【大手16社データ分析】HireVueの質問内容の分析と考察まとめ

コロナ禍をきっかけに一気に普及したHireVue(ハイアービュー)ですが、大手企業の就活にも導入が進んでいます。

今回は大手16社で出題された質問内容の分析と考察をしてみたいと思います。

HireVueを導入している大手16社

HireVueを導入している大手16社

HireVueの全体的な面接対策は、【保存版】HireVueなどの録画面接の対策と攻略法を考察してみたの記事でもお話をしましたが、今回は実際にHireVueを導入している大手16社の質問内容を分析していきたいと思います。

分析の対象企業は以下の通りです。

HireVueの質問分析をする大手16社
伊藤忠商事
三菱商事
三井物産
ファイザー
全日本空輸(ANA)
日本航空(JAL)
資生堂
三井不動産
富士フイルム
キリンホールディングス
日本IBM
ユニリーバ・ジャパン
花王
ベイン・アンド・カンパニー
日立製作所
ユニ・チャーム

HireVueで質問される内容は企業ごとに特色もありますが、共通した部分も多くあります。

次の章では全体的な出題傾向について分析をしていきます。

HireVueの質問内容の割合

HireVueでの質問内容の割合

こちらの円グラフは、大手16社のHireVueでの質問をカテゴリー別に分類をした後に、全質問に対する割合を示したものとなります。

こちらのデータをもとに全体的な傾向について触れていきます。

「自己紹介・自己分析」と「ガクチカ」で半分以上の割合を占めている

質問される内容の半分以上はこの2つのテーマということになりますが、この辺りはHireVueに限らず対策していると思うのであまり気にし過ぎる必要は無さそうですね。

それぞれについては、以下の観点でしっかりと説明できるようにしておくことで十分でしょう。

自己紹介・自己分析
自己紹介を30秒程度で。
あなたの強みと弱みは何ですか?
あなたは周りからどのような人と言われますか?

自己紹介は、緊張をほぐすためのウォーミングアップとして使用されることも多々あります。面接で点数を付ける際には然程重要視されないこともあるので、リラックスしてお話できるようにしておきましょう。

自己分析としては、「強みと弱みをしっかりと把握しているか」という点に着目されのですが、自己評価だけではなく「他人からの評価」を聞かれることもよくあるので「他人からどのように思われているのか」についてもしっかりと準備をしておくと良いでしょう。

ちなみに、私が面接官として就活生とお話をした時に「お、凄いな!」と思う就活生がいましたのでご紹介をしておきましょう。

のりすのりす

あなたは周りの人からどのような人だと言われていますか?

女性1(右)

私はよく「面倒見が良い」と言われます。しかし一方で、「求めるレベルが高い時がある」という指摘も受けることがあります。そのため、人に何かを教える時には一度立ち止まり、教わる側の目線に立つことでその人に合った教え方を考えてから行動することを意識しています。

「面倒見が良い」というポジティブな面だけではなく、しっかりと欠点についても触れており、更にその欠点に対してどのように意識をしているのかまで触れられています。

このようなお話のされ方をすると「しっかり分析できているな」と感じますので、是非皆さんも試してみて下さいね。

ガクチカ
学生時代に最もやりきったことは?
そこで直面した困難は?
それをどのように乗り越えた?
そこから何を学んだ?

ガクチカは、上記の質問にスラスラと答えられれば大半の質問には問題なく答えることができます。

小学生から今までの学生生活を考えてみると、ほぼ全ての人は何かしらの困難に直面しているかと思います。

海外留学などの煌びやかなエピソードである必要はなくて、それよりも大切なことは「その困難についてどのように対策をしたのか」という点です。

社会人になってからもほぼ確実に困難に直面することになります。

その時に自分で対策を考えてしっかりと乗り越えていくことができる方を採用したいと思っているので、「原因分析→対策」の流れはしっかりと論理的に説明できるようにしておきましょう。

テーマプレゼンも地味に多い

テーマプレゼンは、企業側からお題(テーマ)を出され、そのお題についてプレゼンを行うというものです。

今回の大手16社中6社でテーマプレゼンが出題されていたので、難関企業では比較的よく出題される課題だということが分かります。

テーマプレゼンでは実際に以下のような内容が出題されました。

テーマプレゼンのテーマ
「今後のMRに求められること」(ファイザー)
「逆境」or/and「リーダーシップ」を使い自身のエピソード(ANA)
⼈々が幸せになるサステナブルな社会実現するため、資⽣堂ですべきこと(資生堂)
「資生堂が克服すべき課題」(資生堂)
「身のまわりにあるモノやサービスをより良くする提案」(花王)
「好きな商品とその魅力」(ユニ・チャーム)

テーマプレゼンの場合は、「普段から物事について考える習慣があるか」という点が確認されています。

例えば、大手製薬メーカーのファイザーの場合は、「今後のMRに求められること」がテーマですがこれについては志望動機をしっかりと自分の頭で考えていれば自ずと答えが出てきます。

例えば、以下のようなことを就活時に”考えていれば”、このテーマプレゼンについては全く問題なく答えることができます。

製薬メーカーにおけるMRとは

MRは薬を売る「営業」と思われがちであるが、自社の製品の情報(安全性、有効性、用法用量等)を医療機関に提供する重要な役割を担っている。

更に、医薬品は上市した後も副作用情報を収集する必要があり、MRは担当施設で発生した自社の副作用情報を収集するという役割もある。

そのため、患者さんが薬を安心・安全に使用するためには必要不可欠な職種であると言える。

医薬品業界の課題

上記のように医薬品業界においてMRが担う役割は大きいが、昨今の日本では薬価の引き下げなどが相次ぎ会社が利益を担保するためにはコストの削減が必要不可欠となっている。

コストが増大することでビジネスが成り立たなくなり、日本での医薬品開発の停滞が懸念されることからMRとしてより効率的な情報提供・情報収集が必要であると考える。

今後のMRに求められること

今後のMRには「効率的な情報提供・情報収集」が求められるが、具体的な取り組みとしてMSL(Medical Science Liaison)との連携が挙げられる。

施設への情報提供をする際には準備に多大な時間を要するが、MSLと連携をすることでより迅速に正確な情報を伝達することができると考えられる。

御社は、MRとMSLの連携を非常に重視して考えていることから今後のMRに求められるであろう要素をカバーできており魅力的に感じている。

志望動機の質問は意外に少ない!?

志望動機/志望理由の質問は、16社中6社(37.5%)であった。

志望動機/志望理由については、ESでも出題されており動画面接で聞いたとしても同じような回答が返ってくることが予測できることから意外に質問をしてこない企業もあるようです。

とはいえ、1/3程度の会社では聞かれるわけなので、準備は必要ですが。

ESと同じような内容になると思うので、HireVue専用の対策はあまりいらないですね。

時事問題はほぼ聞かれない

時事問題対策は、普段からニュースを見ておく必要がありますが嬉しいことに?今回の分析では時事問題はほぼ質問されていないことが分かりました。

今回調査をした大手16社の中で時事問題の質問が来たのは、「コロナ禍により業界を取り巻く環境や生活者のニーズはどのように変化したか」(資生堂)、「あなたが最近注目している最新のデジタルテクノロジーを挙げて下さい。また、そのデジタルテクノロジーを使ってあなたならどのように世の中を変えたいですか。」(日本IBM)の2社のみでした。

のりすのりす

私が面接官をやる時も時事問題は聞かないですね…面接の時間は限られていて、他に聞きたいことがありますからね。。

一部ではフェルミ推定も出ていた

フェルミ推定は、就活全体を通しても質問されることはほとんどありませんが(体感的には時事問題より少ない)、今回調査をした中では、三井物産とベイン・アンド・カンパニーで質問されていました。

三井物産

少子化が進む中で5年間で幼児教育市場を1.3倍にするための施策を考えて回答して下さい。

ベイン・アンド・カンパニー

世界におけるパスタの月間消費量を考えて回答して下さい。

フェルミ推定はやったことが無いと何から手を着けたら良い分からず固まってしまうこともあるので、現役東大生が書いた 地頭を鍛えるフェルミ推定ノートあたりの初心者向けの書籍で雰囲気を掴んでおくと本番で回答できる確率がグッと上がることでしょう。

しかも、フェルミ推定はしっかりと回答できれば他の就活生に大きな差を付けることができるので、過去にフェルミ推定が質問されている企業を受ける際には対策をしておくと内定に近付きます。

また、フェルミ推定自体は就活では出題頻度は引くのですが、論理的思考(ロジカルシンキング)の力を鍛えておけば、面接全般の対策にもなるため、時間に余裕がある場合は取り組んでみても良いと思います。

イレギュラー系の質問はほぼ無い

フェルミ推定も大きなくくりではイレギュラー系なのかもしれませんが、もっと意図がよく分からない質問(例えば、「明日、地球が滅びるとしたらあなたは今日は何をしますか?」等)はほぼ質問されることはないでしょう。

仮に質問された会社があったとしても、全体で見れば非常に少ないため、イレギュラー系の質問のためにわざわざ対策を考える方が時間の無駄になってしまいます。

そのため、イレギュラー系の質問についてはあまり気にしない方が良いと思います。

大手16社の出題内容一覧

大手16社の出題内容一覧

最後に大手16社で実際に質問された内容を見ていきましょう。

企業によっては特徴的な出題傾向の企業もあるので、企業に合った対策を取ってみるのも良さそうですね。

企業名 撮り直し 質問内容
伊藤忠商事 何度でも ・自分はどのような人間か。
・自分の学生時代に頑張ったことは何か。
・伊藤忠商事で成し遂げたいことは何か。
・あなたを漢字1文字で表すと何か。
三菱商事 ・あなたらしさが分かるように自己PRをしてください(60秒~90秒)
三井物産 ・自己紹介
・学生時代に一番頑張ったことは何か。(10分程度)
・なぜそれをしようと思ったのか。
・どのような困難があったのか。
・どのようにそれを乗り越えたのか。
・その活動で得た学びは何か。
・少子化が進む中で5年間で幼児教育市場を1.3倍にするための施策は何か。(3分考察、1分プレゼン)
ファイザー 2回まで ・自己紹介
・自身の強みは何か。
・志望動機
・「今後のMRに求められること」について(3分でプレゼン)
全日本空輸(ANA) ・自己紹介
・「これは誰にも負けない」と思うことは何か。
・「逆境」「リーダーシップ」というキーワードのいずれかまたは両方を使って、ご自身のエピソードや考えを伝える。(1分以上2分未満)
日本航空(JAL) 何度でも ・自己紹介
・ガクチカ
・志望動機
・興味がある社会問題は何か。
・これからの残りの学生生活でチャレンジしたいことは何か。
資生堂 ・コロナ禍により業界を取り巻く環境や生活者のニーズはどのように変化したか。
・その状況下で資生堂が克服すべき課題は何か。
・⼈々が幸せになるサステナブルな社会実現するため(1)資⽣堂では何をすべきと考えているか、(2)エントリー職種を通じてどのように活動していく必要があるか、の2つを3分以内で。
三井不動産 何度でも ・個性あふれる自己PRをして下さい。(30~60秒)
富士フイルム 何度でも ・周りからどのような人と言われることが多いか。(1分)
キリンホールディングス ・自身の強み(1分以内)
・熱意・誠意・多様性を体現したエピソード(1分程度)
日本IBM ・あなたが最近注目している最新のデジタルテクノロジーを挙げて下さい。また、そのデジタルテクノロジーを使ってあなたならどのように世の中を変えたいですか。
・これまでの人生で、最も試行錯誤して自分を成長させた経験を教えてください。
ユニリーバ・ジャパン 1回まで ・意見が食い違った際の解決方法についてプレゼンをして下さい。(4分)
花王 ・自己紹介(30秒)
・身のまわりにあるモノやサービスをより良くする提案をして下さい。(3分)
・今までで最も挑戦した経験およびそこから得たことは何か。(3分)
ベイン・アンド・カンパニー × ・志望動機
・世界におけるパスタの月間消費量は?(フェミニ推定)
日立製作所 何度でも ・自己紹介
・ガクチカ
・志望理由
ユニ・チャーム ・自己紹介、自己PR(2分)
・強みとそれが発揮された経験を教えてください。(3分)
・やる気スイッチが入る瞬間はどんな時ですか。(2分)
・10年後の仕事とプライベートの目標を教えてください。(3分)
・好きな商品とその魅力を語ってください。(2分)
・自分が持っている知識、スキルでは解決が難しい課題に直面し、新しい知識、スキルを身につける必要があった際の経験(3分)
・達成困難な目標を設定して、その実現に向けて取り組まれた経験(3分)

 

まとめ

今回は、大手16社のHireVueで質問された内容について集計をして分析をしていきました。

【保存版】HireVueなどの録画面接の対策と攻略法を考察してみたの記事ではHireVueの録画面接のテクニック的な部分を紹介していきましたが、本来はテクニック的な部分よりも面接の中身の方が大切だと思います。

結局のところ、企業研究、職種研究などを丁寧にこなして地道に進めていくしかないので、じっくりゆっくり対策を立てていきましょう!