CROでサブコンをすると炎上する可能性が高い?私の経験談から解説します

CROにいると、時々耳にすることがある『サブコン』ということば。就活生はもちろんのこと、実際にサブコンのプロジェクトに配属されなければその内部事情もあまりぱっとこないものです。

今回は、そんな『サブコン』のプロジェクトについて、実際にどのような問題点があるのかをじっくり解説していきたいと思います。

まずはサブコンについての大まかな知識から

サブコンの危うさについて語る前に、まずはサブコンとは何かというところからお話をしていきましょう!

サブコンは、Sub Contractの略で依頼者(製薬メーカーや医療機器メーカー)から業務委託を受けているCROが更に他のCROに業務の一部を委託する受注形態のことです。

日本語では、孫請けということばに近い意味合いになります。

サブコンのイメージ

そして、このサブコンがプロジェクト炎上の原因になっていて個人的にはあまりおすすめないというのが今回のお話しのテーマになります。

これから臨床開発職を目指していく方やまだサブコンを経験したことが無い現役のCRAのみなさんにはしっかりとサブコンのリスクを把握しておいて欲しいという思いがあり記事を書いています。

何せ、私はこのサブコンのおかげで大変な目に遭いましたし、大切な同僚も多く会社からいなくなってしまったのですから…

サブコンをするCROがあるのは何故なのか

サブコンをするCROがあるのは何故なのか

『サブコンはあまりおすすめしない』ということであれば、何でCROはサブコンをしているのかという疑問が湧いてくるかと思います。

それは、人(サービス)を提供しているCROならではの事情があるからです。

CROの主な収益源は、モニタリング業務受託によるものです。

このことについては、日本CRO協会の資料でとても分かりやすいものがあります。

CROの売上高業務別の推移

2019年(1月~12月)年次業績報告|日本CRO協会より抜粋

このデータは、日本CRO協会に加盟しているCROの業務別の売上高の推移を示したグラフになりますが、以前よりモニタリング業務が売上の50%程を占めており、CROにとってモニタリング業務は収益の柱となっていることが分かったかと思います。

では、そのモニタリング業務をやるのは誰でしょうか?

そうです、CRAです。

CRAによるモニタリング業務というサービスを提供しているのがCROなわけですから、CROが売上を伸ばすにはCRAをしっかりと確保しておかなければいけないということになります。

ただ、CRAを確保することはそう簡単なことではありません。

CROが収益を伸ばす重要な要素の1つに稼働率があるからです。

プロジェクトに所属していない待機のCRAをいかに減らせるか、つまり稼働率をいかに高い状態に維持できるかがCROにとって収益を伸ばす(コストを削減する)大きな要素になっています。

そのような事情があり、CROでは通常時から待機CRAがなるべく少なくなるようにリソースマネジメントをおこないます。(案件がうまく受注できていないCROは待機CRAが多くいますが、それは経営的にはよろしくない状態ということになります)

ただ、ここで1つ問題があります。

それは、待機CRAが少ない状態のときに大型案件で大量のCRAが必要になった場合です。

もともと待機CRAを少ない状態に保っていたので、いきなり大型の案件が入り込んできたときにはCRAの数が足りなくて、大型案件を受注できないと事態が発生してしまいます。

ただ、CROとしてはせっかくの大型案件なのでしっかりと回収しておきたいという思いもあります。(あるいは、依頼者との関係で案件を受けざるを得ないこともあるでしょう)

そんなときに出てくるのがサブコンになります。

自社のCRAだけでは対応できないため、他社CROと契約をして治験実施施設の一部の対応を再委託する方法を取るのです。(対応策は他にもあるのですが、とりあえず今日はサブコンのお話なのでサブコンに限定をしてお話をします)

ただ、このようにモニタリング業務を他社CROに再委託した場合には様々な問題が発生してきます。

その問題が積み重なりプロジェクトの炎上へと繋がっていくのですが、問題点について詳しくお話していきます。

サブコンの問題点

サブコンの問題点

契約の内容によってはもしかしたら異なる場合があるのかもしれませんが、サブコンの最大の問題点は依頼者であるメーカーの意向がしっかりと再委託先のCROにまで届かず、依頼者が想定していた対応とは違った対応で動いてしまうことがあることです。

これは、間にCROをもう1社挟んでいるため、伝言ゲーム状態となってしまい生じるものなのですが、そうなってしまうと、次の段階として、CRO間での責任のなすりつけに発展してしまう恐れもあり、非常に危うい状態となってしまいます。

契約の内容によってはもしかしたら異なる場合があるのかもしれませんが、サブコンの最大の問題点は依頼者であるメーカーの意向がしっかりと再委託先のCROにまで届かず、依頼者が想定していた対応とは違った対応で動いてしまうことがあることです。 これは、間にCROをもう1社挟んでいるため、伝言ゲーム状態となってしまい生じるものなのですが、そうなってしまうと、次の段階として、CRO間での責任のなすりつけに発展してしまう恐れもあり、非常に危うい状態となってしまいます。

上記のようになってしまえば、もはや依頼者、CRO各社どの立場でも良い思いをしません。

対応を再度やり直すということになれば、CRAは各施設にそれについて説明をしに行かなければなりませんし、現場で対応する治験責任医師やCRCからはもちろん反発の声があがることがほとんどです。

そこでうまく調整出来ずにいると、チームが炎上してしまい、CRAが次々に辞めていってしまう事態が発生します。

マネジメント力が非常に高いリーダーのもとに付けば炎上は避けられるかと思いますが、難易度は非常に高いでしょう。

また、CRO2の立場は非常に弱いため、何か対応の許可を得る時は基本的には、CRO1とメーカーどちらからもOKが貰えないと対応を進めることが出来ず、非常にやりにくいことになります。

なお、依頼者がOKを出せばCRO1がNGでも対応を進められることが出来る場合がありますが、CRO1にとっては当然面白いことではないので、やはりぎくしゃくした関係になりやすいという問題点があります。

サブコンでは依頼者とCRO2者の許可が必要

実際のサブコンのプロジェクトを見てみても、やはりCRO2のプロジェクトリーダーが最もストレスがかかるポジションになってしまっています。

サブコンの大変さを知っている熟練のCRAの場合、プロジェクトリーダーのオファーが会社から来たとしても断ることが大いにあります。

もちろん、断っても会社命令でやらざるを得ないときがあるのですが、プロジェクトリーダー経験が無いCRAに対して『次、プロジェクトリーダーやってみない?』と甘い罠に引っ掛けて嵌め込むパターンもあったりするのが現実です。

経験と割り切ってオファーを受けるのも良いかと思いますが、その大変さを何も知らないまま、心の準備も無く担当してしまうと心を病んでしまう可能性が高いため、私はこの記事で警鐘を鳴らしているのです。

サブコン押しのCROには注意!

ここまでサブコンの危うさを説明していきました。

サブコンをやらざるを得ない理由は、リソースが足りないためというのは先ほど紹介しました。

これは、上の例でお話しているCRO1の立場の理由です。

CRO2の立場でサブコンを受ける理由は、大きく分けて2つあります。

何でも良いのでとにかく案件が欲しいから
あわよくばメーカーに気に入ってもらって次は直契約を目指したいから

私が経験した中では、むしろ上記2つしかありませんでした。

中堅CROの場合、案件を受託するにも少々波があったりします。

調子が良ければどんどん受託できるのですが、調子が悪いと、コンペに勝つことが出来ず、案件をなかなか持ってくることが出来ないという状況になることもしばしばあります。

「サブコンが大変」ということについては、私がTwitterをやっていてもよくそのような意見を見かけるので、比較的共通認識になりつつあると感じています。

そのため、調子が良いCROは敬遠する案件でもあるため、案件受託に困っている中堅CROが掴んでしまいやすい案件でもあるとも推察できます。

ただ、「案件の受託に困っていたからサブコンにした」というネガティブな理由を前面に出すわけにはいかないですよね?

そこでポジティブな理由として「あわよくばメーカーに気に入ってもらって次は直契約を目指したいから」というものが出来ているのだと思います。

もちろん、言っていることは間違ってはいないと思います。

完璧にこなせれば、メーカーからも気に入られるでしょうし、そうすれば案件を貰うことだって出来るかもしれません。

しかし、少なくとも私の経験の中では、炎上することなくすんなりとプロジェクトを終えたサブコン案件は見たことがありません。(もちろん、私が知らないところではあると思いますが…)

ポジティブ思考も良いのですが、サブコン案件が多いCROは裏を返して考えると、“コンペに勝って良い案件を自力で勝ち取ることがあまり出来ないCRO”と捉えることも出来るので、個人的には注意が必要だと思っています。

私がもしCROに転職をするとしたら、サブコン案件の割合などについては質問で聞くと思います。(多いか少ないか全くないかだけでも)

まとめ

実のところ、スタンダードである、依頼者-CROの2者契約であってもプロジェクト終了までの間にコミュニケーションがうまくいかずに問題が発生してしまうことはしばしばあります。

ただですら問題が発生してしまうところ、サブコンで更にCROが増えたらそれはもう大変であるのは当たり前のことなのです…。

ミスコミュニケーションが発生してしまうかどうかは、中間のCROの力量にも大きく関わってきており、依頼者と孫請けしているCROの間を取り持つ中間のCROの担当者が非常に優秀であればもしかしたらサブコンでの問題も起きにくいのかもしれませんね。

サブコンということば自体、就活生のみなさんや経験がまだ浅いCRAの方にとっては、なかなか馴染みの無いことばなので、今までサブコンについて考えたことは無かったかとは思いますが、いつかご自身も体験することになるかもしれませんので、頭の片隅にでも置いておいてもらえればと思います。

就活生の皆さんの場合は、会社説明会をこれから受けるかと思いますが、その際にサブコンということばが出てきたら注意して聞いてみて下さいね!