「できるCRA」を目指すには?現役CRCさんとポイントを考えてみる

2021年7月29日に現役のCRCさんとCRAさんを招待し、「のりすのお茶会」を開催しました。

今回は、のりすのお茶会の内容についてまとめていきたいと思います。

のりすのお茶会について

のりすのお茶会について私は、CROのCRAからキャリアをスタートさせ、長年CRAの経験を積んできましたが、その過程で多くのCRAが退職していく姿を見てきました。

理由はもちろん様々なのですが、コミュニケーション(特にCRCさんとの)がうまくいかず、段々と精神的に追い込まれてしまうというパターンも多々見てきたため、常日頃より「何とかならないものか…」と頭を抱えていました。

そのような中、たまたま私と一緒に仕事をしていたCRCさんからCRAの印象を聞く機会があったのです。

お話を聞いてみると、普段の対応でも細かい配慮や気遣いが欠けており、結果的にCRCさんにストレスがかかり関係が悪化しているとのことでした。

そして、とても厄介なことにこの”細かい配慮や気遣い”というのは、なかなかCRA本人は自発的に気付きにくく、しかもCRCさんもわざわざ指摘しないことが多いのです(同じ会社の人などではないので言いにくいですからね…)。

つまり、CRA側からしたら知らず知らずのうちに嫌われているということですね。

しかし、CRCさんとお互い気持ち良くお仕事をするには、この”細かい配慮や気遣い”こそ知っておかなければいけないため、今回はTwitterという場を利用して、普段のお仕事では言い出しにくい細かい部分の本音についてCRCさんに聞いてみるお茶会を開催することになりました。

お茶会はゲストの方々の人気にあやかって、募集開始後30分程度で満席に!

枠を拡大しましたが、数時間で約100名の枠が埋まり、キャンセル待ちの状態となっていました(多数のご参加に感謝!)。

中には、”新人さんのために”と枠を譲ってくださった先輩CRAの方もいらっしゃり、募集の段階から皆様の温かさに触れることができました。

お茶会の目的

今回のお茶会は、現役のCRCさんから率直なお話を聞いて、新人CRA/CRCさんが気を付けるべきポイントについて考えていくことを目的に開催しました。

お互いに気持ち良くお仕事をするためには、まずはお互いのことをしっかり知る必要がありますし、お互いの事情に耳を傾ける姿勢が必要です。

このお茶会を通して、1つでも得られるものがあれば良いなという思いで開催しました。

ご参加いただいたゲスト様

第1回のりすのお茶会_ゲスト様

今回は、現役のCRCさん枠としてlemonさん、えりさん、治験のおねいさんに、現役のCRAとしてでんさんにゲストとしてお越しいただきました!

お茶会を無事に終えることが出来たのは、この素晴らしいゲストの皆様のおかげだと思っています。

是非是非、またお茶会に遊びに来ていただきたいです!

新人CRAが気を付けるべきポイント

第1回のりすのお茶会_新人CRAが気を付けるべきポイント

今回CRCさんから事前に頂いたご意見から新人CRAが気を付けるべきポイントをまとめてたスライドになります。

最後の「謙虚さと学ぶ姿勢」は、私が勝手に加えたものですが、お茶会ではこの4つのポイントを軸にお話を進めていきました。

お茶会でお話になった話題を1つずつ振り返っていきたいと思います。

施設の運用体制やルールについて知る

まず最初にお話をしたのが、こちらの施設の運用体制/支援体制について把握すること。

新人のうちは、SMOの存在や役割は知っていても、実際に施設でどのような支援体制を取っているのかまでは知らないこともあるため、まずは支援体制のパターンについて知っておくと、業務がスムーズにいくというお話でした。

第1回のりすのお茶会_施設の支援体制

パターンとして考えられるのは、上記の①~④の4パターンですが、私を含め、ゲストの皆さんのお話から④のパターンは少なめな印象でした。

一般的に、クリニックの場合は②がほとんどで、その他の病院の場合は①~④が混在する感じですので、特にクリニックのみしか担当をしたことがないCRAはその他のパターンでの注意点を押さえておきたいところです。

具体的にどのような点に気を付けたら良いのかのお話もありましたので、この記事でも後述しています。

ちなみに④のパターンについては、やえさんもお話をされているように、信頼獲得の段階ということもあるようです。

施設対応時の気遣い/テクニック

施設対応時の気遣いやテクニックについてゲストの皆様を交えお話をしていきました。

「気を付けるべきポイント」に記載している内容は、しっかりと意識をして対応すべきポイントで「イケているCRAになるポイント」に記載している内容は、ワンランク上の対応を目指すための内容になります。

最低限、「気を付けるべきポイント」に記載している内容を抑えつつ、ワンランク上の対応もできるようトライしてみるのが良いかと思います!

書類の郵送

気を付けるべきポイント

書類を送付する際は、責任医師宛と実施医療機関の長宛の書類を別々で郵送するかそれともまとめて郵送するかを確認する。

こちらは特にSMOが支援に入っているパターンの時に確認をした方が良いポイントになります。

場合によっては、責任医師分の保管は施設で、実施医療機関の長分の保管はSMOで(一時的な補完という意味です)、というパターンもあることから、それぞれの保管分の資料をどこに送ったら良いのか、そして、どちらの保管分についても同じ住所に送付する場合は、別々にした方が良いのか、それともまとめて送付した方が良いのかを確認しておくとトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

また、お茶会では、同じCROの別プロジェクトの保管資料について、別々のレターパックで送られてきており、1つにまとめてくれても良いのにというご意見もありました。

実際のところ、プロジェクト毎に予算が割り振られているため、まとめての対応は難しいと思いますが、施設側からしたら何通もレターパックが届いて煩わしいというお気持ちはごもっともだと感じました。

イケているCRAになるポイント
責任医師保管分/実施医療機関の長保管分の資料は送付状もしくは付箋に記載する。
着払い伝票や返送用レターパックに自分の宛先を記載しておく。
責任医師の署名が必要な資料は予備を用意しておく。

資料を保管する側の立場になって考えてみると分かるのですが、責任医師保管分の資料と実施医療機関の長保管分の資料を1つのレターパックで送付する場合、それぞれの資料がどちらの保管分の資料なのかを明記しないと分かりにくいものがあります。

また、同一のSMOが複数の施設の事務局業務を担当している場合は、どこの施設の保管分の資料なのかについてもしっかりとお伝えする必要があります。

これらのことを送付状や付箋でしっかりとアナウンスすることで、資料保管の正確性が増し、事務局の負担も軽減されますし、結果的に資料が適切に保管されるということはCRAにとっても負担が軽減されることに繋がります。

第1回のりすのお茶会_郵送時の注意点

ちなみに、先生に署名を頂きたい資料の場合は、署名を頂きたい場所に付箋を貼ってお知らせする場合がありますが、その際に汚い字で書かれていると、CRCさんがわざわざ付箋を貼りなおしていることがお茶会の談話で判明しました!

以下のようなことがあると、CRCさんが付箋を貼り直さなければいけないこともあるようなので、注意したいところですね。

付箋問題の一例
字が汚い(ギャル文字も)
可愛らしいキャラクターの付箋が使われている
付箋が邪魔な位置に貼ってある

これらのことについては、レモンさんもTwitterでお話しされています。

個人的には、「付箋が邪魔な位置に貼ってある」にはドキっとしてしまいました(笑

例えば、先生に署名をしてもらいたい資料には、「こちらにご署名をお願いします」のように付箋にコメントを記載して貼ることもあるかと思いますが、貼る位置によっては、先生が署名をする際に邪魔になってしまうため、注意が必要とのことでした。

第1回のりすのお茶会_付箋の位置

右利きの先生の場合、赤い丸の付近に手を置いて記載することが多いかと思います。

しかし、署名をしていただきたい部分の下に付箋を貼ってしまうと、付箋に手が被ってしまうのですが、上に付箋を貼った場合は付箋に手が被らずに済むということですね。

これを聞いたときは、「確かに!」と思うのと同時に、私はこのレベルまでの配慮は出来ていなかったと感じました(配慮レベルがまだ足りなかった!!)。

その他、施設に提供する着払い伝票や返送用のレターパックについてもお茶会の中でお話になりました。

施設からCRA宛に資料を返送してもらう際等に、施設に着払い伝票や返送用レターパックを提供することがあるかと思いますが、その際には、「お届け先」がしっかりと記載(あるいは印字)されたものがあると嬉しいというご意見がありました。

第1回のりすのお茶会_送付先の記載

着払い伝票は、業者さんにお願いをすれば、印字済の着払い伝票を貰うことができますし、レターパックについては、宛先が記載されたシールなどを貼付して対応をすることもあります。

着払い伝票に限らず、CRAは施設に資料を送付することが多々発生しますので、予め自分が担当している施設分の印字済伝票は用意しておくことをおすすめします。

意外に宛先を書くだけでも手間だったり時間を取られたりするので、まだやっていないよという方は是非検討してみて下さいね。

ただし!うぱさんもお話をされているように油断をしていると伝票自体を取り違えて、全く別の施設に送付してしまうという恐ろしい事態も発生し得るので、その辺りの対策も考えておきましょう。

Training logやDelegation Logの対応

気を付けるべきポイント

各種ログのプレ印字では、SIやスタッフが漏れていたり、誤記が無いかをしっかりチェック!

Training LogやDelegation Logの準備をする際の注意点になります。

実際に、施設でトレーニングを実施する際には、以下のようにプレ印字をして用意することがあるかと思います。

第1回のりすのお茶会_Training logの注意点

施設側の負担を軽減するためにTraining Logなどにプレ印字をした資料を用意したは良いものの、入れるべき人が入っていなかったり、名前に誤記があり、クオリティが低いという問題です。

せっかく配慮をして準備をしたは良いものの、これでは本当にもったいない!

特にスタートアップなどのかなり忙しい時期にTraining LogやDelegation Logを急いで準備をしてしまうと、色々とミスが起きやすいので要注意です。

お茶会では、私もでんさんもこの類のミスはしたことがあったので、私たち以外のCRAも同じミスをした方は多い…はず!

また、誤記や記載漏れが万が一あった場合に備えてプレ印字をしたTraining Logとは別にブランクのTraining Logも持参する等の対策も取っていたので、不安な方は念のため用意しておくのも良いかと思います。

資料提供

資料を提供する際には、電子版で提供をした方が良いのか、それとも紙で提供をした方が良いのかにも注目をすると良いです。

例えば、IBやPRTについて、紙で打ち出して欲しいという方もいれば電子版を欲しいという方もいるので、CRCさんの要望を予め聞いておくと対応がスムーズにいくことがあります。

また、カスタマイズが必要な資料の場合は編集ができないPDFではなく、WordやExcelでのデータを提供するようにしましょう。

ワークシート作成の際には、可能であればEDCの構成が分かる資料も併せて渡すと、CRCさんが作業をしやすいです。

治験薬や検査キットの搬入

気を付けるべきポイント

治験薬や検査キットの搬入の相談を行う際には、サイズをしっかりと伝える。

治験薬や検査キットを搬入する際に施設と打ち合わせをするかと思います。

その際に、搬入をする物のサイズをしっかりと伝えることを忘れてはいけません(新人CRC側の立場で言えば、サイズの確認を忘れずに行うことが必要!)。

その他、治験薬搬入時のトリガーなども併せて伝えると、搬入の目安を立てやすいのでおすすめ。

依頼者側は、搬入頻度の設定を間違えてしまうと、施設に治験薬が足りない状況になることもあるので、かなりの注意が必要です!

お茶会では、届いた検査キットの高さがまさかの150cm程もありとても驚いたというエピソードをお聞かせいただきました…

施設側の立場になって考えてみれば、「サイズがどれくらいなのか」という情報は必要な情報であることが分かるかと思いますので、忘れずに対応をしていきたいところですね。

ちなみに、私のプロジェクトでは、治験薬のサイズや検査キットのサイズは手順書などに入れ込むようにしてから搬入時のトラブルは激減しました。

依頼者の方は是非ご検討を!

スタートアップミーティングや各科への説明

気を付けるすべきポイント

SUMや各科説明会での説明範囲や説明方法は“端的明瞭”に!特に重要な部分や対応事項のみ説明をする!

治験の開始時には、CRAは様々なシチュエーションで治験についての説明をしなければいけません。

しかも、とても大変なことにその時々のシチュエーションに合わせてプレゼンテーションの仕方(ポイントの絞り方など)を変える必要があり、臨機応変な対応が求められます。

具体的にお話すると、例えば、医師を含め色々な立場の方が参加されるSUMでのプレゼンは、網羅的にお話をするというよりは、しっかりと要点を押さえ、「特に注意していただきたい点」などにウェイトを置いてお話をしていく方が良いでしょう。

各科への説明となるとより顕著になります。

治験全体のお話はほどほどに、その科で対応をしてもらいたいことを具体的に端的に説明をすることに意識をすると良いことが多いです。

新人研修では、SUMを想定したプレゼンの発表はよくありますが、各科を想定したプレゼンの発表はあまり聞きません。

しかし、実務的には上記でもお話したように、SUMでのプレゼン以外にも各科でプレゼンテーションをする必要性も出てきます。

SUMのプレゼンよりも更に情報を取捨選択してお話することになるので、新人のうちは”どこを飛ばして、どこを重点的に説明をした方が良いのか分からない”という状態になるかと思います。

その際は、先輩などにしっかりと相談をすることを心掛けると素晴らしいプレゼンに近づけるはずです。

精度管理、保守点検

気を付けるべきポイント

「精度管理」や「保守点検」などの違いを明確に!

「精度管理」や「保守点検」という言葉は、治験の開始時によく登場する言葉です。

治験によって、どこまでの範囲の資料を求められるかはまちまちですが、新人のうちはこのあたりの文言の意味合いをよく理解しておらず、施設の方になんとなく提出を依頼してしまいがちです。

言葉だけを見るとなんとなく似てそうだなと思ってしまいますが、違いについてはしっかりと把握しておく必要があります(曖昧なまま施設に依頼をしてしまうと、施設側も混乱してしまいます)。

一例には、なりますが、例えば精度管理(臨床検査値)には以下のようなものがあります。

✔臨床検査室改善法(CLIA)
✔ISO15189認定
✔米国臨床病理医協会(CAP)
✔医療関連サービスマーク
✔公益財団法人日本医療機能評価機構精度保証施設認定証書
✔日本医師会 臨床検査精度管理調査
✔日本臨床衛生検査技師会臨床検査精度管理調査

 

精度管理については、病院のHPに公開されている施設もあるので、まずはそちらを確認すると良いでしょう。

また、担当するプロジェクトによっては、保守点検の記録の入手を求められることもあるかと思います。

主には、例えば、主要評価項目/副次評価項目を判定する際に使用する機器がある場合、保守点検の記録の入手を依頼者から求められることがありますが、ここでも注意が必要です。

なぜなら、「保守点検の記録」といっても、どの程度の記録を入手する必要があるかを施設側と擦り合わせる必要があるからです。

依頼者が想定している「保守点検の記録」のレベル感(点検項目や点検頻度など)とズレが生じてしまうと、評価項目に関わるだけに後から厄介なことになりかねませんので、しっかりと依頼者の想定を確認してから施設への依頼をした方が良いのです。

ちなみに、精度管理についての考え方は「治験における臨床検査等の精度管理に関する基本的考え方について」や「治験119」もしっかりと確認をしておくと理解が深まるので是非読んでおきましょう。

医師面会

気を付けるべきポイント

医師やスタッフへは、治験の専門用語や略語を使わずに分かりやすい表現で説明する!

新人の頃は、先生とお話をする際に緊張をしてしまい、早口になってしまったり、ついつい治験の専門用語を使いがちになってしまったりということがよくあります。

特に治験の専門用語を使ってしまうと、先生の中で「?」が浮かんでしまいますので、先生と面会をしてお話をする際には、なるべく治験の専門用語や略語を使わずにしっかりと丁寧に説明をすることを心掛けると良いでしょう。

ついつい出てしまいがちな専門用語/略語
AE→有害事象
SAE→重篤な有害事象
PI→治験責任医師
SI→治験分担医師
PD→逸脱
IRB→治験審査委員会
書式12→重篤な有害事象に関する報告書

上に記載したものは、極一部なので、その他の用語についても意味合いが伝わりにくい用語には注意が必要です。

ちなみに、おねいさんがお話されている「合併症」の使い方は治験と臨床では違うので、新人CRA/CRCさんは要注意です!

また、その他、先生に進捗確認や逸脱事例の紹介をすることなどがあるかと思いますが、その際は、まるちょさんがお話しされているように、唐突に話を切り出すのにも注意が必要です。

新人の頃は特にやりがちなので、落ち着いてしっかりと順序を踏んだり、自然な会話の中からお話を待っていけるよう目標を立ててみるのも良いかもしれません。

治験開始前のCRCさんへの依頼

イケているCRAになるポイント
各種資料は、カスタマイズ不可でなければ、PDFではなく、カスタマイズ可能なファイル(Word版など)を提供するとGood!
症例ファイル内の有害事象WSの予備を沢山入れておくとGood!
ICFを施設版にして、日付を入れるのみにしておくとGood!

治験の立ち上げ時は、CRCさんにかなり多くの対応を依頼することになります。

普段の忙しい業務に加え、立ち上げ時にはCRCさんいかなり大きな負荷がかかりますので、ここでどれだけしっかりと気遣いが出来るかがかなり重要だと思います。

いくつかの着眼点について上の「イケているCRAになるポイント」に記載していますが、これら以外にももっと多くのポイントがあるはずです。

考え方のコツは、”CRCさんの手間をどこまで省けるか”を意識することだと思います。

立ち上げ時はCRAもかなり忙しいことは重々承知ですが、初期の段階でCRCさんと良好な関係性が築ければ後々の対応がスムーズになりますので、大変かもしれませんが、CRAの頑張りどころなのかなと。

メール

気を付けるべきポイント

用件によって、Toに誰を入れCcに誰を入れるのかを意識する。

施設とコミュニケーションを取る際には、メールを使用することが多々あるかと思います。

その際に、ToやCcやBCCの使い方について意識する良いというお話をしました。

お茶会では以下のように説明をしました。

メールの宛先
To
メインに伝えたい相手を選択。ここはあまり迷わないはず。
Cc
メール内容に関連が深い人を選択。上司をCcに入れることも多い。
BCC
他の人からは誰を選択したか見えない。他の人には見られたくはないけれど、情報共有をしておきたいと思う人を入れる。

この中では、BCCに誰を入れるのかは新人のうちは一番イメージしにくいかもしれません。

私は、「Toの人には紹介をしていない社内の人だけど、情報共有をしておきたい人」や「ToやCcの人にはあまり知られたくはないけど、情報共有をしておきたい人(例えば依頼者など)」をBCCに入れていました。

このお話はちょうどレモンさんもTwitterでレモンさん流のBCCの使い方に触れています。

CRAが問い合わせをした際に、その内容を確認したメールのBCCに入れてくれるとは…!

これは神対応過ぎてビックリしました…!

当事者意識

CRAとしてお仕事をしていると、依頼者やリーダーから施設に対して色々な対応を求められることがあります。

対応内容は様々ですが、新人の頃に特に意識をして欲しいのが「よく分からないけど、やれと言われたからやる」という考えを持たないということです。

納得できるかどうかは置いておいて、依頼者やリーダーから施設に対しての対応を依頼される際は、大体何かしらのバックグラウンドがあるはずです。

依頼された対応については、「なぜその対応が必要なのか」等はしっかりと把握した上で、施設へ対応依頼を出すように心掛ける必要があります(当たり前のことのように思いますが、実はあまり出来ていない場面をよく見かけます)。

依頼者からの要求の伝達

気を付けるべきポイント
依頼者からの要求(候補者状況の確認、エントリープランについて、面談等)は、通常診療+αで治験を実施していることを考慮した上で施設に伝達をする!
過度な要求や伝えにくいことであれば、事前に電話等で相談することも考える!その際は、電話で時間を取りすぎないよう注意!

依頼者からの要求で、医師に対して対応を依頼することがあります。

その際には、「治験なのでやってもらって当たり前」という考えは持たず、「通常診療+αの対応としてご実施いただいている」という意識を持つことが大切です。

もっと具体的に言えば、先生の本業の邪魔にならない程度に対応を依頼するという配慮が必要だということです。

個人的には、過度な配慮までは必要ないのではと思っていますが、「ご多忙の中のご対応依頼となり大変恐縮で御座いますが、何卒よろしくお願い申し上げます。」など、一言を添えるだけでも印象は全然違うと思います。

もちろん、一言だけではなく、対応期限などに関しても、通常診療をされていることを考慮して、短すぎる設定は控えるべきです。

とはいっても、時には急ぎでの対応や面倒な対応を依頼しなければいけないこともあるかと思いますので、その際はCRCさんに事前に相談をしたり、先生に直接しっかりとお話をすることも選択肢に入れると良いのではないかと思います。

とにかく、誠実な対応をしっかりと心掛けておくことが重要です!

謙虚さと学ぶ姿勢

特に新人のうちは、謙虚さと学ぶ姿勢が大切だと思っています。

社内はもちろん、施設を担当したばかりの頃は、知らないことも多々あることでしょう。

その際に、適当に対応を進めるのではなく、時にはCRCさん等からも教えてもらいながら対応を進めることも必要だ思います。

私も、CRAとして慣れてからも、施設の細かい運用についてはCRCさんに教えてもらいながら、対応をしていました。

適当に進めてしまうよりも、しっかりと分からないことを聞いて解決をした上で対応をする方がCRCさんにとってもプラスとなることもあるので、そのような場面でCRAとしてのコミュニケーション能力を発揮していきましょう!

その他、お茶会では、社内での立ち回りについて以下のようなポイントのお話をしました。

イケているCRAになるポイント
報連相の徹底は凄く大切!「まぁ、良いか」でやり過ごすと後で痛い目に遭うことも…
先輩を程良く頼る!自分のことを慕ってくれる後輩に冷たくできる人はそれ程いない(はず)

よく分からないことを、分からないまま適当に進めてしまうと、後々、とても後悔することや施設から怒られたりすることもあるので、分からないことはしっかりと先輩などに確認をして解決しておきましょう。

聴講者から頂いた質問

第1回のりすのお茶会_聴講者から頂いた質問

お茶会では、内容が盛りだくさんであったため、質疑応答のお時間は15分程度しか確保できなかったのですが、お茶会終了後にTwitterのハッシュタグ「#のりすのお茶会」やDMを通して多数のご質問が寄せられていました。

その中の一部を紹介させていただきます。

併用禁止薬リストは試験ごとに依頼者さんが作られているのでしょうか??禁止薬リストがアプリ等で確認できるようになればCRCさんも簡単に確認ができ、患者さんにもすぐに回答ができるのかなと思い、個人的にアプリを作りたいなと考えており、現在はそもそもどのように禁止薬リストが作られているのか知りたいと思いました。

まず、併用禁止薬リストがどのように作成されるのかについても色々なパターンが考えられます。

例えば、以下のようなパターンがあります。

併用禁止薬リストの作成について
① そもそも作成しない
② 依頼者が作成する
③ CROが作成する

このうち、②と③では併用禁止薬リストが作成される訳ですが、例えば、弊社で作成する場合は、プロトコルで規定した内容を最新版のJAPICの電子データファイルから、薬効などで絞り込みをして作成をしています。

8割程はそれで完成をさせ、残りの詰めを論文やその他の情報から必要と思われるものをピックアップして併用禁止薬リストに入れ込んでいます。

現在は、併用禁止薬リストはExcelなどで作成することが多いと思いますが、ご質問者様のようにアプリで管理ができるのであれば、CRCさんもCRAも双方にとって有用なツールになりそうですよね!

CRAさんからみて、「CRCのこういう対応が良かった/困った」という体験談は?

CRCさんからのご質問ですね。

私個人的なお話ですが、CRCさんの対応でとても印象に残っているのは、症例の組み入れに苦戦をしていたときにCRCさん側から打開策の打ち合わせを申し出てくれたことです。

症例の組み入れが思うように進まない場合、CRAとしても上司や依頼者からのプレッシャーがあるので色々とCRCさんに聞いてしまうのですが、頻回に聞き過ぎてしまうことに躊躇してしまうこともあるのですよね。

そのような状況の中、CRCさん側からなんとか今の状況を打開したいということで打ち合わせの申し出があり、一緒に打開策を考えたことがありました。

打ち合わせには、私の当時の上司も同席させてもらい、一緒になって打開策が無いかを考えたため、上司にも施設の状況がしっかりと伝わりましたし、何よりCRCさんと一緒に悩み抜いて色々と試行錯誤を重ねたのは非常に良い印象として記憶に刻まれています。

双方向でディスカッションが出来たので、ご施設の都合や依頼者側の都合などのお互いの思いを擦り合わせながら進められたのが大きく、結果的に試験全体として目標症例数の組み入れを達成させることが出来ました。

また、一方で困ったエピソードもあります。

それは、多くのCRAも経験しているかもしれませんが、やはりやっていただきたい対応をなかなかやっていただけない時です。

「やっていただきたい対応」というのが、時として依頼者の理不尽な対応依頼のこともあり、CRCさんが対応を拒むこともとても分かるのですが、CRAとしてはそれでもやはりやっていただかなくてはいけないこともありますので、「やらない」となってしまうと、正直なところ困ってしまうこともあります。

やらない理由が、論理的に成り立ったものであれば、まだ依頼者やグローバルと戦う余地があるのですが、場合によっては感情論のみで「やらない」となっている場合もあり、その場合には特に困ってしまうのが正直なところです。

第三者が聞いて、「やらない理由」が妥当だと思えるようなものがあれば、そちらを提示いただけると非常に助かります。

ただ、この問題は非常にデリケートな問題で、その状況によって依頼者/CRA側が悪い場合も多いにありますので、一概に結論をこの記事のみで語るのは難しいと思っています。

しかし、この問題は前からずっと存在するものなので、お互いにとって最も良い方向に向かえる考え方を深く議論していきたいところですよね…(いつかの、のりすのお茶会のお題ですかね,笑)

モニターさんのお仕事で、在宅とオフィスでの大きな違いはありますか?いきなり電話して助けていただいても大丈夫ですか?

特に今のコロナ禍の状況では、CRAも在宅でのお仕事も増えてきましたよね。

今はCRAをしているわけではないので、私の回答が100%適切かは分かりませんが、私の印象では、オフィスにいる時にはオフィスでしか出来ない仕事(IRB審議資料の準備など大量の印刷を必要とすることなど…)をしますが、それ以外のことは在宅でも十分に対応できるものが多いのかなという印象です。

ただ、オフィスにいようが在宅で勤務をしていようが、施設からの問い合わせに対応することはCRAのタスクなので、いきなり電話をして問合せていただいても全く問題ないと思っています。

例えば、新人のCRCさんの施設を私が担当をしたときには、被験者対応がある日(来院日時)を予め教えていただいて、その時間はなるべくすぐに電話を取れるようにスタンバっていました!

新人のCRCさんの場合、被験者対応で不安なこともあるかと思いますので、その際は予め担当のCRAにお伝えいただくのも良いかと思います。

CRAとしても施設で逸脱が起きないようにしたいと思っていますので、そのためのお手伝いであれば喜んでする方が多いのではないでしょうか。

まとめ

ありがとう

今回の、のりすのお茶会では、新人CRA/CRCさん向けの内容(結構CRA寄りになってしまったかもですが!)をお話させていただいたわけですが、経験年数がある程度ある方にとっても「ここ気を付けなければ!」と気付かされるポイントもあったのではないでしょうか?

新人CRAとして、CRCさんは一緒にお仕事をする方として最も身近で深く関わることになります。

最初の頃は、先輩に習ったことをトレースする形になるかと思いますが、「できるCRA」に成長していくためには、「先輩がこうやっていたから」という理由で対応をするのではなく、施設や先生のカラーに合った対応方法を器用に使い分けていく必要が出てきます。

もちろん、これは一朝一夕で身に付くものではありませんが、今回のお茶会でお話をした内容で、出来るものから1つずつこなしていくことでも良いかと思います。

そして、お茶会や記事に書いたこと以外で壁に直面した際には、私にご連絡いただいても結構ですし、Twitterには優秀な先輩方が揃っていますので、今の時代はそちらに意見を求めるのも良いでしょう。

「相手をしっかりと思いやる気持ち」を忘れなければ新人CRA/CRCさんも素敵な先輩に成長していきますので、共に頑張りましょう!

最後に、素晴らしいゲストの4名の方と、「のりすのお茶会」にご参加いただいた、多数のご参加者様に感謝申し上げます!