
睡眠は言うまでもなく体にとって大事なことですが、睡眠不足によってどれくらい病気や死亡のリスクが上がってしまうかはご存知ですか?
今回の記事では、睡眠不足によって引き起こされるリスクと睡眠改善の重要性についてお話をしていきます。
●睡眠不足のおすすめ解消策

製薬企業で臨床開発職として10年以上の経験あり。不眠症関連の医薬品開発経験もあります。医薬品開発の専門情報はTwitterでも発信しておりフォロワーは3,800人超え。今回も”分かりやすく”を意識して解説をしていきます
睡眠不足が長期化することで病気のリスクが増加する
厚生労働省の報告によると、一般成人の30~40%が何らかの不眠症状を持っており、多くの方が睡眠に関する問題を抱えている一方で、睡眠不足が続いてしまうと様々な病気のリスクが上がってしまいます。
中には命に関わるような病気のリスクも上がることが報告されており、具体的には以下のような病気のリスクが上昇してしまいます。
●心筋梗塞
●肺炎
眠れない日が短期間であればそれほど病気のリスクには影響しませんが、睡眠不足の状態が1週間以上続く場合には、しっかりと対策を取ることをおすすめします。
取り返しが付かなくなる前に対策をすることで最悪の事態は回避できることもあるので、あなどらずご自身が始められる対策から始めてみると良いでしょう。

上では挙げていないけれど、実は過労死の原因の6割は睡眠不足であったというデータもありますし、睡眠不足が原因で交通事故に繋がってしまったというお話もあります。
それでは、それぞれの病気のリスクの詳細と対策についてご紹介をしていきます。
睡眠不足による脳卒中のリスク
脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりすることで発症します。「脳梗塞」や「くも膜下出血」や「脳出血」が含まれます。
イメージ的には以下のような感じになります。
体内では通常時は、自律神経により血圧がコントロールされていますが睡眠不足の状態になると自律神経が乱れてしまい血圧が正常にコントロールできなくなってしまい血圧の上昇を引き起こします。
また、睡眠不足はアルデステロンというホルモンを過剰分泌してしまうことが知られており、アルデステロンの過剰分泌も血圧の上昇を引き起こします。
つまり、寝不足の状態が続くと高血圧を引き起こして結果的に脳卒中に至ってしまうリスクが上がるということですね。
Beihai Geらの論文では、7時間睡眠を基準とすると、短時間睡眠(6時間未満)の場合は脳卒中のリスクが13%上昇することが発表されています。
睡眠不足による心筋梗塞のリスク
心筋梗塞は、心臓に血液を送っている冠動脈の動脈硬化が進行することによって発症します。
眠れない状態がしばらく続いてしまうと、ストレスが蓄積してしまいますが、このストレスが動脈硬化の危険因子の1つとして知られています。
Wang Dらの論文では、睡眠時間7~8時間が最も発症リスクが低く、1時間睡眠時間が短くなると発症のリスクが増大することが報告されています。
睡眠不足による肺炎のリスク
肺炎の原因には様々なものがありますが、肺炎のうちでウイルスに感染して発症するウイルス性肺炎というものがあります。
2019年のWHOの統計によると死因ランキング第4位になっており、特に基礎疾患を持っている人や喫煙歴がある人などの場合は死亡のリスクが高くなることが知られています。

インフルエンザやCOVID-19などもこのウイルス性肺炎の一種として有名ですね。
人の体は通常はT細胞やB細胞という免疫細胞によって機能が保たれていますが、寝不足になることによって免疫細胞の数が減少してしまうことが報告されています。
そのため、睡眠不足によってウイルス性肺炎に罹ってしまうリスクも上がってしまい結果として死亡のリスクが上がってしまうということですね。
睡眠不足に対する対策
眠れない状態が長く続いてしまうと最悪の場合、死に繋がるリスクがあるため睡眠不足はなるべく早めに対策をしておきたいところ。
しかし、対策といってもその前にまずはなぜ眠れないのかの原因がある程度分かっていないとせっかく対策をしても効果がないことも。
一番確実なのは、病院を受診することですがまずはお手軽な対策から始めてみるのも良いと思います。
●リラックス呼吸法を試す
●リラックス音楽を聴く
この辺りはあまりお金もかかりませんし、まずは「効いたらラッキー」くらいの感覚で試してみるのもありです。
軽度な緊張状態でリラックスができていないことが眠れない原因の場合は、このくらいの対策でも効果が出る時がありますよ。
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もう少し効果的な対策をしたいのであれば、安眠寝具を揃えてみたり、サプリメントを使ってみたりアロマを炊いてみたりという対策がおすすめです!
詳しくは眠れない時の対策のまとめ記事で紹介しているので興味がある方はご覧下さいね!
まとめ
眠れない日々が続くと場合によっては重大な病気に繋がってしまうこともあります。
けれど、不眠の症状が酷くならないうちに対処をしておくことで、深刻な状態になってしまうことは避けられるでしょう。
色々やっても改善が見られない場合は、しっかりと病院に行くことをおすすめしますが、忙しくてなかな行く暇も無いかもしれません。
しかし、今はオンライン診療なども対応している病院が増えてきているので、忙しい場合はそのようなサービスを利用してみるのも良いでしょうね。
日々の生活を目一杯楽しむためにしっかりと対策をして不眠症を乗り切りましょう!