2021年が始まりまだ間もないですが、早期選考を行っているCROについては続々と内々定が出始めてきています。嬉しいことに、私の元にも続々と内々定の報告が届いています。
早い企業については、内々定を出し始めている状況ですが、本格的に面接に挑み始めるのがこれからという方も多いはず。
今回は、臨床開発職(主にCRA)の面接対策のポイントを紹介していきたいと思います。
私が面接時に見ているポイント
世の中には色々な面接官がいるので、あくまで私の場合はという前置きのもと、面接時にどのようなポイントを見ているのかをお話していきたいと思います。
私は人事ではなく、面接に入る際には現場担当者として入ります。
その為、人事が見ているポイントとは違い現場目線寄りの見方をしているかもしれません。その辺りは、適宜、みなさんの面接のシチュエーションに合わせて考えていただければと思います。
さて、早速ですが、私が面接時に見ているポイントからお話をしていきます。
①しっかりとした考えの軸を持っているか
②業界についてどれだけ興味を持っているか
③臨床開発職としての適性があるか
私は、面接時に主に上の①~③に着目をしており、エントリーシート(ES)を見ながらそれぞれの深掘りをしていきます。
ちなみに、私の場合は、①を最も重要視していて、次に②、次に③だと思っているので、①→③の順に面接でお話を聞かせてもらっています。
③よりも②を重要視しているのは、単に臨床開発職について熱い想いを持っている方が好きだからです笑
このあたりの順番は面接官によって違うとは思いますが、着目しているポイントとしては似たような感じなのではないかと思っています。
それぞれについて、もっと詳細に解説をしていきます。
しっかりとした考えの軸を持っているか
このカテゴリーについては、「志望動機」を聞くことで確認していきます。
志望動機の内容については、何でも良いのですが、しっかりと論理立てて考えられた結果、面接を受けに来ているのかどうかというポイントを見ています。
具体的な質問の事例としては、以下のようなことをよく聞きます。
●製薬業界を志望している理由は?
●その中でも臨床開発職を志望している理由は?
●その中でもCRA(志望職種)を志望している理由は?
●CRO/製薬メーカーを志望した理由は?
●その中でも弊社を志望している理由は?
基本的には、上記の質問を上から順番にしていって話が論理的に繋がればOKだと判断します。
予めESの課題で上記について回答されている状況であれば、ESの記載内容についての深堀になります。
面接対策で何をしたら良いのか分からない方は、まずはこの上の質問にサラッと回答できるように1つずつご自身の考えを書き出してみるのも良いかと思います。
各質問の答えを考えるうえでの留意点については後述していますので、考えがうまくまとまらない方は是非そちらも参考にして下さい。
業界についてどれだけ興味を持っているか
このカテゴリーでは、最近の医療や医薬品開発についてどのようなことを考えているのかを聞きます。
製薬業界またはCRO業界に興味を持って志望しているはずなので、どのようなトピックに興味があってどのように考えているのかを深掘りしていくイメージです。
具体的な質問の事例としては、以下のようなことをよく聞きます。
●治験の迅速化に向けて取り組まれていることで興味があるものは?
●その取り組みについてどの部分に興味を持っている?
●その取り組みで課題だと考えられることは?
就活生がそれぞれどの取り組みに興味を持っているのか違うと思うので、私の場合はピンポイントに話題を指定するというよりは、たくさんある取り組みの中で何に興味があるのかを聞き出して深掘りをしていきます。
製薬業界またはCRO業界に興味があり、業界研究をやっているのであれば、ここで1つも出てこないということは無いと思うので、業界研究をどれだけやっているのかという指標にもなると思っています。
そして、興味がある取り組みについてしっかりと考えているかを確認していきます。
ここでは、“考えること”に重きを置いていて、考えて導き出した回答が間違っていても別に良いと思っています。
正しい答えは、業界に入ってから学べば良くて、“自分はこの業界に興味を持っていてしっかりと調べているんだ!”という心意気を確認しているとも言えます。
ここの部分が熱い方は、個人的には“一緒に働いてみたいな、育ててみたいな”と思うのですよね。私も人なので。
その為、何か1つだけでもある程度熱く語れるくらいのネタを持っておくことをおすすめします。
医薬品開発の迅速化については、具体的には以下のような項目があるので、気になるものについては、深掘りをしていき、上記の質問に答えられるくらいにはまとめておいても良いでしょう。
・Risk Based Monitoring
・Decentralized Clinical Trials
・Real World Data
・eTMF
・Blockchain
主な項目を何個か羅列をしてみましたが、下の方の項目は少しイメージしにくく難しいかもしれませんので、上の方から見ていくと良いかと思います。
リスクに基づくモニタリング(Risk-Based Monitoring:RBM)という考え方は、2011年8月にFDAとEMAにより相次ぎ発表されたガイダンス案が始まりでした。 その後、2013年には日本でも「リスクに基づくモニタリングに関する基本的な考え方について」が発出され、2015年にはICH-E6 Step2ガイドラインに掲載されました。 今までもよりも適切で効率的なモニタリング手法として考案されたRBMですが、昨今のCOVID-19の蔓延もあり、再度注目が高まってきています。 今回はそんなRBMについて、基礎的なところからお話していきたいと思います。(意外に単純なので、就活生や経験が浅い方も理解できると思いますよ!)
臨床開発職としての適性があるか
適性を見極めることは、面接での最重要課題と言っても過言ではないのですが、面接時の限られた時間内でしっかりと判定できるかと言ったらそれもまた難しいので、私の中では③にしています。
ただ、③だからと言って軽視をしている訳ではなく、①、②と比較すると面接での判定の精度がブレるので③にしているだけです。
このカテゴリーについては、臨床開発職(主にCRA)に求められる能力や性格などを質問を通して確認をしていきます。
具体的には、以下のような質問をします。
●CRAに求められるコミュニケーションとはどのようなものだと思いますか?
●あなたの弱点を教えて下さい。
●その弱点について、あなたはどのように対策をしてコントロールをしていますか?
●意見が対立する2人の人がいたときにあなたはどのように間を取り持ちますか?
●大きな挫折を味わったとき、あなたはどのようになりますか?
●その後、どのようなアクションを取りますか?
恐らくこのカテゴリーの質問が就活生にとって大きな壁になるかと思います。
就活生の面接の場合は、中途と違い、実績よりもキャパシティを重視しての評価になります。
そして、そのキャパシティの大きさは自己分析をどれだけ深くおこなえているかに相関してきます。
これは、私の考えですが、CRAの仕事は、イレギュラー対応が起きたり、困難な壁に直面することも多くあるので、色々なことを常に分析をして冷静に判断していくことが求められると思っています。
具体的には、以下のようなことが現場では起きます。
●プロトコルに規定されている通りではなく、イレギュラーなパターンの問い合わせが入る
●言いにくいことだが、施設に伝えなければいけないことがある
●業務が忙し過ぎて、全然回らない
●どんなに注意をしても失敗や見落としをしてしまう
これらは、CRAとして働いていると直面する可能性のある壁の一部に過ぎませんが、このようなことが起こり得るのですよね。
これらのことが起こってしまうこと自体は、しょうがなく、大切なのは次に同じことが起きないようにどのように分析をして対策をしていくかだと思います。
自分の性格に関わるようなことであれば、自己分析をしっかりして自分に合った対策を考えていく必要がありますし、他人が関わるようなことであれば、他人の立場に立って、何がいけないのか、どのように直したら良いのかを分析していくことになります。
特に他人の立場に立っての分析などは難易度が高く、簡単なことではないので、少なくとも自己分析がしっかりできているかを私は面接のときに見ています。
しっかりと分析をして、対策について論理的に考えることが出来ているのであれば、臨床開発職(特にCRA)としての適性は高いと考えています。
面接時に感じる惜しいポイント
色々な方と面接をさせていただき感じた惜しいポイントについてまとめていきます。
面接(ESも)で話を展開する上で少し気を付けてみると、より質の高い回答ができると思いますよ!
志望動機が限定的ではない
志望動機のお話を聞くときに「CROでしかできないこと」、「製薬メーカーでしかできないこと」、「医療機器メーカーでしかできないこと」、「御社でしかできないこと」がうまくまとまっていないことがよくあるように感じます。
そこでしか出来ないことを探すのは、業界研究や企業研究をそれなりにやっていないと分からないので大変かとは思いますが、最も重要な部分なので、じっくりと内容を固めていくことをおすすめします。
とは言っても、「CROとか特に特徴なくて全然違いが分からない!!」という方も多いのではないでしょうか。
中堅のCROになると、確かにおっしゃる通り、あまり大きな特徴が無く、どこも同じように見えてしまうこともあると思います。
そんな時には、最終的には「人」や「環境」や「教育」をテーマの軸に話してみるのもありです。
本当は、「御社では、他CROと比較しPatient Centricityを重要視した開発に注力し~」みたいに具体的な取り組みを述べるのが王道ですが、そうもいかない場合は、説明会やインターンなどで感じた会社の空気感や教育体制などに重点を置いてお話を進めていくのも良いのではないでしょうか。
話が長くて分かりにくい
話をし始めるときには、なるべく結論からお話をした方が良いでしょう。出だしから長々と話し始めてしまうと、結局何が言いたいのかが分からないことがあったりします。
結論からお話をして、その後のお話は、結論の補足・補強というようなイメージで話を組み立てていくとスマートになるかと思います。
また、話の構成はなるべくシンプルな方が良い印象です。
回りくどい言い方をしたり、極端に難し過ぎる表現をすると、相手の頭に入りにくいので、聞き流されてしまう恐れがあります。
これは、ESについても同じで、まずは読んでもらうことが大切なので、“読まれるES”を意識するように、面接でも“聞かれる面接”を目標にすると良いでしょう。
これは、1人では対策をすることがなかなか難しいので、専門ではない人(親など)に話をして、なんとなく相手に意味が伝わるくらいのレベルで説明できると完璧だと思います。
想定外についての考察が甘い
想定外のことをある程度考えておくというのは、非常に難しいことではあるのですが、逆に言えばライバルの就活生と差が付く部分ではないかと思います。
具体的な例として、臨床開発職の志望理由に対して「私は小児の医薬品開発に携わりたい」という趣旨の回答を就活生がしたときのシチュエーションを考えていきたいと思います。
私は、就活生が上記のような回答をしたときには、「もし希望通りにならなかったらどうする?大丈夫?モチベーション落ちない?」というような内容の質問をすることがあります。
この質問の趣旨は、以下のようなポイントを確認するためです。
●希望通りにならなかったときにモチベーションを維持する方法をしっかり考えているか
このポイントについては、面接官としてしっかり確認をしておかなければ、入社後にイメージしていた状況とギャップが生じてしまい、お互い不幸な思いをすることに繋がってしまうので、慎重に確認するように心掛けています。
更には、「想定外のことについてある程度、リカバリー策を考えている」ということは仕事をしていくうえでも重要な要素になると思っているので、その適正もここで同時に確認しています。
そして、就活生のみなさんに留意していただきたいのは、感情論のみで答えるのではなく、根拠もしっかり提示して答えて欲しいということ。
やはり、聞いている側としては根拠を提示された方が安心しますし、納得できます。
「もし希望通りにならなかったらどうする?大丈夫?モチベーション落ちない?」の質問に対して、感情論のみで答えた場合と、根拠を提示した答え方について例を出してみます。
希望通りにならかったとしても、私は強みとして“最後までやり抜く力”がありますので、モチベーションを高く維持し、業務に取り組むことが出来ます。
実際に学生時代では、●●に取り組み、最後までやり抜き目標を達成することが出来ました。
その為、今回の場合においてもその時と同様、最後までしっかりとモチベーションを維持し、取り組むことが出来ると考えています。
希望通りのプロジェクトに配属されない可能性については、重々承知しており、そのような場合においても高いモチベーションを維持することが出来るかと思います。
その根拠についてですが、最終的には小児の治験に携わりたいという強い想いはあるものの、小児以外の治験においてもCRAとして得られる経験やスキルは多くあると考えていることです。
私は新卒として入社をするため、現段階ではより多くの経験を積むことで自己研磨をしていくことが最優先事項だと考えています。
希望通りのプロジェクト以外への配属となった場合でも、それは最終的なゴールに向けての「準備期間」と考えることも出来る為、高いモチベーションを維持できると思っております。
希望通りのプロジェクトに配属されない可能性については、想定していることを伝え(「重々承知しており」の部分)、そうなったときにはどのようなマインドで仕事を進めていくのかを回答していくと良いかと思います。
その際には、具体的な例を提示していくことがコツです。
上の例ではサラッと書いていますが、「小児以外の治験においてもCRAとして得られる経験やスキル」の部分はもっと深堀して考えることができそうですよね。
逆質問について
面接の最後には逆質問があることが多いと思います。
この時に、どのようなことを質問したら良いのか、あるいはそもそも質問しなければいけないのかを悩んだこともあるかもしれません。
個人的には、逆質問が来ても来なくても気にしないのですが、中には気にする面接官もいるので、やはりいくつかは逆質問を用意しておく方が無難でしょう。
では、どのようなことを聞いたら良いのかということですが、ここでは、業界全体のことよりもその会社に特化した内容を聞いてみるのが良いかと思います。
例えば以下のような質問が例として考えられると思います。
●医薬品開発は日々技術が進歩しているが、日々の進歩に乗り遅れないために御社はどのような取り組みをしているか。
●私は若いうちから多くのことを学び、積極的に提案もしていきたいと考えている。御社では、若い社員にも意見を発言できる場があるか。
●一人前に医療機関を担当するまでの期間に目安はあるか。
●御社のCRAは他社CRAと比較し、どのような点で秀でているか。
●御社の●●という取り組みについて、●●のような考え方でアプローチするとよりその技術が活かせると考えているがご見解を聞かせていただきたい。
●ニュースでは取り上げられていないが、薬局実習の経験から●●についても医薬品開発をするうえで問題だと感じている。その点について、御社では何か取り組んでいることはあるか。
ハイレベルな逆質問をされた場合には、評価の加点に繋がることもあるかもしれません。
私の場合はですが、やはり何かについてしっかりと考え持っていて、その考えを絡めたような質問をされると印象が良いような気がしています(質問される側としては、難しい質問になるので、少し焦るときもありますが笑)。
また、逆に会社の取り組みよりも、お金関連(年収のことなど)についてしつこく聞かれてしまうと印象が悪くなるときもあります(私の場合はなので、他の面接官は分かりませんが…ちなみに、軽く聞かれるくらいなら気にしません)。
就活がうまくいかない方へ
面接は、サクサクうまくいく方もいれば、かなり苦戦を強いられる方もいるかと思います。
しかし、就活に関しては本当にご縁によるところも大きいと思うのですよね。
ただ、面接に落ちた方は、みんな適性が無いのかと言ったらそうでもないのです。
少し、私の会社であったエピソードをお話しましょう。
私の会社では、以前、男女のバランスがあまり崩れない程度に採用をしようという方針の時がありました。
その時は、男性4名、女性4名が最終面接に挑み、評価は女性①、女性②、男性①、女性③、男性②、女性④、男性③、男性④だったのですよね。
採用は4名。
上から順番に採用すると、女性①、女性②、男性①、女性③になったのですが、バランスを考慮して、最終的な採用は、女性①、女性②、男性①、男性②となりました。
女性③の方は、間違いなく採用ラインに入っていました。
しかし、バランスの調整で男性②が採用となったのですよね。
このように落ちたからといってその方の実力が無かったかというと必ずしもそうではなく、その時の社内事情などの別の要素で漏れてしまうこともあるよということを知っていて欲しくてお話をしました。
なので、もし就活がうまくいかなくて自暴自棄になりかけていても落ち込み過ぎないで下さいね。
就活だけが全てではないし、この業界は若ければ中途でもチャレンジしやすいという特徴もありますので!
その気になればチャンスはいくらでもあります。
まとめ
今回は、私が面接時に見てみるポイントや就活に対する考えなどをまとめていきました。
面接官には色々な方がいて、それぞれ見ているポイントも違うかとは思いますが、共通する部分も多くあるかと思います。
私のこの記事の内容については、取っ掛かりとして考えていただき、あとは、実戦を積みながら色々なパターンの経験を積み上げていただく流れが良いかと思います。
就活を進めていくにあたって、色々な不安や疑問に直面することになるかと思いますが、解決しないときにはご連絡をいただければ力になりますよ!
なので、一人で悩まず成功に向かって頑張っていきましょう!
以前よりWebを用いた面接は注目を浴びていましたが、昨今のCOVID-19の流行を契機に注目が更に集まっています。本記事では、大手メーカーを始め様々な企業で導入が進んでいるHireVue(ハイアービュー)について色々と調べてみたことをまとめていきます。 当ブログは、臨床開発職のための情報発信ブログになるため、所々製薬系のお話が出てきますが、他の業種の方にも共通する部分は多いかと思うので、是非ご覧下さい。