【確定申告しなくてもバレない?】治験の負担軽減費の仕組みをご紹介

治験では負担軽減費としてまとまったお金が貰えますが、税金がかかるかどうかや確定申告が必要かどうか分かりにくいですよね。

今回は治験で貰える負担軽減費の仕組みについてご紹介をしていきます。

この記事で分かること
治験の費用は確定申告をしなくてもばれないか
治験への参加は会社にばれないか
治験で貰えるお金の仕組み
のりすのりす

治験を専門にかれこれ製薬企業で長年働いています。Twitterもやっています。フォロワー数は4,400人程。今回もなるべく分かりやすく解説をしていきます

確定申告をしないと税務署にバレることがある

治験に参加をすることで貰えるお金(負担軽減費)については、支払った側が支払調書という書類を作って税務署に提出をしています。

支払調書には、「誰に対していくら支払いをしたか」が記載されているため、税務署は皆さんが治験で貰った負担軽減費について把握していることになります。

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治験で貰ったお金(負担軽減費)は雑所得に分類されるので条件によっては確定申告が必要になってくる場合があります!

つまり、確定申告をしなければいけないはずの人を把握しているので確定申告をしていないと税務署にバレる可能性があるということですね。

例えば、自治医科大学の「治験費用に関する手順書」には治験で発生する費用の院内での取り扱いが記載されていますが、負担軽減費については以下のよう規定されています。

報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書(確定申告用)を12月末迄に作成し、被験者に郵送する。

ばっちり確定申告用の支払調書を被験者(治験の参加者)に郵送すると書いてありますよね?

ただ、治験で負担軽減費を貰った場合には必ず確定申告が必要かというと必ずしもそういうわけではありません。

確定申告をしなければいけないパターン

学生の場合と会社員の場合で確定申告をしなければいけないパターンが異なります。

1/1~12/31までの1年間で以下に該当した場合は確定申告が必要になることがあります。

確定申告が必要な条件

■学生
収入の合計が130万円を超えた場合
会社員
副業の収入の合計が20万円を超えた場合

学生の場合

アルバイトで年間50万円の収入があったとすると、治験の負担軽減費で80万円を超えた場合に確定申告が必要になってきます。

収入が治験の負担軽減費のみの場合は130万円を超えなければOKなので比較的余裕があることになりますね。

会社員の場合

会社員は、本業の収入以外に年間で20万円を超えた場合に確定申告が必要になってきます。

治験の負担軽減費は高額である場合が多いので年間20万円はすぐに超えてしまいそうですが、少しお得な情報もあったりするので次の章で説明をします。

経費を差し引くことができる

例えば、会社員が治験に参加をして負担軽減費の合計が21万円だということを税務署が把握してしてもすぐに飛んできて確定申告の催促をするかというとそうでもないことが多いです。

というのも、「年間20万円」というのは収入から経費を引いた額でOKだからです。

21万円の負担軽減費を得ていたとしても例えば治験に参加するための交通費で3万円かかっていたとすると21-3=18(万円)ということで20万円を下回り確定申告は不要となります。

治験に参加することで経費として差し引けそうなものには以下のようなものがあります(治験に参加するために必要だったという前提が必要です)。

治験参加にかかる経費の一例
交通費(電車賃、バス代、タクシー代)
消耗品費(衛生用品代)
雑費(パジャマ代、文房具代)
新聞図書費(治験の情報収集用の本代)

扶養から外れてしまうことも…

社会保険の扶養は、1月~12月までの年間収入が130万円を超えると外れてしまうので注意が必要です。

治験に参加することで貰えるお金(負担軽減費)も雑所得に入るので、アルバイトと掛け持ちをしている場合などはアルバイトの給料と合わせて130万円以内に収まるように調整する必要があります。

治験に参加をしても会社にばれる確率は低い

治験に参加をしても会社にばれる確率は低い

確定申告については、税務署が支払調書によって個人への支払について把握しているためバレてしまう可能性が高いとお話しましたが、会社に治験で負担軽減費を得ていることについてはバレる可能性は低いでしょう。

こちらではその根拠と考えられる情報を整理していきましょう。

負担軽減費に所得税や住民税はかからない

治験で貰えるお金のことを「負担軽減費」といいますが、これはよく世間で言われている「謝礼」とは異なります。

治験に参加をすると確かにお金は貰えますが、それは「治験に協力をしてくれてありがとうございます」という謝礼ではなく、治験ボランティアに参加することによって生じた負担(交通費などの金銭的負担や治験で時間が拘束されるための精神的負担)を軽減する目的で支払われたものです。

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ネット上ではよく「治験の謝礼」と間違った使われ方がしているので混乱してしまいますよね…

そのため、治験の負担軽減費には所得税や住民税の課税はありません。

この部分は会社になぜばれにくいのかを説明する上でとても重要な部分なので少しだけ覚えておいて下さいね。

会社にバレるのは住民税がかかる場合がほとんど

会社に副業をやっているのが何故バレるかというと、住民税の納税通知書が原因です。

副業をして得た収入に住民税が課税されると納税通知書に課税額が反映されてしまいます。

会社は給料から社員の住民税を把握しているのですが、会社に届いた納税通知書の住民税の額と差異が生じることになります。

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例えば、年収が400万円だとすると会社は400万円に対して住民税は●円と計算をしていますが、副業をして年収がトータルで450万円になっていると住民税の額が会社が想定しているよりも高くなりますよね?

しかし、先ほどお話した通り治験に参加をして貰える負担軽減費というのは住民税がかからないので納税通知書にも反映されません。

そのため、治験に参加をして負担軽減費を貰っている場合でも会社にバレる可能性は非常に低いということです。

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治験で貰える負担軽減費が「報酬」だと勘違いしてしまうと、「住民税がかかる=バレてしまう」という勘違いに繋がりますね。

まとめ

今回は治験で貰える負担軽減費について、確定申告をしなくても大丈夫かどうかと会社にバレてしまうかどうかについてお話をしていきました。

確定申告については、例え税務署が気が付いていなかったとしても確定申告をしなければいけない条件にも関わらず申告をしていない場合は法律違反になってしまうので注意しましょう!