治験関係者の治験関係者による治験関係者のための結婚式

※画像はイメージです

4月から新卒や中途で医薬品開発の業界に足を踏み入れた方も多いかと思いますが、この業界ではGCP(Good Clinical Practice)を始めとして様々な用語を覚える必要があり、日々の研修では眠気との戦いになっている方も多いのではないでしょうか?

Twitterでは、そんな果てしない戦いを勝ち抜いた業界の猛者達によるユーモア溢れるネタが繰り広げられていたので、その一部を覗いていきたいと思います。

はじめに

今回は、私のフォロワーさんであり、治験コンディネーター(以下、CRC)の治験のおねいさん(@chiken_no_lady)の以下のツイートのリプ欄で繰り広げられた業界の猛者達のユーモアトークをウォッチしていきます。

結婚式だなんて、幸せいっぱいですね!そんな治験のおねいさんの結婚式を治験ネタで埋め尽くすことが我らが使命!

業界の皆様もユニークなアイデアを盛り沢山出されています。

紹介をしていく私まで楽しい気分になる程です。

さて、今からそんな業界の皆さんの治験ネタをご紹介していくわけですが、本記事では業界以外の方や業界に入って間もない方にも治験関連の用語に親しみを持ってもらうため、簡単に解説を挟みながらご紹介をしていきます。

この記事に書いてあることを笑いながら読むことが出来たら、新人研修卒業レベルかも!?

それではWedding Studyの開始です(私が考えたネタもぶっこんでお伝えしております,笑)。

Wedding Studyへの招待状

Wedding Studyへの招待状

治験では、しばしばその試験の呼び名を決めるときがあり、その際は「●● Study」等と呼ばれることがほとんどで、結婚式ということで今回は「Wedding Study」と名付けられています。

ちなみに、「Twelve group(table)s randomized controlled double-blind assessing study(WEDDING study)」というイケイケな命名の主は、はせPさんです。

そんなWedding Studyですが、なんと言ってもまずは招待状を皆さんに送るところからスタートとなります。

ICFは、Informed Consent Formの略で、いわゆる「同意説明文書」のことで、Confirmation Letterは、CRAが医療機関に訪問する前に治験責任医師宛に「●月●日に●●の要件で訪問するよ」ということを事前に伝えるLetter(多くはモニタリング報告書のシステム経由で電子メールが先生に送信される仕様)のことですね。

同意説明文書はこんな感じのやつです↓

ICF表紙

同意文書

もちろん、実際の同意説明文書は、しっかりと説明文書があるので、これだけではないですが!(項目ももっとあります。そして課題名をはせPさんのにすれば良かった…)

出欠確認なので、もっとシンプルなものを作ったら良かったと後悔しましたが、何となくでもICFのイメージが伝わるよう意識したらこうなりました。

「出席」or「欠席」ではなく、出席に同意するという形になりましたが…まぁ、良いでしょう。

ちなみに、同意文書は、「診療録添付用」、「治験事務局保存用」、「被験者さん控え」のように3枚の複写になっていることが多いのですが、結婚証明書をこの同意説明文書にする秀逸なアイデアもありました。

Wedding Studyに登場する資料達

結婚式を治験仕様にするために、結婚式で使用する様々な資料を治験の資料に置き換えて考えてみるとなかなか面白いことになります。

結婚式当日に使用するであろう資料達を覗いて見ましょう。

芳名帳

芳名帳については、色々なアイデアが出てきていました。まずは、どんなツイートがあったか見ていきましょう。

芳名帳に活用できるのではないか?という意見が出てきた資料について簡単にまとめてみます。

なお、治験で使用されるそれぞれの様式の結婚式verについては、私が勝手にイメージして作成したものなので、イメージと違ったらごめんなさい(笑

Visit log

本来は、治験依頼者サイドの人(最も多く記載するのはCRA)が医療機関に訪問した際に記載する訪問記録のようなものです。

GCPで規定されている資料ではないので、この資料が無かったとしてもGCP違反にはなりませんが、依頼者の意向(あるいはCROの意向)で作成されている資料です。

実際に来場してもらってSignature(署名)を貰えば、記録としてはしっかりと使えそうですね!

IRBメンバーリスト

これはその名の通り、IRB(Institutional Review Board:治験審査委員会)の委員名簿のことですね。

本来は、IRBがGCPやIRB-SOPで規定されている委員の構成要件を満たしているかを確認するためなどに見たりします。

出席者がIRB委員だとすると…

審議内容は「治験のおねいさんの結婚の可否」ということに!?さらにさらに、IRB委員ということは、新郎新婦に根掘り葉掘り聞いても良いということになるのですかね!

何だか大変なことになる予感です(笑

委員名簿_Wedding ver

ちなみにIRB仕様については、adeyuさんも触れており、あにゃさんによる華麗なツッコミも見ものですよ(フフフ

Screening Log

Screening Logは、治験に組み入れることを目的にスクリーニングをした被験者の情報をまとめたログになります。

Screening Logにどの範囲までの情報を記載するのかは試験によって異なるため、一概には言えませんが、一例として、同意取得をした被験者を順番に記載し、被験者番号を割り振ったり、被験者のステータス(観察期脱落、中止、完了)の情報がまとめられていたりもします。

また、医療機関の電子カルテのIDなども記載されていることもあるため、現場ではかなり出現頻度の高い資料になります。

このスクリーニング名簿を芳名帳に当てはめるとどうなるか…妄想してみました。

Screening Log_Wedding ver

Training Log(トレログ)

Training Logは、治験では実施医療機関で治験の運用に関わるトレーニングをした際に記録に残すための資料になります。

この資料もCRA/CRCとしては相当お目にかかる資料ですので、知っている方が結婚式で見たら笑ってしまうかもしれませんね!

Participant Training Log_Wedding ver

Delegation Log(デリログ)

Delegation Logは、治験では治験責任医師が治験を実施する際に、施設のスタッフに役割を明確に指示するLogで、日本では「治験分担医師・協力者リスト(書式2)」と一緒に更新される資料になります。

Site Signature and Delegation of Responsibilities Log

実物はこんな感じの資料ですが、「Name」と「Signature」があるので、芳名帳としてもバッチリ使えそうですね!なんなら、「Wedding Role」という項目を作って、「司会」や「乾杯の挨拶」なんていうRoleも割り付けられちゃうかもしれません!

プロフィール

治験における「プロフィール」と言えば、まず思い付くのが書式1、つまり治験責任医師の履歴書です。

治験責任医師の履歴書には、出身大学や卒業年数や論文の情報など色々な情報が記載されています。

Wedding Studyで使用する場合は、履歴書の項目をアレンジしてみるのもありですよね!

また、新郎新婦のプロフィールを適格基準のようにする案もありました。

選択基準・除外基準については、Aprilさんも触れています。

Aprilさんの除外基準は「Current Smoker」のようです!

ここは、新郎新婦それぞれの方に選択基準と除外基準、そして中止基準を挙げてもらってまとめてもらうと分かりやすいかもしれませんね(笑

中止基準には抵触しないように頑張りましょう(私も気を付けねばね…)。

メニュー表

治験では、治験が開始する前などに治験実施医療機関の治験責任医師やCRCさんを集めてIM(Investigator Meeting)という決起会のようなイベントをやります。

IMは、プログラムもしっかり組まれているため、そのプログラムのスケジュール表の目次を料理のメニュー表に見立てるということですね!

Wedding Studyのウエディングケーキ

結婚式ではウエディングケーキの登場で一気に周りのテンションが上がるもの。

最高のシャッターチャンスが訪れるわけですが、そんなウエディングケーキの登場演出に治験ネタをぶっ込んで来たのが我らがでんさん!

治験薬の搬入をする時には、輸送時に温度逸脱をしていないか確認するために、温度ロガーと一緒に搬入することが一般的です。

その温度ロガーをウエディングケーキの搬入時に一緒に仕込むということですね!

ウエディングケーキを各被験者(出席者)に配る際には、いちご管理表でしっかり個数を管理しておいて下さいね。

Wedding Studyでの設定項目や運用など

Wedding Studyでの設定項目や運用など

Wedding Studyの選択基準・除外基準や解析方法についてもリプ欄では提案をされている方がいました!みなさん色々と発想力が豊かで驚きですね!

評価項目

治験では、有効性や安全性を評価する訳ですが、その治験において最も確認したい項目を「主要評価項目(Primary Endpoint)」と呼び、主要評価項目を支持するような補足的な項目や主要評価項目から異なる視点で有効性や安全性を評価する項目を「副次的評価項目(Secondary Endpoint)として設定します。

ほっちゃれさんの設定はまさにWedding Studyにピッタリの設定ですね!

参加者の皆様は、しっかりと頑健性を発揮しちゃいたいところですね!

統計解析

統計解析は、その名の通り、治験で収集したデータから有効性や安全性を検証する際に使用する手段になります。治験のデータをまとめる際には確実に必要になってくるものですね。

Wedding Studyではどうなるのでしょうか。

なんと、生存時間解析とは…

時間の経過と共にお酒で潰れていく人が増えてくるので、カプランマイヤーで書くとこんな感じでしょうか。

生存時間解析_Wedding Study

あなたはどこまで生き残れるか…!?

…と、これは二次会の統計解析なので、ある意味次の章のお話ですね!

さてさて、主要評価項目「二人の幸せ」はどう解析しましょうかね…困っときは…「Priceless」。

Wedding Studyの二次会

Wedding Studyの二次会

さてさて、Wedding Studyも二次会にいよいよ突入しましたね。

乾杯の挨拶はひたままCRCさんがアイデアを出してくれていますよ!

挨拶が上手い!この挨拶の内容から考えると、二次会の挨拶を担当したのは、SMOの社長かもしれませんね。

おねいさんのために頑張って、しゃちょー!

さてさて、二次会ネタはどんなものがあるのでしょうか。

対象 観察項目
第I相 活きの良いヒト アルコール動態、忍容性、安全性
第II相 お酒に染まった少人数のヒト 用法用量、有効性、安全性
第III相 お酒に染まった多数のヒト 有効性、安全性

第I相(二次会/開幕戦)では、まだまだみんな元気なので活きの良いヒトに累積投与のコールが!?

一応念のため、私のブログもリプの意図としても常識の範囲内でという意味合いですからね!それにしてもアルコールの累積投与とは…新郎ピンチですね!!

まとめ

今回は、治験のおねいさんに寄せられた業界のみなさまの秀逸なリプライをまとめていきました。

以前は「#ジブリで学ぶ臨床開発」シリーズで業界のみなさんで盛り上がりましたが、どうやら医薬品開発界隈の皆様は遊び心満載の面白い方達が多いようですね!

今回は即席で記事を書いたので、実は治験に関わるような出し物をあまり考えて記事に盛り込めなかったのですが、私もゆっくり本気を出して考えてみようかな…