2020年7月現在、東京では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が依然として収まっていない状況にあります。
COVID-19流行の影響は、医薬品開発の場にも及んでおり、治験を実施するうえでも様々なイレギュラー対応をせざるを得ない状況となってしまいました。
未だCOVID-19は収束していない状況ですが、臨床開発職として実際にイレギュラーな対応にあたってみて感じた点や今後の課題などについても触れていこうかと思います。
…と、ここまでは少し固い感じの出だしになりましたが、経験が浅いCRAでも分かるようになるべく分かりやすく書くように心掛けていきます。
内容をガチガチに説明するというよりは、雰囲気を感じ取って欲しいので、詳細を詰めての議論まではしていません。
規制当局のガイダンスを覗いてみる
治験で得たデータの審査や医薬品・医療機器の承認をする役割を担っている規制当局は世界中にいくつか存在します。
今回のようにパンデミックが発生した際などには、それぞれの国の規制当局からガイダンスという形で方針がアナウンスされ、私たち開発職に関してもそのガイダンスに従って対応を進めていくことになります。
そのため、開発職にいる身であれば、規制当局から発出されるガイダンスには目を通しておかなければいけませんし、内容についても把握しておく必要があります。
CRAでも経験が浅いうちはかなり難しいことなので、出来なくても問題はありませんが、エキスパートになるには、このようなガイダンスを理解して、自分なりの意見を話せるくらいになる必要があります。(私自身まだまだ勉強中の身ですが…)
それでは早速、規制当局が発出したガイダンスを見ていこうかと思いますが、ここでは、アメリカの規制当局であるFDA(Food and Drug Administration:米国食品医薬品局)と日本の規制当局であるPMDA(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency:医薬品医療機器総合機構)について見ていきましょう。
FDAのガイダンス
FDAからは、2020年3月18日に、「FDA Guidance on Conduct of Clinical Trials of Medical Products during COVID-19 Public Health Emergency」というタイトルで、治験依頼者・治験責任医師・治験審査委員会(IRB)向けにガイダンスが発出されました。
日本の規制当局であるPMDAは、FDAのガイダンスを参考にすることが多くあるので、担当している試験がローカルであっても軽くでも良いのでFDAのガイダンスも頭に入れておいた方が役に立つことがあります。
そのため、どんなことが書いてあるのか大雑把に紹介をしていこうと思います。
序文
●FDAのガイダンスは法的強制力を確立するものではない。
●“should”という言葉が使用されるのは、何かが提案あるいは推奨されているが、義務ではないことを意味している。
ガイダンスを読むうえでの注意事項的なものなので、本題とは関係ありません。
法的強制力は無いと書いてはありますが、私の印象では、実際には多くの製薬メーカーはガイダンスで推奨されている事項に沿って対応を進めているだろうと感じます。
まぁ、推奨されているやり方で対応する方が無難ですからね。
もし、推奨されている方法以外のやり方で対応するのであれば、その対応が妥当であると判断した理由まで述べる必要があります。
「推奨されている以外の方法でも良いけど、その場合はしっかり納得できる理由を説明してね」というようなイメージですかね。
背景
●COVID-19の蔓延によりイレギュラーな対応が発生したりやむを得ない逸脱が発生する可能性については想定している。
●被験者の安全性を確保し、GCPの遵守を維持し、試験の完全性に対するリスクを最小限に留めるためFDAは一般的な考慮事項を概説している。
「背景」には主にFDAがどう考えていて、何の目的でこのガイダンスを発出したのかが記載されています。
常識的に考えれば「そうだよね~」という内容なので、説明は割愛します。
検討事項
ここでは、具体的にどのようなアクションが推奨されるのかFDAの見解が記載されています。要するに話のコアになる部分です。ここの内容は濃いので、詳細は後述します。
PMDAの事務連絡
それでは、次に日本の規制当局であるPMDAについて見ていきましょう。
PMDAからは、2020年3月27日に「新型コロナウイルス感染症の影響下での医薬品、医療機器及び再生医療等製品の治験実施に係るQ&Aについて」という事務連絡が発出されました。
FDAのガイダンスが2020年3月18日ですので、約1週間でのリリースとなり、個人的には、さほど出遅れ感は感じませんでした。
PMDAからの事務連絡の冒頭には、以下の記載があります。
現在実施中の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の治験において、新型コロナウイルス感染症の影響により治験実施計画書の規定及び通常の手順と異なる対応を取らざるを得ない場合は、被験者の安全確保を最優先とした上で、経緯及び対応の記録を残し、その妥当性について説明できるようにしてください。
また、実施医療機関において疑義が生じる場合の対応については、まずは治験依頼者と協議・相談してください。
見ていただくと分かる通り、基本的なスタンスはFDAのガイダンスと同じということです。
本件に限らず、PMDAはFDAの見解を参照することが多いので、CRAとしての初動としてはFDAから発出される資料の確認からとなります。
ただ、今回はFDAのガイダンスよりも随分とさっぱりしていて、具体的な方法までは限定していないので、比較的対応がしやすかったなぁという印象でした。
PMDAでは上記の方針の他、問い合わせ事項に回答する形で方針が発信されました。
具体的な状況が記載されており、それに回答することでPMDAの見解を提示しているので、読み手としてはイメージしやすく対処しやすかったです。
FDAからのガイダンスを読み解く
さて、ここからが話のコアになる部分になります。
CRAとしては、ここの内容をしっかり理解しておくことが重要です。(もちろん、CRCさんにも責任医師にも知っておいてもらいです)
FDAのガイダンスで示されている検討事項の中でいくつかをピックアップして書き出してみました。枠で囲ってある部分は、FDAのガイダンスに記載されている部分の概略で、その下に簡単な解説を入れています。
今回は、FDAからのガイダンスの翻訳を掲載しているHPがありましたので、そちらを参照させていただきました。
参照:【COVID-19緊急時下での臨床試験実施に関するFDAガイダンス】|海外がん医療情報リファレンス
治験参加者の安全性を確保することが最も重要である。
治験依頼者は、治験参加者の安全性に影響を与える可能性に着目し、各々の状況を検討し、それに応じて試験の実施を修正すべきである。
試験に関して決めるべき内容には、治験参加者の募集の継続、既に試験に参加している患者への治験薬の使用の継続、試験中の患者のモニタリングの変更の必要性などが含まれる。
いずれの場合も、治験参加者に影響を与える可能性のある試験およびモニタリング計画の変更について、常に治験参加者に情報を提供することが重要である。
まず被験者さんの安全性が第一。これは臨床開発をしている方にとっては常識ですよね。
責任医師もCRCさんもそこに疑問を持つ方はいないはずです。
CRAとしても、もちろん被験者さんの安全が第一ということを強く意識して責任医師やCRCさんと協議をすることを心掛けることが重要です。そうでないと、責任医師やCRCさんに不信感を持たれてしまいます。
さて、本題に。
今回のCOVID-19蔓延によって、計画していた治験や進行中の治験で中止や手順の変更等が余儀なくされました。
計画していた治験が始められないというのは、被験者さんの安全性という側面から考えれば問題ない(企業的には痛いですが…笑)のですが、問題は進行中の治験についてです。
COVID-19が蔓延している状況下では、被験者さんが病院に来られなくなってしまい、治験薬を渡すことが出来なかったり、CRAが施設に訪問できなくなってしまい、SDVが出来ないという状況が散見されました。
当然そのような状況になってくると、治験実施計画書や手順書の改訂も検討しなければいけなくなってきます。
そのように変更になったもので、被験者さんに影響を及ぼすものについては、被験者さんにもしっかり情報共有しなければダメですよということをFDAは記載しています。
被験者さんに影響を及ぼすものというのは、具体的には治験薬をいつもは病院で受け取っているけど、被験者さんの自宅に送りますよという変更などがあります。
また、被験者さんに影響を及ぼさないと考えられる変更というのは、例えば、治験薬を医療機関に配送する業者をA社からB社にしますよという変更などがあります。この変更は、被験者さんにとっては何も関係ないですよね?
CRAとしては、依頼者から提示された変更事項が、被験者さんに影響を及ぼす変更なのかどうかの意見を責任医師にしっかり確認しておく必要があります。(被験者さんに影響を及ぼすかどうかを判断するのは責任医師なので)
被験者さんへ影響を及ぼすという判断であれば、同意説明文書の改訂も必要となってきますので、CRAは、どのようなスケジュールで対応するかを責任医師とCRCと事務局の担当者に確認をしながらスケジュールを調整していく必要があると考えます。(がんばれ、CRA!)
治験依頼者は、治験責任医師及び施設審査委員会(IRB)/独立倫理委員会(IEC)と協議の上、プロトコルに従った試験参加の継続、治験薬の投与や使用の中止、または治験への参加中止が、参加者の安全、福祉および権利を保護するために最善であると判断することができる。
そういった決定は、治験薬の性質、適切な安全性モニタリングの実施能力、治験薬の供給網への潜在的な影響、試験対象となる疾患の性質など、特別な状況によって行われる。
そもそもとして、進行中の治験をそのまま継続すべきかどうかを判断する必要が出てきます。
実際の動きとしては、治験依頼者が治験継続の可否の方針を決め、治験責任医師にその見解についてどのように判断するかを聞きに行くという流れになるかと思います。
その後、必要に応じてIRBで審議がされて最終的な方針が決定することとなります。
治験参加者は、プロトコルで指定された診察のために治験実施施設を訪れることができない場合があるため、治験依頼者は、必要かつ実行可能な場合、安全性評価のための代替方法(例: 電話による対応、オンライン診察、評価のための別の場所(地域の研究所や画像センターなど))を実施することができ、 治験参加者の安全性確保に十分かどうかを評価すべきである。
治験依頼者は、被験者の安全性を十分に確保(例:安全性を評価するための必要な手順や、治験薬の適切で安全な使用の実施)するために対面での診察が必要かどうかを判断し、治験薬の使用や投与を継続するか決定する際には、モニタリングの方法を変更することで被験者の安全性が確保できるかどうかを検討すべきである。
ここでお話に出ているのは、「被験者が医療機関に来院出来なかったらどうするのか」ということになります。
被験者は、治験薬を飲んでいるわけなので、当然、治験中には様々な観察項目を確認する必要があります。
その観察項目の中でも特に安全性に関わる部分に関して、実行可能な代替方法を設定して、その方法での確認が十分に機能しているかを評価しないさいねという趣旨の内容が記載されています。
オンライン診療というのは、現時点の日本ではなかなか厳しいため、実際のところはやはり電話での確認となるのが現実的かと思います。
通常は、被験者さんに来院をしてもらって医師の診察を受けて観察項目が確認されますが、電話でもしっかりと安全性を確認することができたのかを評価しなければいけないということです。
評価手段までは明示されていませんが、個人的には、評価結果については何かしら記録に残すのがベターなのかなという印象を持ちました。(CAPAの評価のようにモニタリング報告書で良いのでしょうかね…?)
被験者さんの安全性を代替方法で確認した際の評価については、経験が無いので、経験された方がいたら教えて下さい!
通常、プロトコルの変更はIRB/IEC(場合によってFDA)によるレビューや承認の前には実施されない。
治験依頼者および治験責任医師は、COVID-19によるプロトコルまたはインフォームドコンセントに対する緊急かつ差し迫った変更が予想される場合には、できるだけ早くIRB/IECと協議することが推奨される。
緊急のリスクを最小化あるいは排除するため、あるいは研究参加者の生命や健康状態を守る(例:COVID-19への曝露を制限する)ためのプロトコルや治験計画の変更は、IRBの承認なしに、治験薬の適用免除(IND)や治験医療機器の適用免除(IDE)の修正を申請する前に実施することができるが、事後報告が義務付けられる。
FDAは、治験依頼者や治験責任医師に対し、治験参加者の安全性に影響を与える可能性のある逸脱報告を優先する手順を予め定義するよう、IRBと協力することを推奨している。
これは、対応しようとするとやや勇気がいるかもしれません。
COVID-19による(またはそれが影響することによる)リスクを最小化するためであれば、IRB/IECの承認を待たずに、プロトコルと同意説明文書を改訂することができるというものです。(事後報告は必須)
まあ、IRBでの承認を待っている間も被験者さんの時計は止まりませんので、倫理的に考えれば当たり前かもしれません。
プロトコルや同意説明文書をIRB承認前に使用するというのは、通常時は絶対にやってはいけないことなので、対応するとしてもかなり恐る恐る対応することになるかと思います。
FDAは有効性評価について、可能であればオンラインによる評価の利用、評価の延期、試験ごとに必要となる検体の代替的な採取法等の、有効性評価項目の測定に関するプロトコル変更について適切な審査部門との協議を行うことを推奨する。
有効性評価項目が収集されなかった個別の事例については、有効性評価を取得できなかった理由を文書化する(例:COVID-19による具体的な制約事項を明らかにし、それによりプロトコルで指定された評価を実施できなかった理由を説明する)。
治験にとって安全性評価と並び、有効性評価も非常に大事な情報です。
COVID-19の影響により、本来プロトコルで定められた方法以外(代替方法)で有効性に関する情報を収集する可能性も出てくるので、そのときには当局の審査部門と、その妥当性について協議を行うことが推奨されています。
また、治験は治験薬の有効性(安全性などもありますが)を見るために実施しており、有効性を確認するデータが収集出来ないとなったら、被験者さんに負担のみを負わせていることにもなってしまうので、妥当な理由を説明した文書が必要になるため、注意が必要です。
PMDAのQ&Aから実際の対応方法を考えてみる
それでは、PMDAの事務連絡に記載されているQ & Aについてもいくつかピックアップして対応方法を考えていきたいと思います。
Q1
実施医療機関に来院できない等により、被験者が治験薬、治験機器又は治験製品(以下「治験薬等」という。)を直接受け取れない場合、実施医療機関から被験者宅に配送してよいか。(実施医療機関・治験依頼者)
A1
治験責任医師又は治験分担医師が治験薬等の投与又は使用継続は可と判断している前提で、実施医療機関と医薬品GCP省令第39条の2、医療機器GCP省令第59条又は再生医療等製品GCP省令第59条に基づく委受託契約を締結した配送業者、または、実施医療機関の治験協力者により、実施医療機関から被験者宅に治験薬等を配送することは可能である。その際、試験デザイン、治験薬等の性質、被験者の状態等を考慮の上、同意を得た被験者において実施医療機関の責任のもと実施すること。
なお、運搬中の治験薬等の品質管理に加え、被験者への交付を確実に行うための手順を予め定めておくこと。また、経緯及び対応の記録を作成し保存すること。
これは実際に結構発生しているのではないかと思います。
私の周りでも被験者さんが医療機関に行きたくなく、治験薬をCRCさんが被験者さんの家に届けたという事例がありました。
治験薬の安定性等を考慮して、CRCさんが直接被験者さんの家に持っていく分には良いのですが、配送業社との契約となると話は変わってきます。
回答に書いてある内容から考えてみると、配送業者と実施医療機関との間で委受託契約を結ぶ必要があり、契約書の準備や押印にはそれなりに時間がかかってしまいます。
被験者のアローワンスが長いような試験の場合、それでも間に合うのかもしれませんが、大体は被験者のアローワンスに間に合わず、委受託契約を待っていたら最悪、治験薬の未服薬期間が生じてしまう恐れもあります。
Q1-2のQAでは、至急の対応が必要な場合は、委受託契約が間に合わなくてもOKとしていますが、責任の所在を明記した資料を残さなければいけないなど、CRAとしてはやや手間がかかる対応となってしまいます。
となってくると、現実的にはCRCさんが被験者さんの家に届ける対応の方が全体の業務量としては抑えられるのかもしれません。
今回はあまりにも急な出来事だったので、対応が難しかったのですが、個人的な考えでは、このようなこと(被験者に治験薬が渡せない状況になること)を想定して、すぐに医療機関と配送業者が契約締結できるように契約書のテンプレートを用意しておくのも良いのかなと思いました。
Q3
実施医療機関への訪問が制限されているため、モニタリング計画の通りにオンサイトモニタリングができない場合、どのように対応したらよいか。(治験依頼者)
A3
オンサイトモニタリングができない場合のリスク評価を行った上で、中央モニタリングを含め、代替となるモニタリング手法を検討すること。その結果を踏まえてモニタリング計画等を見直し、変更した方法について文書化しておくこと。なお、オンサイトモニタリングができない理由及びその対応の記録を作成し保存すること。
この対応はCRAにとっては、一番影響する内容になります。
そして、やはり今回のCOVID-19の蔓延により、CRAが医療機関に訪問出来ないという事態がかなり施設で発生してしまいました。
CRAは、モニタリング計画書に定められている方法でモニタリングをするわけですが、オンサイトでの100%SDVが規定されている場合は、お手上げ状態です。
そうなってくると、モニタリング計画書を改訂して、オフサイトでもモニタリングが出来るように設定し直すわけですが、ここでも問題が生じます。
EDCのVerify(SDVボックスにチェックを入れる)をどこまでやるのか。
ここら辺は、CROと依頼者でしっかりと協議を重ねて進めていかなければいけません。
幸いにもPMDAの見解には、細かすぎる規定は書いていないので、第三者が見て妥当であると判断できる状態であれば問題ありません。
また、忘れてはいけないのはCRCさんの対応です。
オフサイトでモニタリングをするには、例えば施設にあるワークシートをCRCに確認してもらったり、PDFを送ってもらったりと色々な対応をCRCにお願いすることになります。そうなってくると、CRCさんの負担が物凄いことになります。
CRAとしては、やってもらいたいので、お願いをしてしまうかもしれませんが、CRCさんの負担があまりにも大きくなるため、ここは改善策が必要だと考えています。
どのように改善していくのかは今後情報が集積されれば見えてくるものかと思いますが、現時点での私の考えは、やはり依頼者側でRBM(Risk Based Monitoring)の考え方をもっと積極的に導入すべきと考えています。
100%SDVから50%SDVに減らせたとなれば、その分CRCさんの負担も半減することになるので、今後の開発業界の課題になってくるかもしれないと思っています。(既にRBMについては議論が進んでいますが、普及の速度が緩やかな感じがします)
COVID-19 Workshop in Japanに参加して感じたこと
2020年5月に開催されたCOVID-19 Workshop in Japanに参加したのですが、そのときに感じたことを少し記録しておきます。
ワークショップでは、実際に医療の現場で働いている医師やCRCさんが現場ではどのような状況になっていたのかを発表して下さいました。
どのお話も興味深く、ここですべてを紹介するとまたとんでもない量になってしまうので、特に印象に残ったCRCさんからのお話を聞いた感想をお話していきたいと思います。
ワークショップで発表いただいたCRCさんのお話によると、医療機関では診療機能の縮小や院内関係者以外の出入りの禁止等、色々と制限される中での対応であったとのことです。
当然、「院内関係者以外」にはCRAも含まれますので、CRAの訪問も規制されていたことになります。
また、CRCさん自体も可能な範囲でテレワークや時差通勤の対応をしており、やはりいつも通りのパフォーマンスを維持しての業務は難しかったとのことです。
そのような状況下で更にCRCさんに負荷をかけてしまうことは、CRAとの関係性にも影響を及ぼしかねませんし、もっと言えばそれによってモニタリングがしにくい状況となれば、被験者さんの安全性のモニタリングにも影響しかねません。
CRCさんのお話からもやはりオンサイトでのモニタリングが出来なくなってしまうことを想定して、負荷を減らすことが期待できるRBMの重要性を再認識しました。
まとめ
2020年は、COVID-19の蔓延により、私たち臨床開発の仕事にも大きく影響を及ぼしました。
私自身もオペレーター側ではありましたが、様々なイレギュラー対応について検討する機会が多く、今までは気が付かなかったことにも色々と気付くことが出来ました。
昨今開発が進められている遠隔医療やオンライン診療については、通常の診療のみならず治験の場においても活躍することが期待されます。
2020年7月現在では、都内でも未だ感染者が多く、一部施設においてはCRAの訪問を制限される状況下にありますが、私たちがリアルタイムで対応をしていかなければいけない状況となっています。
色々な依頼者、CROがどのような工夫をして現状を乗り切っているのか非常に興味があるので、今後の勉強会でノウハウを共有してもらえることを期待しています。
また、本記事で誤りが御座いましたら、優しくコッソリご指摘いただけますと幸いです。