【サスメド】不眠障害用アプリの保険適用希望書の取り下げについてのまとめ

2024年1月15日の終値1,383円から下落を続けていたサスメド株でしたが、医療機器のインターネット広告規制緩和のニュースが流れ1月29日はストップ高の713円を付けました。

ただ、同日の取引終了後にサスメドより保険適用希望書の取り下げのIRが発出されPTSは17:53現在ストップ安を付けています。

このような大荒れのサスメド株ですが、ここまでの流れをまとめていきたいと思います。

のりすのりす

医薬品開発業界でかれこれ10年以上働いています。X(旧Twitter)でのフォロワー数は5,000人程。今回も分かりやすさを重視して解説をしていきます!

※本記事は筆者の個人的な見解も含んでいます。投資は自己責任でお願いします。

最近のサスメド株の流れ

  • 2024年1月12日(金)
    終値1,382円
    株価暴落直前の株価
  • 2024年1月15日(月)
    終値1,082円(S安)
    医療技術評価分科会の審議資料でサスメド Med CBT-i 不眠障害用アプリについて「評価すべき医学的な有用性が十分に示されていない」と記載され、場中にストップ安へ。
  • 2024年1月26日(金)
    終値613円
    第581回中医協総会にてサスメド Med CBT-i 不眠障害用アプリの保険適用が見送られたことが確定。取引終了後に医療機器のインターネット広告規制緩和のニュースが流れる。PTSの株価上昇。
  • 2024年1月29日(月)
    終値713円(S高)
    前場から上昇を続け後場にS高。一時は剥落するも終値でもS高で終了。取引後は、サスメドより保険適用希望書の取り下げのIRが発出され17:53現在のPTS株価は563円(S安)

サスメドが開発している治療用アプリのサスメド Med CBT-iが保険適用されるかは、2021年12月27日の「不眠症治療用アプリに関する塩野義製薬株式会社との販売提携契約締結について」で示されている塩野義製薬からのマイルストーンを獲得する上で大きなポイントとなっています。

現在までは赤字決算が続いていますが、サスメド Med CBT-iが保険適用されることによって収益フェーズに入っていくため、サスメドにとってもまさに正念場というところでしょう。

今回は中医協の資料や2024年1月29日にサスメドから出されたIR等について触れていこうと思います。

のりすのりす

私は新薬の臨床開発職で開発戦略にも関わっていますが、サスメドの件についてはかなり興味深く見ています。
個人的な情報のまとめではありますが、少しでもお役に立てば嬉しいです!(医療機器開発のプロの方からはいつも勉強させていただいています!)

第581回中医協総会の内容

第581回中医協総会の内容

2024年1月26日に行われた中医協総会では株価暴落のきっかけとなった医療技術評価分科会(2024/1/15開催)で議論された内容が中央社会保険医療協議会保険医療材料専門部会(2024/1/17)を経て報告されました。

先ほども少しお話をしましたが、結果はサスメドの保険適用については触れられていなかったことから保険適用見送りが確定したことになります。

ただ、サスメドの今後のことを考える上で注目すべき情報もあったため、まとめてみたいと思います。

プログラム医療機器の使用に係る指導管理の評価

2023年11月17日開催された保材専ではプログラム医療機器に対する評価基準として出されていた以下のような意見について議論がなされました。

  • 治療用として患者が主に自宅等で自ら使用するプログラム医療機器等については、特定保険医療材料として評価する方向で検討すべきではないか。
  • プログラム医療機器には様々な種類があるため、用途や使用目的、使用形態に応じた分類ごとの評価の在り方の検討や、評価の形式の具体的な整理が必要ではないか。
  • 診療報酬上の評価のあり方については、診断用か、治療用かという観点や、主に医療従事者が使うものか、主に患者が使うものかという観点など、用途や使用目的、使用形態に応じた分類ごとに検討すべきではないか。
  • 個々のプログラム医療機器の性質に基づく一定の基準により、特定保険医療材料、技術料への加算、既存技術料への包括、施設基準の緩和等のうちいずれの形式で評価されるかについてより具体的に整理していくべきではないか。例えば、治療用として患者が主に自宅等で自ら使用するプログラム医療機器については、特定保険医療材料として評価することも考えられるのではないか。

第124回 保材専議事次第」より一部抜粋

プログラム医療機器については、2023年年末まで評価のあり方について議論されており、どのように評価を整理していくのかにも注目されていたように思います。

現時点では、2023年11月17日の保材専の議事録がアップされていないので実際にどのような話になったのかは分かりませんが、分科会の意見も聞いたうえで色々と判断していくことになったのかなと推測しています。

ここで注目すべきは、上記の意見の抜粋にもあるように、プログラム医療機器については特材として評価すべきではという意見が出ていたという点かと思います。

プログラム医療機器の使用に係る指導管理の評価

健康管理等のために主に患者自らが使用するプログラム医療機器について特定保険医療材料として評価されることを踏まえて、プログラム医療機器を用いた療養に係る指導管理に対する評価が新しく新設されました。

プログラム医療機器等指導管理料

【対象患者】
主に患者自らが使用するプログラム医療機器等(特定保険医療材料に限る。)を用いた療養を行う患者

【算定要件】
主に患者自らが使用するプログラム医療機器等(特定保険医療材料に限る。)に係る指導管理を行った場合に、プログラム医療機器等指導管理料として、月に1回に限り算定する。

導入期加算

【算定要件】
プログラム医療機器等に係る初回の指導管理を行った月においては、導入期加算として所定点数に加算する。

【施設基準】
プログラム医療機器等の指導管理を行うにつき十分な体制が整備されていること。

上記に伴って、区分番号B100に掲げる禁煙治療補助システム指導管理加算が廃止されています。

プログラム医療機器については、特材として評価するということは2023年11月17日開催された保材専の中でも議論されていたため、これを見た時には「プログラム医療機器の評価について土台作りが確実に進んでいるな」という印象を持ちました。

私は医療機器については専門外なので、プログラム医療機器等指導管理料について深い理解があるわけではありませんが、プログラム医療機器を今後広く普及させていくための足掛かりになるようなものだと思っています。

先行している治療用アプリの取り扱いについて

令和6年6月1日収載予定のプログラム医療機器に対する評価として、サスメドよりも先に承認されている治療用アプリの「CureApp HT 高血圧治療補助アプリ」と「CureApp ニコチン依存症治療アプリ及び CO チェッカー」の保険償還に関する案が掲載されました。

販売名 企業名 保険償還価格 算定方式
CureApp HT 高血圧治療補助アプリ 株式会社CureApp 7,010 円 原価計算方式
CureApp ニコチン依存症治療アプリ及び CO チェッカー 24,000 円 技術料から算出
販売名 企業名 保険償還価格 算定方式
CureApp HT 高血圧治療補助アプリ 株式会社CureApp 7,010 円 原価計算方式
CureApp ニコチン依存症治療アプリ及び CO チェッカー 24,000 円 技術料から算出

※「中央社会保険医療協議会総会(第 581 回)議事次第」より作成

どちらとも、「特定保険医療材料としては設定せず、新規技術料にて評価する。」とされていましたが、今回の案では特定保険医療材料として設定するという案になっています。

これは、上記に伴って特材としての評価に整理されたものかと思います。

サスメドからの保険適用希望書の取り下げ

2024年1月29日の取引終了後にサスメドより「「サスメド Med CBT-i 不眠障害用アプリ」令和 6 年度診療報酬改定時における保険適用希望書の取り下げについて」というIRが出されました。

内容は、サスメド Med CBT-iが評価すべき医学的有用性が十分に示されていないとして、令和6年度診療報酬改定時の保険適用を見送る方針が示されたため、保険適用希望書を取り下げるという内容のものでした。

このIRを受けて、1月29日のPTSでは本記事執筆時点でストップ安を付けているという状況です。

現在のステータス

サスメドの現在のステータス_20240129

現在の保険適用希望書のままでは保険収載が無いわけなので当然、保険適用希望書の取り下げをするという判断に至ったのでしょう。

保険適用希望書の取り下げについては、保険点数が付かないと分かった1月26日に想定できるストーリーで株価の大きな下落が1月29日のPTSで起こったことには少し意外でした。

今後の展開

今後の展開については、前回の記事「サスメドの株価が3日で半値に!現在の状況を整理してみる」でも触れましたが、再度保険適用希望書を提出して保材専で特定保健医療材料として評価されるのではないかと考えています。

それは、サスメドのIRの「当社は、本アプリを適切に保険収載することによって、対面式の認知行動療法に依存しないデジタル認知行動療法を実現し、このような医療現場が抱える課題の解決に資するものとしていきたいと考えております。」という文面からも読み取れるかと思います。

つまり、ここで保険適用希望書を出さずに自由診療の道に進むよりも、まだ保険収載への道をしっかりと模索しているのではないでしょうか。

保険適用のタイミングを考えると、次回の6月に間に合えば非常に良いのですが、追加試験が必要な場合は更に遅れる可能性もあるというところかと思います。

早い段階で「保険適用希望書の再提出をしました」というIRが出れば明るくなりそうですね。

のりすのりす

私の意見ですが、やはり自由診療での普及となると収益的にも相当厳しいと思います…
また、再申請するにしても追加試験の要否なども着目ポイントで難しい判断を迫られているのだろうなと推察しています。

まとめ

結局現時点までで、分科会での「評価すべき医学的な有用性が十分に示されていない」の真相は分かっていないため(IRでも触れられていませんでしたね)、その辺りを明確にすることが今後の業界発展のためには重要なのではないかと思いました。

保険収載されるまでの道筋についてもこのような状況であれば、やはりスタートアップ企業は特に手を出しにくいのかなと感じます。

サスメドさんについては、上場する前から担当者の方からお話を聞かせてもらう機会があり、医療現場や治療環境を良くしていこうという心意気を強く感じていました。

上場前でほとんど世間には知られていなかった頃も実は治験業界ではブロックチェーンでのモニタリング効率化などの話題も出ていたりしたのですよね。

かなり苦難な道のりが続いていますが、日本の医療に貢献していく仲間としては心から頑張って成功して欲しいと願っている会社の一つです。

医薬品の臨床開発職からの視点で医療機器業界のプロから見ると稚拙な記事だったかと思いますが、ここまで読んでいただきましてありがとうございました。

のりすのりす

医療機器の開発についても興味があるので、業界のプロの方からこれからも勉強させていただこうと思います!