している人が多い。
●外資系よりも部門は細かく分かれていないことが多くCRAが対応しなければいけない幅が広い傾向がある。
●外資系よりもQCが機能している会社が多く資料の質は担保しやすい。
●国際共同治験の案件は外資よりも少なめ。
内資系と外資系どちらのCROでも働いたことがあり、製薬メーカーになってからもどちらのCROともお仕事をしましたが、私は上記のような印象を持っています。
この辺りは会社によって当てはまったりそうでなかったりしますので、参考程度に考えてもらえると良いかと思います。
製薬メーカーの課題とCROの課題
医薬品開発業界全体の課題に対して、CRO、製薬メーカーそれぞれが「私たちには何ができるのか?」を考えながら仕事をしています。
その課題に対する取り組みにみなさんが共感できるかどうかが重要です。
面接ではこれから一緒に働きたい人を採用するわけですから、やはりそこは会社の取り組みや方針を理解して賛同してくれる方を採用したいと思うわけですね(少なくとも私はそう思います)。
ですので、志望理由や志望動機を考えるときには特に重要になってきます。
今の日本では毎年の薬価改定があることで、薬の値段がどんどん下がっており日本市場の魅力が失われつつあります。
日本市場の魅力が失われれば、日本での医薬品開発から撤退する製薬メーカーも出てきてしまい、結果として治験が行われず日本で使用できる医薬品が世界と比べて少なくなってしまうという問題があります。
実際に、国立がん研究センターの報告によると、米国か欧州で承認されているにも関わらず日本で承認されていない「未承認薬」が、がん領域においては拡大していることが分かります。
既に「海外では使えるのに日本では使えない薬」がそれだけ増えているということです。
正確に言えば、「使えない」というよりも「保険が効かない」という状況ですが、普段は3割負担であるところ、10割負担で医療を受けることになれば患者の経済的負担は計り知れません。
この課題について、各製薬メーカーや各CROはどのように考え、どのような対策をしようとしているのかを知ることで志望動機に結びついていきます。
基本的には、日本の医薬品開発は「クオリティ」は問題ないものの、「コスト」と「スピード」が他国と比較して遅れを取っているという見方が一般的です。
では、各社について「コストを削減するためにどのような取り組みをしているのか?」、「迅速に治験を完了させるためにどのような取り組みをしているのか?」、このあたりが各社の強みになってきます。
各社の強みを理解し、そこに共感することができれば志望動機のクオリティは格段に上がるはずです。
当ブログでもCROの企業研究記事でCRO各社の強みをまとめています。志望しているCROがある場合は、じっくり読み込んでおくと精度の高い就活/転職活動対策になりますよ!
今回はCRO企業研究記事の第8弾として2022年卒から新卒採用を開始しているサイネオスの強みや特徴などを取り上げていきたいと思います。 新卒で受ける方はもちろん、中途で受ける方もサッと情報が確認できるようにまとめていきま …
治験関連の時事
多くの就活生を見てきましたが、時事問題について面接で聞かれとはほとんど聞いていません。
恐らく面接でもあまり聞かれることはないはずです。
しかし、治験関連の時事を知っておくと志望動機や志望理由を考える時や面接で使えることもあります。 少し治験の時事の使い方について紹介をしていきます。
治験関連のニュースと言えば例えば、2019年の夏に起きたエーザイのe2082の治験での死亡事案のニュースなどがありますね。
この件についてはブログで記事も書いていますが、これを読んで何か感じること、思うことがあればそれも就活などに使用できる可能性があります。
大事なのは、ニュースをただ漠然と見て終わらせるのではなく、そのニュースを見て何を感じてどう考えているのか自分の意見を持っておくとことです。
時事関連の質問をされなかったとしても、知識として知っておけば、とっさのときに回答の引き出しになることも考えられます。 時事を知っていて役に立つ具体例も記載しておきます。
Q. CRAになったとしたらあなたはどのようなことを意識しながら業務を進めていこうと思っていますか?(想定はCROの面接です)
A. 治験がプロトコルのルールに従って適切に実施されているかしっかりと確認することはもちろんのこと、プロトコルに記載が無い部分でも被験者の安全性に影響を及ぼす可能性があると思った場合には、自分だけでは判断せずにしっかりと先輩や上司に確認することを心掛けて業務を進めていこうと思っています。
そのように強く思うようになったのは、2019年に起きたe2082の治験での死亡事案についての概要を見たときでした。PMDAの報告では、治験手順について対応の著しい不備は無かったとありましたが、もしかしたらCRAとしても何か出来たのではないだろうかと考えさせられる出来事でした。
回答の前半部分だけでももちろん問題無い回答ですが、時事について対策をしていた場合、補強として青字部分も面接で話すこともできます。
私がもし面接官であれば、青字部分までお話されたときには「よく勉強しているな~」とか「しっかり考えることが出来る人なんだな~」と感じるでしょう。
このように時事ニュースを+αの補強として使うことも出来るので、いくつか気になるニュースをピックアップして自分なりに考えてみるのも良いと思いますよ。 ちなみに、自分なりに考えてその考えが間違っていても問題ありません。
治験の業界でお仕事をしていないので間違えて認識してしまうことは普通で、大切なことは「考えること」です。
志望理由の具体的な組み立て方
業界研究、職種研究そして企業研究をしてやっと志望理由の組み立てに入ります。
未経験からの転職の方の場合は、ここまで完璧にやっていなくても何とかなることもありますが、就活生の場合はライバルも非常に多く競争率も高いため、なるべく完璧に近い状態まで研究をしておいた方が無難です。
本記事では未経験からの転職者用の志望理由の組み立て方の一例を紹介しますが、就活生の場合は面接やES対策にはまずは自己分析から?臨床開発職版の自己分析をご紹介の記事で紹介をしている志望理由の組み立て方を参照して下さい(就活生の場合は、実務経験が無いので考え方が中途とは異なるため)。
なぜ治験業界の職種に転職をしようと思ったのか
未経験中途からの転職の場合、面接をする側としてまず気になるのは「なぜ薬剤師をやっていたのにわざわざ治験の業界に来るのだろう?」という部分かと思います。
この部分に関しては、治験業界に興味を持った“動機”についてまとめていきましょう。
例えば以下のような感じです。
薬剤師になった当初は病気の大小に関わらず、多くの患者さんに笑顔になって欲しいという思いでしたが、業務を通して小児の医薬品開発が進んでいない現状を知り、小児の医薬品開発に興味を持った。
実務を通して関心が「多くの患者」という漠然な対象から「小児」に絞られていったという流れですね。
看護師さんも薬剤師さんも実務を通して様々なことを経験し、その職業に就く前では考えていなかったことまで考えるようになったはずです。
その中で「医薬品開発」に繋がりそうなエピソードを見つけ出してみて下さい。
なぜCRAという職種に興味を持ったのか
本記事でも紹介をしましたが、CRAとはどのようなお仕事なのかをイメージしたうえで、なぜCRAに興味を持ったのかを書き出していきましょう。
臨床開発職にはCRA以外にも色々ありましたよね?その中でもなぜCRAを選んだのかという観点です。
例えば、以下のような感じです。
薬剤師としての経験や学んだ知識、そして異なる立場の人たちの意見をまとめることが得意という自身の長所を最大限に活かすことができる職種を考えた時にCRAが最も自分に適性があるのではないかと考えた。
こちらに関しては、CRAという職種に辿り着くまでに話が論理的に成り立っていればどのような理由であっても問題ありません。
上の例では「薬剤師の経験や知識を活かせる仕事がしたい」、「異なる立場の人たちの意見をまとめるのが得意という強みを活かせる仕事がしたい」という思いがあります。
いずれに関してもCRAに求められる能力ですので、この理由を聞けば経験者としては「CRAに適性がありそうだな」と感じるわけですね。
もしここでCRAでは特に求められていない的外れな内容が入ってしまうと「ん?」と思われてしまうので、CRAのお仕事内容をしっかりと意識した上で組み立ててみて下さい。
CRAに求められる能力を3つに絞って以下の記事でも紹介をしていますので、あまりイメージが浮かばないようでしたらそちらも見てみて下さい。
CRAは専門的な知識を生かして治験がしっかりとおこなわれているかを確認するお仕事になります。 その他、治験が円滑に行われるために医療機関の関係者に治験の説明をしたり、治験資材を搬入したりと幅広い業務を担っており、CRAに …
なぜ数多くあるCROの中でこの会社を選んだのか
ここでは、「しっかりと御社についてのことも調べていますよ」というメッセージが伝わるように話を組み立てていくことが効果的です。
「お、この人はよく弊社のことを知っているな!」と思ってもらえたら内定はグッと近づくはずです。
業界研究と企業研究の成果を発揮しちゃいましょう!
例えば、以下のような感じです。
御社は、「治験の迅速化」という医薬品業界全体の課題に対してブロックチェーンを活用したモニタリングを取り入れるなど、積極的に先進的な取り組みを導入しており、その点に魅力を感じました。
以前、薬価の毎年改定により日本の医薬品開発環境は厳しい状況にあり、コスト面とスピード面の改善が急務であるというニュースを目にしました。
新たな取り組みにはリスクも伴うかと存じますが、そこに臆せずチャレンジをする姿勢は私のモットーである「失敗を恐れるな」とも合致しており強く共感をいたしました。
チャレンジ精神が強い御社の環境で働けることを希望しています。
ここでは、受ける会社が取り組んでいる具体的な取り組みや強みとしている部分に触れてあげることが重要です。
そして、その方針が自分の方針と一致しているというストーリーで組むと自然な志望理由が出来上がります。
もしここで受ける会社が取り組む具体的な取り組みを入れないと、「それは他の会社でも同じことが言えますよね?」という反撃を食らってしまう可能性もあるので、なるべく具体的な内容を入れ込むことをおすすめします。
ここまで事前にまとめておけば面接にも随分と余裕を持って挑めるようになるはずですよ!
CRAの長所/短所についての対策
面接ではもはやお決まりである「あなたの長所/短所はなんですか?」という質問についての対策も考えていきましょう。
エントリーシート(ES)でも長所/短所を書く機会があるかと思いますが、これもまたCRAとして求められる能力をイメージしながら書いてみると読み手に刺さる文章や面談での受け答えができることでしょう。
私が実際に就活のときに実戦していた手順を紹介しながら、実際に臨床開発の場で働いている視点からも補足していきたいと思います。
まずは思い浮かぶ自分の長所/短所を書き出してみる
とりあえず、考えられる自分の長所と短所をなるべく書き出してみます。
ここでなるべく多く書き出せれば、のちのち楽になります。
この段階ではラフで全然構わないので、とにかく数を出すことに集中しましょう。自分で思い浮かばなかったら家族などにも聞いてみましょう。
私の場合は…
・継続することが得意
・色々なことに興味を持てる
・PCの知識が普通の人よりはある
・部活では部長をやっていた
・運動部だったため体力に自信あり
・話が長くなってしまう時がある
・つい細かいことを気にすぎてしまうことがある
・怒られたりすると引きずってしまうことがある
CRAに求められる能力を把握する
CRAに求められる能力は別記事にもまとめてありますが、とても大雑把に挙げてみると以下のようなものが考えられます。
2.スケジューリング能力
3.ロジカルシンキング能力
4.正確に物事を確認する能力
5.メンタルコントロール能力
今は大雑把に書き出しましたがここをもっと丁寧に書き出すと精度がより増します。
就活生の場合は、会社説明会やインターンで先輩社員と話したり人事からの話を聞いてCRAに求められるだろう能力を足していく感じで良いかと思います。
別記事では、必須の能力として1~3の3つの能力を書いていますが、ここでは、カテゴライズしやすいように「正確に物事を確認する能力」と「メンタルコントロール能力」を足してみました。
CRAは専門的な知識を生かして治験がしっかりとおこなわれているかを確認するお仕事になります。 その他、治験が円滑に行われるために医療機関の関係者に治験の説明をしたり、治験資材を搬入したりと幅広い業務を担っており、CRAに …
長所をCRAに求められるスキルに合わせていく
次に、最初に書き出した長所/短所に、CRAに求められる能力を紐付けしてカテゴライズしていきます。
よく分からないものは「該当なし」で良いのですが、CRAに求められる能力をいっぱい挙げることが出来れば「該当なし」が少なくなります。
・継続することが得意⇒該当なし
・色々なことに興味を持てる⇒該当なし
・PCの知識が普通の人よりはある⇒該当なし
・部活では部長をやっていた⇒1
・運動部だったため体力に自信あり⇒該当なし
・話が長くなってしまう時がある⇒1
・つい細かいことを気にすぎてしまうことがある⇒該当なし
・怒られたりすると引きずってしまうことがある⇒5
ここで特に注目してもらいたいのが、長所のカテゴライズ。
ここにCRAに求められる能力での紐付けができなく、全て「該当なし」になってしまうとCRAとしての適性自体が怪しくなってきます。
その場合は、CRAという職種に就職することが自分にとって本当に幸せなのかをもう1度考えてみてください。
それでもCRAになろうということであれば、1つはカテゴライズできる長所を探しましょう!
長所/短所の傾向分析
さてさて、先ほどカテゴライズした結果から傾向を分析してどのように攻めていくか戦略を練っていきましょう。
私の場合は…
長所には、1(コミュニケーション能力)が多い傾向ですので、コミュニケーション能力をアピールしていくということにします。
短所のカテゴライズは、長所のカテゴライズより上回っている項目が無ければあまり気にしなくOKです。
私は、1で攻めることにしましたが、ここで短所でも長所を上回るほどの1があるようであれば、1だけで攻めるのは危険で次に多いカテゴライズ(私の場合は5)で補強する戦略が無難です。
1だけで攻めてしまうと話に矛盾が生じてしまいますからね。
具体例を出しながらアピールを考える
まずは話しの構成を考えてみましょう。
2.関連するエピソードを端的に述べる
3.CRAに必要と思われる能力について述べる
4.自らの長所がどう活かせるかを述べる
長所のカテゴライズも終えているので、あとはどんな感じで話すかを上の手順に沿って組み立てていくだけです。
私の場合は…
私の最大の長所は、コミュニケーション能力になります。
中学時代から●●部の部長を務めており、後輩の指導はもちろんのこと、他の部活とも共同でイベントを開催したこともあり、色々な立場の方たちと接する機会がありました。
CRAという職種について会社説明会でご説明いただいた事や自分なりに色々と調べ、CRAはCRCを始め、責任医師や治験薬管理者など様々な立場の方と接する機会があるということを学びました。
そして、円滑に業務を進めていくには、相手の立場に立ち良好なコミュニケーションを構築することが必要不可欠であると考えています。
そのため、私が学生時代(中途の場合は「前職で」等に置き換える)に培った●●での経験はCRAの業務活かすことができ、御社に貢献できるのではないかと思っております。
就活生の場合は学生生活で培った経験を話しますが、中途の方の場合は前職での経験をアピールする方針で良いと思います。
これはあくまで一例ですので、アピールをする際の参考程度に考えてもらえればと思います。
短所についてはどうコントロールしていくかを考える
長所については上記のような感じで良いのですが、逆に短所について聞かれることもありますので、そちらもカバーしておきましょう。
短所については、あまりにも致命的なものでなければ、それをどのようにコントロールしていくのかの方が大切だと私は思います。
人間誰にでも弱点はあります。それは面接官も分かっています。なので、変に隠さずにどんな予防措置を講じていくのかをしっかり考える必要があります。
これは、実はCRAになると、とてもよく聞くCAPA(是正処置・予防処置:Corrective Action & Preventive Action)の考え方の一部でもあります。
CRAになればCAPAを考える場面に必ず遭遇します。
特に就活生の方には馴染みの無い言葉かもしれませんが、CRAであれば全員知っています。(知っていないとヤバいです!)
それを踏まえると以下のような感じで良いかと思います。
2.CRAにとってその短所がどう影響するかを述べる
3.予防策を述べる
ピックアップする短所は話しやすそうなのを1つ選べば良いかと思います。
ただ、長所の数を上回るカテゴリーについては選ばない方が良いでしょう。長所でせっかくアピールした内容が台無しになってしまう恐れがあります。
長所と違って短所については、エピソードを長々と話す必要も無いように感じます。
それよりも、その短所についてどう考えていてどのようなコントロールをしていくのか/しているのかをお話した方が有意義かと思います。
さて、こちらも長所と同じように組み立てていきます。
私の短所は、迂闊なところがあり、成果物の品質にムラが生じてしまうことがあるところです。
CRAの業務は、原資料とEDCの整合性を確認することや質の高いモニタリング報告書を書くこと等、仕事の正確性が非常に重要になのではないかと考えています。そのため、成果物の品質にムラが生じてしまうことは、CRAにとってはマイナスの部分であることを認識しております。
私はCRAという仕事に就くためには自身の短所を改善することは必須であると考えており、その対策として普段から品質を高い状態に保つことを意識することはもちろんですが、ツールを使用するなど機械的にも対策を講じております。CRAという職種に就いてからも自らの短所と向き合いリスクマネジメントの対策も怠らないよう心掛けていきます。
短所については、しっかりと向き合って『しっかりと改善しなければいけない』と認識していることを伝え具体的にどのようなアクションを取っているかを述べれば面接官への印象も良いのではないでしょうか。
効果的な逆質問を考える
ある時、面接を終えた部長が帰ってきたときに「あ~、最後までは結構良かったのになぁ」と呟いていたことがありました。
何があったのかをよくよく聞いてみると、そのとき面接を受けていた方は自己アピールや志望動機については無難に回答をしていましたが、採用するか採用しないか際どいラインだったようです。
ずっと、どうしようか考えているままついに面接の最後に差し掛かりました。
部長が「最後に何か質問はありますか?」と聞いたところ、特に質問は無い様子だったみたいなのですが、なんとか捻りだしてあやふやな質問をしてきたとのこと。
そして、部長はそこで不採用を決めたみたいです
部長は明らかに準備をしていなかったのが分かったようで、それについて呟いていたということですね。
自己アピールや志望動機などで文句が無いくらいパーフェクトであれば、質問が無かったとしても採用となるかとは思いますが、際どいラインの場合はそこで勝負が決まってしまうことも十分にあるということです。
となれば、やはり質問に対しても対策をしない訳にはいかないですよね。
私も就活や転職の時は受ける会社に合わせて以下のような質問を2つ程考えていきました。
●業界の課題についての質問
考えてみれば当たり前のことですが、やはり採用する側としては自社に興味を持ってくれている方に来てもらいたいと思うもの。
企業研究の時に調べた企業の強みについて関連した質問を用意すると良いのかなと個人的に思います。
例えば、シミック社の場合でしたら、トータルソリューションという考え方のもと幅広いサービスで顧客満足度を向上させようと考えているため、その考えに賛同したうえで、関連した質問をしてみる等ですね。
私でしたら、トータルソリューションを提供するうえでの企業としての課題点やその課題点についてどのような対策をしているのかが気になるので質問をしてみます。
トータルソリューションは確かに魅力的なのですが、やはり収益が出る部門とそうでない部門があるはずなので、そこをどうフォローしているのかが気になります。
2つ目は業界の課題についての質問ですが、こちらは時間があった場合のみ空気を見ながら聞く感じにしていました。
時間が無ければお話しないで終わることもありました。
自分でも企業研究で色々調べているかと思うので、その企業としての取り組みを少しお話したうえで、その他、開発業界の課題についてどのようなことに取り組んでいるのかを質問します。
自分で調べたことも軽く話すので、勉強不足とは思われないでしょうし、かつ自分の会社に興味があるのかなと思わせることも出来るかと思います。
会社ごとの特色を捉えて是非質問を考えて見て下さい!
まとめ
この記事は、私の経験に基づいて考察をした結果を考察したものになります。
最初にお話した通り、面接官によって色々な考え方があるので、その分正解も色々あるのが現実です。
「何をどのように取り掛かって良いか分からない」という方はこの記事を参考に、志望理由や長所/短所あたりだけでもまとめておくと面接時に焦らずに済むと思います。
もちろん、ここに書いてあるレベルで全て準備をしていないと内定が貰えないかというと必ずしもそうではないと思います。
ただ、このレベルまで作り込んでおくと勝率を上げることができると思いますので、是非何度も読み返して練ってみて下さいね。
また、未経験中途からCRAやCRCへ転職を考えている方は【完全版】未経験から治験業界に転職するための戦略まとめの記事に情報を網羅的に紹介をしているので、そちらも読み込んでみて下さいね。
今回の記事では未経験からCRCやCRAなどの治験業界に転職を目指している方向けに転職に必要な情報を網羅的に詰め込んで紹介をしていきます。 治験コーディネーター(CRC)や臨床開発モニター(CRA)の違いやおすすめの転職サ …
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