治験に興味があっても、副作用や後遺症が気になって一歩が踏み出せないという方も多くいるのではないでしょうか?
治験の副作用や後遺症についての分かりやすい解説はもちろん、実際の体験談についても動画でご紹介していきます。
●治験で副作用や後遺症が起きる確率
●治験で副作用や後遺症が起きた時の補償
製薬メーカーで治験の仕事をしているプロがしっかりと解説していくよ!
世の中に副作用が無い薬はない!?
さて皆さん、日本で販売されている薬はすべて治験で有効性と安全性がしっかりと確認されてから販売されていますが、副作用が無い薬というのは存在しないのは知っていますか?
治験では、有効性のデータはもちろんのこと安全性(副作用)についてのデータも収集されていて、治験で出た副作用については添付文書という資料に必ず記載することになっています。
添付文書は皆さんが市販で薬を買った時には箱の中に入っている薬の説明書みたいなものです。
↓のような感じの紙ですが皆さん見たことありませんか?
ここには治験のデータもしっかりと書いてあります。
今回は、皆さんも馴染みが深いであろうロキソニンとベンザブロックを例に添付文書の副作用の情報を見てみましょう。治験ではどのようなデータが出ていたのでしょうね。
ロキソニンの添付文書
ベンザブロックSの副作用
ロキソニンもベンザブロックもしっかりと副作用について書いてありますね。
副作用の中身を見ていくと…ショック、アナフィラキシー、中毒性表皮壊死融解症、うっ血性心不全、劇症肝炎、横紋筋融解症などなど…
疾患名だけを見ると、とても恐ろしそうな疾患がズラズラ書いてありますよね。
ロキソニンやベンザブロックは、薬局にも普通に売っていますし、皆さんも使ったことがある方も多いのではないでしょうか?
それでも副作用にはこんなに書いてあるのです。では何ででしょうか?
治験の副作用の収集は非常に厳しい
治験では、100%治験薬以外に原因があると言い切れなければ、副作用として取り扱われます。
つまり、「治験薬が原因かはよく分からない…」というような症状が出た場合には、それも副作用に入れなければいけないという決まりがあります。
なので、非常に厳しい条件下で副作用情報が収集されているのですね。
例えば、アナフィラキーについても、もしかすると治験薬以外が原因で起こったものかもしれませんが、100%治験薬は関係ないと言い切れなければ副作用としてカウントをされてしまいますので、このように副作用の情報がたくさん添付文書に記載されています。
頻度不明ってあるけど何?怖くない?
ロキソニンの添付文書の発現頻度をよーく見てみると、「頻度不明」と書いてあります。
実は、添付文書の情報は治験の情報も載っているのですが、市販されてからも副作用情報は常に収集されていて、その市販後に集められた安全性情報は頻度不明となります。
治験の場合は、100人の被験者のうち1人の被験者で1件の副作用が出た場合、頻度は「1%」となりますが、市販されてから集められる情報は医師からの自発報告という形式で集められるため、分母が分からない状態になります。
例えば、医師が「アナフィラキシーが起きた」と報告をしてきても、今までに何人の患者がその薬を服用したのかが分からないため、頻度を計算することが出来ず、「頻度不明」と記載されることになるのです。
治験での死亡事例とかは無いの?
世界的に見ても、治験薬との因果関係があった健康成人対象の治験の死亡事件は、2006年にイギリスで起きたTG1412事件と2016年にフランスで起きたレンヌ事件の2件のみですので、極めて稀です。
日本では、2019年に健常成人が治験薬の副作用により幻視や幻聴、自殺企図等が発現して治験終了後に電柱から飛び降りて亡くなったという事例がありました。これは日本初でした。
詳しくは、「治験バイトで死亡」は本当?プロが実例を分かりやすく解説に書いてあります。
いずれにしても、今までに世界中で数多くの治験が行われてきましたが、治験薬の副作用で健康成人が亡くなるという事例は極めて稀です。
確率としては、自動車に乗って交通事故に遭う確率の方が遥かに高いことでしょう。
治験の副作用や後遺症の体験談
治験に参加してみてどのように感じたのかは、実際に参加をした方のお話を聞くのが一番だと思います。
認定NPO法人「健康と病いの語りディペックス・ジャパン」が運営をしているサイトでは、治験に参加をした際に体調トラブルがあった時にどのように感じたのかのお話が聞けるページがあります。
動画(この方は音声のみ)はこちらから聞くことができます。
動画はこちらから見ることができます。
動画はこちらから見ることができます。
体験談では、副作用が起きてもそのまま続けた方もいれば、やはり副作用が気になって治験を途中で辞退された方もいましたね。
治験は、治験は危険なもの?メリットやデメリット、案件の例まで徹底解説!の記事でもお話をしましたが、被験者の意見が最も尊重されるのは大原則で、いつでも止めたい時には申し出ることが出来ます。
治験に参加をする時には必ず治験の説明会で説明をされますので、その点については安心して問題ありません。
また、治験参加後に後遺症に悩まされたというお話はサイト内でも見つけることが出来ませんでした。
私も治験の仕事を長くやっていますが、治験の後遺症が続いているというお話は聞いたことがないため、こちらもあったとしても非常に稀なものだと推測できます。
治験薬が原因で後遺症が出た場合には補償がある
治験薬が原因で健康被害が出た場合には、製薬メーカーや医療機器メーカーがしっかりと補償をしなければいけないという決まりがあります。
こちらも、治験に参加をする時に必ず補償のお話があるので、もしご参加される方がいたらしっかりと聞いておきましょう。
治験で健康被害が起きた時の補償については治験で副作用が出た時の補償について分かりやすく解説!でも詳しく書いています。
補償の体制もしっかりと整っていることが分かると思います。
大事なのでもう一度言います。
治験に参加をする時には、同意説明書と健康被害の補償に関する資料で必ず補償の説明がされます。
もし、万が一補償の話をされなかった場合は、しっかりと質問(「健康被害が出た場合の補償はどうなっていますか?」等)をして聞いておくようにしましょう。
まとめ
今回は、治験に参加した時に発症する後遺症や副作用などについてその頻度と体験談についてご紹介をしていきました。
治験に参加する以上、100%副作用が発生しないとは言い切れませんが、当然のことですが、治験に協力をしてくれる方々の安全性は一番に考えて治験はデザインされています。
治験に安全に参加してもらうために、治験では厳しい選択基準、除外基準という項目があり、治験参加時にはスクリーニング検査として必ず確認され、治験薬を服用しても問題が無いかをしっかりと確認されます。
治験参加中の「喫煙は不可」や「飲酒は不可」などの基準もすべて安全性を確保するための決まりなので、治験に参加をした場合には面倒ですが、しっかりと守るようにしておきましょう。
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