
薬剤師の給料は高年収と言われ周囲には羨ましがられることが多いですが、現実はそのギャップに悩んでいる人が多いのではないでしょうか。
薬剤師の昇給率の低さは薬剤師の中でも度々話題に上がりますが、皆さんの周りではいかがでしょうか?
そこで今回は、薬剤師の年収が上がらない原因について解説し、解決策を考えてみましょう。
●薬剤師の給料が上がらない時の賢い立ち回り方。
●薬剤師免許を活かした他職種の年収事情。

製薬業界でかれこれ10年以上働いています。X(旧Twitter)でのフォロワー数は5,900人程。日々患者さんのためにやりがいのある充実したお仕事に取り組んでいます!
給料が上がらない時の薬剤師としての賢い立ち回り
薬剤師として年収を上げていくためには、昇格をして管理薬剤師やエリア長などの役職に就くか転職をしてより条件が良い職場に転職をするかになります。
前者の場合は、会社の利益に繋がるようなスキルを磨いてアピールする必要があり、後者の場合は他職種へのキャリアチェンジをすることで将来的な年収アップが見込めますが一時的な年収ダウンになる可能性もあります。

いずれにしても楽な道のりではないのですよね…
今回の記事では薬剤師を続けていくことを前提にした年収アップの方法とキャリアチェンジをして年収アップを狙う方法をそれぞれご紹介するので、よりご自身の考えに合っている方を採用してみて下さいね。
給料が上がらない時の薬剤師としての賢い立ち回りに重要なポイントは、いずれの選択肢を選ぶとしても早い段階から対策をとることです!
薬剤師としての転職を成功させるためには、なるべく自分に合った転職サイトや転職エージェントを見つけることが重要です。 転職サイト・エージェントは多数ありますが、本記事ではそれぞれの特徴や長所・短所も徹底的に比較していきます …
薬剤師の年収が上がらない理由
年収をアップさせていくためにまずは、そもそもなぜ薬剤師の年収が上がらないのかについて知っておく必要がありますので簡単にご紹介をしていきます。
薬剤師の給与体系
月給は、基本給と諸手当で構成されています。
薬剤師には、基本給に加えて薬剤師手当が大体月5〜10万くらい支給されているため、他の職業よりも給与が高く、その傾向は新卒の時に大きく出てきます。
例えば、ツルハドラッグの薬剤師職と医薬品開発のシミックの臨床開発職の新卒時のデータを比較してみると以下のようになります。(ボーナスは仮として5ヵ月として計算しています)
薬剤師の場合は資格手当等があるため、月給が高くCROと比較すると年収面もやはり多くなってきます。
ただ、ここで重要なのはボーナスは一般的に「基本給×●ヶ月」で算出されることが多いということです。
では、基本給の昇給率が同じ「3%」と仮定した時に5年目の状況はどうなっているか見てみましょう。
5年目になると年収の差が縮まっていることが分かりますね。

この計算では、薬剤師とCROの基本給の昇給率が共に「3%」と仮定して計算をしていますが、実際には一般的にCROの方が基本給の昇給ペースが早いため年収の逆転はもっと早期に来ると予測できます。
手当が多いと一見良いようにも見えますが、手当の額は新卒もベテランも変わらないことを考えると年収を伸ばすためには”基本給の昇給率が高い”ということが最も重要であると言えます。
薬剤師の年収が上がりにくいと言われているのは、月給全体に占める手当の割合が多いこと(=ボーナスの支給額が少ないこと)が大きな理由の1つになります。
ちなみに、昇給率が低いことが主な原因で40代以降になると薬剤師の仕事が「割に合わない」と感じる方も出てきます。実際には、色々な観点で考えるとトータルでは薬剤師は割が良い職業ということになるのですが、割が合わない感じる理由は上でご紹介したような仕組みになっているからと言えますね。
薬剤師の仕事は何かと大変で、色々な場面で「割に合わない」と感じることもあるのではないでしょうか? そこで今回は、薬剤師が「割に合わない」と感じるいくつかの場面について実際のところ本当に割合わないのかどうかを分析していきた …
調剤報酬や薬価の引き下げ
薬局や病院の売上・利益は調剤報酬や薬価に左右されます。
しかし最近は、国の医療費削減政策のために薬価は下げられ、調剤報酬はかなり努力をしないと高い算定が取れないようになりました。
利益が下がったのでは、薬剤師の高い給与を払うことはできません。
滅多なことでは月給の減額はできませんが、昇給額やボーナスは業績によって減らすことができるため、医療費削減の方針が続いている以上薬剤師の年収アップは期待できないのです。
日本の高齢化が進み続ける限り状況の改善は難しいでしょう。
むしろ、薬剤師の人件費を削減しなければ経営が成り立たなくなるため人員の補充もできず、「激務なのに給料も増えない」という状況になりかねません。

何とも絶望的な話ですが、厚生労働省は「国が求める薬剤師の在り方」の実現に貢献した薬局には高い点数を与える方針をとっているので、「給料が上がらない」のではなくて「頑張れ」ということです。
どのような仕事も頑張らなければ給料が上がるわけはないので、こればかりは仕方ないですね。
薬剤師が年収を上げるには?
薬剤師の年収が上がりにくい原因が分かったので、次はいよいよどのように年収を上げていくのかについてお話をしていきましょう。
役職に就く
管理薬剤師やエリア長などの役職に就くことで、役職手当を貰うことできます。
自分の仕事だけでなく、職場全員の仕事の進捗管理やトラブルが起きた時の判断、在庫管理や部下の労務管理など責任は重く仕事も増えますが、やりがいもあって年収も100万近く上げることができるのです。
やはりお金を稼ぐにはそれだけ難しい仕事をこなさなければなりません。
ポジションにも限りがあるため、なろうと思ってすぐになれるものでもありません。
その点は覚悟しておきましょう。
スキルアップをする
役職以外にも手当をもらったり、給与を上げたりする方法もあります。
すなわち、会社の利益につながるスキルを磨いてアピールすることです。なるべく数字でわかる実績を残せると良いでしょう。

例えば、調剤薬局なら調剤報酬の加算算定に有利になるスキルがあれば会社にとって利益になりますね。
具体的にはかかりつけ薬剤師の同意獲得、外来服薬支援料や服薬調整支援料などの加算に貢献すると会社から高い評価を得られます。
かかりつけ薬剤師になる要件の1つである研修認定薬剤師を取得するだけでも手当を支給してくれる会社も多いですし、加算算定に貢献した回数が多い人を表彰し報奨金をくれることも。
しかし、算定を頑張ったからといって昇給やボーナスに関わる評価を上げるのは簡単ではありません。
社員が会社の利益のために頑張るのは、「当たり前」だからです。
もちろん会社も優秀な人材に辞められては困るので、いざという時の交渉材料にはなりますが、手当や報奨金と違ってベースとなる基本給や時給は必ずしも上がるものではない点に注意しましょう。
転職する
年収を上げるためには、転職を考えるのも1つの手。
昇給も昇格も、自分の努力だけで叶わない部分がどうしてもあるので、難しそうなら確実に年収が上がるところに転職するのが手っ取り早い方法です。
転職活動をするのも、新しい仕事を覚えるのはちょっと大変かもしれないですが、年収を上げたいなら会社や業界が変わるのを待つのではなく、自分が変わることが重要ですね。
同じ病院どうし、薬局どうしでも待遇には随分差があるのでまずはファルマスタッフのような情報量が多い求人サイトを眺めてみることから始めてみるのも良いかと思います。
また、別職種への転職であれば例えば医薬品の臨床開発職のCRAへの転職であれば将来的に800万円以上の年収を狙うこともできるので、年収面を考慮しての転職としては選択肢に入ってきます。
薬剤師から企業への転職でキャリチェンジを考えている方もいるかと思いますが、その中でも医薬品開発業界に興味がある方もいるのではないでしょうか? ただ、同じ医薬品を扱うにしても医薬品開発となるとどのようなことをやっていたり年収面や労働環境なども気になるところですよね。 そこで、今回は医薬品開発業界の職種の1つである臨床開発モニター(CRA)についてご紹介をしていきます!
転職によって年収を上げる方法の詳細
伸び代があり、年収が上がる転職を見つけるために、どのような点に注目して情報収集をすれば良いでしょうか。
職場選びのコツをご紹介します!
薬剤師手当をボーナスに含めてくれる会社を探す
薬剤師の年収が伸びない原因。
それは給与が高くても大部分が薬剤師手当のため基本給をベースに考えると昇給率が低いということでしたね。
実は、薬剤師手当や管理職手当を昇給やボーナスに含めてくれている会社も中にはあります。
昇給やボーナスというのは会社が個人の能力を評価して与えるもの。
薬剤師であること、管理職であることはその人の能力なので評価対象にすべき、という考えのもと、昇給やボーナスに含めているわけです。
しかし、募集要項に大っぴらに書いてあるわけでもなく、給与のことを面接で聞くと印象が悪くなってしまう可能性があるので、事前に情報収集するなら他の会社に勤めている友人などに聞くしかなさそうです。
病院→薬局→ドラッグストアに転職する
薬剤師の業界は、ドラッグストア>調剤専門薬局>病院の順で年収が高いと言われています。
ドラッグストアの年収が一番高いのは、元々ドラッグストアの薬剤師=「OTC専門薬剤師」だった時代の名残で、あまり薬剤師としてのやりがいを感じられず人気がない仕事だったために、手当を高くつけないと人が寄りつかなかった、という経緯があります。
現在ではドラッグストアも調剤併設型の薬局が多くなっており、調剤薬局とほぼ同じ仕事をしているにも関わらず、今まで通り高い薬剤師手当が支給されているのです。
配属される薬局の規模にもよりますが、調剤が暇な時間帯は物販のレジに立たないといけない等は基本的にそれ程ありません。
逆にいうと、やりがいがあって人気が高い病院は、採用枠が狭いこともあってすぐに人員が埋まるため、給与を上げなくても人が集まるのです。
あくまで仕事内容の希望を考慮しない年収だけの傾向にはなりますが、活躍のフィールドを変えてみるだけでも年収を上げることは可能です。
企業に転職する
薬剤師の給与形態や業界事情を考えると、伸び代は決して大きくありません。
将来的に伸びる可能性を考えるならば、やはり企業の方が希望があるというのが現状でしょう。
とはいえ、企業に転職するとなると同じ医薬品業界と言えども未経験枠として採用されることになるので採用時点ではほぼ新卒と同じ水準の年収でスタートしなければいけないこともあります。

若いうちに企業への転職に踏み切ることで年収ギャップは抑えられます。
逆に、薬剤師としての経験が長いと年収ギャップが大きな壁になることもあるのが現状です。
企業への転職では一時的に年収が下がることが多いのですが、最近はどこの企業も働き方改革が進んでいます。
残業削減・フレックスタイム・リモートワークなど、薬剤師の時の働き方とは違った働き方ができるなど年収以外の魅力もあったりします。
一時的に年収は下がっても、将来性・働き方の自由度を考えれば非常にコスパが良いのです。
薬剤師の経験や知識が活かせる業種には、臨床開発職(CRC、CRA)、製薬企業の管理薬剤師、MR、DI職、メディカルライターなどがあります
「こんなはずじゃなかった…」 調剤や患者さんの対応をしながら、そんな言葉を心の中でつぶやいている薬剤師の方、結構多いのではないでしょうか。 薬剤師の仕事は世間が思っているより激務なので、就職してから思い描いていた生活との …
まとめ
今回は薬剤師が年収を上げるための方法や対策についてまとめていきました。
薬剤師から別職種へ転職される時には、”薬学部の高い学費を払ってくれた両親に申し訳ない”と思い、なかなか転職に踏み切れないという声もよく聞きます。
確かに薬剤師になることを目指してそれを応援してくれたご両親へ別職種へ転職することを報告することは心苦しいこともあるかと思います。
ただ、別職種へ転職したとしても薬剤師として現場で培ってきた現場での経験は決して無駄ではありませんし、ご両親や周りの方は”薬剤師でいて欲しい”というよりも”幸せな生活を送って欲しい”と思ってはいませんでしょうか?
お金に関わる問題は生活にも大きく影響してきますので、今一度、みなさんにとってどのような選択がベストなのかをゆっくり考えてみるのも良いかと思います。
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